RA 概要
関節リウマチ(RA:Rheumatoid Arthritis)は、 関節の炎症と痛みが次第に全身に全身に広がる一方、進行すると関節や骨が破壊され、関節の変形が起こり、身体障害が生じる炎症性自己免疫疾患です。
日本では、関節リウマチの患者さんは60万人以上といわれています。30~50歳代に発症する場合が多く、約8割が女性です。
現在、原因はまだ完全に解明されていませんが、何らかの原因で免疫異常が生じ、慢性多関節炎を起こします。 リウマチになりやすい遺伝的な素因があり、それにウイルスなどの感染が引き金になっている可能性も考えられています。
リウマチの語源
ギリシャ語の『rheuma』に由来しています。この言葉は『流れ』という意味です。 ヒポクラテスの考えによると、脳からフレグマ(Phlegma)と呼ばれる粘液が身体の各部に流れてさまざまな病気が起こるとされていました。
リウマチの診断基準
- 米国リウマチ学会の診断基準
米国リウマチ学会によって1987年に提唱された診断基準を参考にして、関節リウマチかどうかの診断をくだす方法。
- 朝のこわばりが、少なくとも1時間以上にわたってみられる
- 3つ以上の関節に炎症による腫れがみられる
- 手首や手指のつけ根の関節、手指の第2関節に炎症による腫れがみられる
- 左右対称の関節に炎症による腫れがみられる
- 皮下結節(リウマトイド結節)がひじやひざなどにみられる
- 血液検査でリウマトイド因子(RAテスト)が陽性である
- X線検査で手の関節に骨の萎縮などの変化がみられる
(1)~(4)までの症状は6週間以上続くこと 上記の7項目のうち、4項目以上にあてはまる場合を関節リウマチとする、とされています。
早期関節リウマチの診断基準 初期の段階の関節リウマチでは、米国リウマチ学会の診断基準で定めた症状が出そろわず、いち早く治療を開始するという方針にそわない場合も多くあるため、日本リウマチ学会では、1994年に早期関節リウマチの診断基準を提唱しています。
- 3つ以上の関節で、指で押さえたり動かしたりすると痛みを感じる
- 2つ以上の関節に炎症による腫れがみられる
- 朝のこわばりがみられる
- 皮下結節(リウマトイド結節)がひじやひざなどにみられる
- 血液検査で赤沈に異常がみられる、またはCRPが陽性である
- 血液検査でリウマトイド因子(RAテスト)が陽性である
上記の6項目のうち、3項目以上にあてはまる場合を早期関節リウマチとし、該当する患者さんは詳細に経過を観察して、病態に応じて適切な治療を開始する必要がある、とされています。
関節リウマチの新しい分類(診断)基準
一つ以上の関節のはれがみられる(診察、超音波、MRI検査のいずれかでみられる)
↓
- NO →関節リウマチと分類しない
- YES →より可能性の高い他の関節炎が考えられる
- YES →関節リウマチと分類しない
- NO →単純X線写真で関節リウマチの典型的な所見である骨びらんがみられる
- YES →関節リウマチとする
- NO →分類基準にあてはまるか検討(下表へ)
1、はれ、または圧痛のある関節の数 小関節: 手の親指の第1・第2関節、人指し指~小指の第2・第3関節、手首の骨びらん 中、大関節: 肩、ひじ、ひざ、股、足首の骨びらん。変形性関節炎との鑑別のため、手指の第1関節、足指の第1関節は除外する | |
中、大関節の1カ所 | 0点 |
中、大関節の2~10カ所 | 1点 |
小関節の1~3カ所 | 2点 |
小関節の4~10カ所 | 3点 |
最低1つの小関節を含む11カ所以上 | 5点 |
2、血清反応 陽性基準は、施設ごとの正常値を超える場合 低値陽性は、正常上限~その3倍まで 高値陽性は、正常上限の3倍を超える場合 | |
リウマトイド因子、抗CCP抗体の両方が陰性 | 0点 |
リウマトイド因子、抗CCP抗体のいずれかが低値陽性 | 2点 |
リウマトイド因子、抗CCP抗体のいずれかが高値陽性 | 3点 |
3、罹患期間 評価時に、腫れ、または圧痛関節のうちで、患者が申告する期間罹患期間 | |
6週未満 | 0点 |
6週以上 | 1点 |
4、炎症反応 陽性基準は施設ごとの正常値を超える範囲 スコアリングには、最低1つの血清反応と最低1つの炎症反応の測定が必要 | |
CRP、ESRの両方が正常 | 0点 |
CRPもしくはESRのいずれかが異常高値 | 1点 |
6点以上で関節リウマチと診断確定
- 米国リウマチ学会・欧州リウマチ学会共同作成(2009年10月)
検査
赤沈(赤血球沈降速度)
静脈から採取した血液に抗凝固剤を入れて、細長い管(ピペット)に移します。その管を立てた状態で赤血球の層が1時間に沈む速度を調べます。
- 正常値:男性1~9mm 女性3~15mm
正常値より10mm以上高い場合、体内で炎症を起こしている可能性があります。中期では30~40mm 高度期では80mm以上となります。
貧血の影響を受けます。
CRP(C反応性タンパク)
CRPとは、体内で炎症、感染、組織障害などの異変が起こると肝臓で作られるC反応性タンパクのことです。体内に異変が起こると12~24時間後に血液中に現れます。関節リウマチの炎症だけでなく、他の 膠原病、ウィルス感染、自己免疫疾患などでも陽性(-)を示します。
但し、貧血の影響は受けません。
- 正常値:陰性(-)
MMP-3(マトリックスメタロプロテイナーゼ-3)精密測定
MMP-3は、RAで滑膜の増殖に伴い、滑膜表層細胞で発現、生産される酵素で、そのマトリックス分解作用の結果、関節破壊をきたすといわれている。
産生されたMMP-3が関節液中に貯留し、それが血管やリンパ管を経由して血中に移行し血清中MMP-3値が上昇すると考えられている。早期RAでは、血清中MMP-3値が上昇または高値を維持した場合は進行性で、低下または低値を維持した場合は非進行性である傾向がある。
- 基準値:M 36.9~121F 17.3~59.7(ng/mL)
抗CCP抗体
シトルリン化ペプチド*1を人工的に環状化した抗原を用いた自己抗体測定法です。
関節リウマチ(RA)を疑ってこの検査を行った場合、陽性なら95%の確率でRAと言えます。但し、RAの方でも約20%は抗CCP抗体が低値(陰性)であり、関節炎の早期に限れば後にRAと診断された方の約40%が初期は陰性です。ですから、陰性だからといってRAではないとは言い切れないので注意が必要です。
抗CCP抗体陽性のRAは、陰性の場合よりも骨破壊が強く進む傾向にあるという報告もあります。 また、抗CCP抗体は一般にCRPや血沈のように関節炎の活動性を反映しません。
症状
関節リウマチは、頭から足の先まで、さまざまな症状を起こす全身性の病気で、起こり方も一様ではありません。
多発性関節炎により全身の関節に症状が出現します。症状の特徴は、初めは朝のこわばりから、しだいに腫れと痛みがあらわれます。
関節炎が進むと、手や足の指に特有の変形が起こり、日常生活動作が妨げられます。また、訓練をしないと筋力も落ちます。
関節症状
- 朝のこわばり
安静後または起床後、罹患関節、特に手・手指関節の可動域が低下し、力が入らず、こわばった状態となります。 - 関節炎
多発性、対称性に起こるのが特長であり、疼痛・発赤・腫脹を伴います。手首、手指関節、股、膝、足首、足趾などの小・大関節に好発します。 - 変形
関節炎が長期持続し進行すると、関節の破壊、筋の萎縮、腱の偏位、弛緩などが起こり、関節の運動が制限されたり変形が生じます。
関節外症状
- 全身症状
全身倦怠感、食欲不振、体重減少、貧血、微熱などがみられます。 - 皮膚症状
皮膚は薄くなり、毛細血管が透けます。皮下出血や紫斑が出来やすくなります。また、皮下結節(リウマトイド結節)はRAの約1/4の症例でみられます。
肘頭か前腕尺側部などの外力を受けやすい部位にできることが多い。可動性は少なく無痛性で、円形または楕円形の固い腫瘤です。大きさは0.5~3cmです。 - 筋症状
罹患期間が長くなると、罹患関節周囲の筋萎縮と筋力低下がみられます。 - 神経症状
四肢末端のしびれ感や知覚障害、運動障害が起こることがあります。手根部の腱鞘炎により正中神経が圧迫されると、手根管症候群(第1指~4指の知覚異常と母子の運動障害)が起こります。 - 心症状
活動性の強い時、心膜炎、心筋炎、弁膜病変がみられることがあります。 - 肺病変
胸膜炎や 間質性肺炎、進行すると肺線維症がみられます。RAに塵肺症を合併すると結節性陰影が生じ、これをカプラン(Caplan)症候群と呼んでいます。 - 骨症状
関節周囲と脊椎骨に骨粗鬆症がみられることが多い。 - 眼症状
シェーグレン症候群 を合併すると角膜、結膜の乾燥症状を訴えます。強膜炎、虹彩毛様体炎がみられます。 - 腎症状
アルミロイドーシスの合併もしくは治療薬による蛋白尿、腎機能の低下がみられることがあります。尿沈渣にて赤血球陽性となることもあります。
日常生活クラス分け
慢性関節リウマチの障害の程度は人により様々です。関節の障害が日常生活に及ぼす影響によって、大きくは次のような四つのクラスに分類されます。このクラスを進めないことが治療の目標となります。
- クラス1 多少痛みはあるが、日常生活は健康な人と同様に出来る。
- クラス2 いくつかの関節に痛みがあり、動作は制限されるが自立で日常生活が出来る。
- クラス3 仕事や日常生活がかなり困難になり、自分では限られたことしか出来ない。
- クラス4 自力で身の回りのことが出来なくなり、寝たきり、あるいは車イスを利用しなければならない。
病期ステージ
滑膜の炎症が慢性化すると、徐々に関節の変形が起こっていきます。 骨の破壊や変形は元へは戻せないので、早期発見で治療を行い炎症をくい止めることが大切です。
- ステージI(初期)
関節腔に関節液が増えると骨のカルシウム分が失われていき、まだ骨の破壊は起きていないが骨にすが入ったような骨萎縮がみられる場合がある。 - ステージII(中等度)
滑膜の細胞が増殖し肉芽(パンヌス)を形成、肉芽が軟骨と軟骨下の骨を侵食しはじめ、骨びらんがみられる。関節周辺の筋肉に萎縮がみられる。(この肉芽組織の増殖に関して特別な物質を出す細胞があるのではないかと考えられている) - ステージIII(高度)
軟骨の侵食が進み骨も破壊され関節がうまく噛み合わなくなり関節の変形や亜脱臼・脱臼が起こる。筋肉に強い萎縮がみられ筋肉や腱の伸縮が悪くなり関節の変形が起きる。 - ステージIV(末期)
肉芽が繊維化して硬くなり、二つの骨の端がくっついて骨癒合の状態となり関節がまったく動かせない状態になる。
合併症について
貧血、発熱、倦怠、体重減少、皮下結節 腱鞘炎・腱の断裂、シェーグレン症候群
肺疾患(間質性肺炎、肺線維症、肋膜炎)
心疾患(心筋炎、心のう炎など) 、アミロイドーシス、眼疾患、未梢神経炎、下腿潰瘍など
これらの合併症を発見し、早期治療を行っていくためには、定期的な診察と血液検査等が必要です。
薬
副腎皮質ステロイド剤
炎症をおさえる作用が強い。
抗リウマチ薬(DMARD ディマード)
免疫異常を調節して、リウマチを改善する。 但し、遅効性の薬であるため、効果が出るのに2~3ヶ月程度かかります。 効果が出れば 、
副作用に注意しながら長期間服用します。
- アザルフィジンEN錠(一般名:サラゾスルファビリジン)
- リドーラ錠(一般名:オーラノフィン)
金の化合物が主成分の経口金製剤です。体の免疫機能の異常を修正する作用があります。関節の痛みや炎症を鎮めて病気の進行を遅らせます。- 副作用
金アレルギーによる湿疹、じんま疹、強い痒みをともないます。また口内炎、下痢、たんぱく尿などもみられます。注射量が増えるにつれ、腎臓や肝臓の障害、白血球の減少などが起こることがあります。
- 副作用
- シオゾール注(一般名:金チオリンゴ酸ナトリウム)
- メタルカプターゼカプセル(一般名:ペニシラミン)
- リマチル錠(一般名:ブシラミン)
- 主な副作用
胃痛、貧血、下痢、口内炎、皮疹、眩暈、浮腫、血液障害、間質性肺炎、急性腎不全、全身性エリテマトーデス様症状、中毒性表皮壊死症
- 主な副作用
サイトカイン阻害薬 生物学的製剤
「サイトカイン」とは、免疫などにかかわるさまざまな物質の総称です。
サイトカイン阻害薬は、関節の炎症を引き起こす特定のサイトカインの働きを妨げて、関節の炎症や、骨や軟骨の破壊が進むのを抑える効果があります。
- レミケード点滴静注用(一般名:インフリキシマブ)
2003年発売 - エンブレル皮下注用(一般名:エタネルセプト)
週1回または2回、皮下注投与する。
2005年発売 - アクテムラ皮下注(一般名:トシリズマブ)遺伝子組換え
ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体で、インターロイキン6の生物学的作用を抑制し、薬の効果を示します。
2008年発売 - ヒュミラ皮下注(Humira)(一般名:アダリムマブ)
遺伝子組換えによって作られたヒト型抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体製剤
2週に1回皮下注投与する。
アダリムマブはヒトの免疫機構の一部に関与するTNF-α (腫瘍壊死因子α) の生理活性を抑制する一種の免疫抑制剤である。
2008年発売 - オレンシア皮下注シリンジ(一般名:アバタセプト)
2010年発売 - シンポニー皮下注シリンジ(一般名:ゴリムマブ)
遺伝子組換えによって作られたヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤
4週に1回と皮下注投与する。間隔が長いのが特長。
2011年発売 - シムジア皮下注シリンジ(一般名:セルトリズマブ)
2013年発売
免疫抑制剤
免疫細胞の働きを抑制して、リウマチを改善する。 体内で有用な働きをしている正常な免疫細胞の働きまで抑制するので重い副作用の可能性がある。
- リウマトレックスカプセル(一般名:メトトレキサート Methotrexate:MTX)*2
- エンドキサン錠(一般名:シクロホスファミド)
- イムラン錠、アザニン錠(一般名:アザチオプリン)
- ブレディニン錠(一般名:ミゾリビン)
- サンディミュンカプセル、ネオーラルカプセル(一般名:シクロスポリン)
薬の詳細
リウマトレックスカプセル(免疫抑制剤)
この薬はメソトレキサートという元々は昔から使われている強力な抗がん剤です。
メソトレキサートが白血病の治療薬として開発されたのは、1940年代。抗がん剤開発の創成期とも言える時期に登場した、非常に古い歴史を持つ抗がん剤です。日本では、1963年に経口薬、68年に注射薬が承認されました。 海外では、関節リウマチ治療に非常に高い効果をあげ、1980年代より、最も中心的な薬剤として用いられてきましたが、日本国内でリウマチに対する保険適応が認められたのは、1999年になってからです。
服用中に副作用により死に至った例が報告されています。リウマチ治療の専門の医師と緊密な連絡をとりながら服用して下さい。
特に発熱、咳、呼吸困難などの呼吸器症状、口内炎、倦怠感の症状は医師に連絡して下さい。
- 服用方法 通常、1週間単位の服用量を6mgとし、本剤1カプセル2mgを初日から2日目にかけて12時間間隔で3回経口服用し、残りの5日間は休薬する。これを1週間ごとに繰り返す。なお、患者の年齢、症状、忍容性及び本剤に対する反応等に応じて適宜増減する。ただし、増量する場合は1週間単位で8mgまでとする。
- 葉酸の服用 MTXの服用日の前後に飲むと、副作用を抑える効果がある。しかし、MTXの効果が薄れるとの報告もある。
レミケード点滴静注用(生物学的製剤)
アメリカでは1999年から、日本では2003年7月が使用されています。 レミケード点滴静注用(一般名:インフリキシマブ)*3 レミケードは点滴投与をする薬です。
0、2週、6週、以後8週毎に反復します。抗体の一部にマウスのタンパク質を使って作成されたきめら抗体なので、点滴時のアレルギーの症状がみられることもあります。また中和抗体が産生されて効果が減弱することがあります。
中和抗体の産生は、メトトレキサート(リウマトレックスカプセル)によって防ぐことが出来るため、原則として週6mg以上のメトトレキサートを併用します。
抗TNF療法エンブレル(生物学的製剤)
アメリカでは1998年、日本では2005年3月から関節リウマチの治療薬として使用されています。
サイトカインの中のひとつに、TNF(腫瘍壊死因子)と呼ばれる物質があります。これは、腫瘍を殺す働きへの関与のみまらず、
免疫の働き全般に広く関係するものと考えられています。このTNFが、関節リウマチの炎症や痛みの発現、さらには関節破壊の進行にまで深く関わっています。
抗TNF療法では、TNFが細胞表面のTNFレセプターと結合するのを阻止したり、TNFそのものが作用しないように働きかけます。
関節の炎症にかかわるTNFそれ自体をターゲットとし、炎症や痛み、そして関節破壊の進行を抑制することが特徴といえます。
- エンブレル皮下注(一般名:エタネルセプト)の投与の仕方
10~25mgを一日1回、週2回、皮下注射する薬です。 一定の条件を満たす患者は、
自己注射も可能です。 - 重い副作用
- 感染症(結核、肺血症、肺炎、日和見感染症など)
免疫の働きが低下するため、病原体に対する抵抗力が低下し、感染症にかかりやすくなります。 アレルギー反応 口内異常感や皮膚のかゆみ、赤み、熱感などの症状が現れることがあります。 - 血液障害
血液中の赤血球、白血球、血小板の一部またはすべてが減少することがあります。 脱髄疾患(多発性硬化症など)
神経線維の一部が壊されてしまう病気です。 - 間質性肺炎
細菌などの病原体が原因ではなく、薬の影響で起こる肺炎です。 - 抗dsDNA抗体の陽性化を伴ウループス様症候群
自分の体に対する抗体が現れて、関節痛、筋肉痛、皮疹などの症状が起こる病気です。 - 肝機能障害
肝臓の機能が障害を受け、肝機能検査値(AST、ALTなど)が上昇することがあります。 - 治療費
エンブレルのみの薬剤費は、3割負担の場合、1ヶ月4万円前後となります。 エンブレルによる治療を受けられるのは、これまでの関節リウマチ治療(非ステロイド性抗炎症薬や他の抗リウマチ薬)で十分な効果が得られなかった患者さんのみとなります。
また、処方する医師も一定の条件を満たすりうまち専門医に限られています。
- 感染症(結核、肺血症、肺炎、日和見感染症など)
治療法
局所の関節の治療だけでなく全身的な治療が大切です。
それにはリウマチの全身の活動性と関節の壊れ具合、その他の症状、検査所見などを総合して、最善の治療法が組まれます。 薬物療法 リウマチ治療は、飲み薬や注射薬が中心になります。のみ薬は医師の指示に従って、きちんと内服を続けることが大切です。 定期的に診察を受け、病状の変化や痛みの状態を医師に相談してください。また副作用(発疹、口内炎、下痢、吐き気、便の色の異常など)があれば、早目に診察を受けましょう。
手術療法
リウマチの手術は、薬やリハビリなどと同じく、リウマチの治療には欠かせない治療手段の一つです。 手術をするかどうかは、リウマチの全身活動性が高いが薬の量をこれ以上増やせない場合や、関節の破壊が強くなって日常生活が不自由になった場合に検討されます。
- 人工関節形成術
- 貯血
人工関節手術は、手術中および手術後の出血対策のため、手術前に自分の血液を貯血しておきます。
膝、股関節の手術では約1000ccの出血が予想されますので、貯血した自己血を体に戻します。
- 貯血
リハビリテーション
リウマチの炎症が治まってから始めるのが理想的です。 関節を保護しながら筋力をつける工夫が大切です。
水泳等は、関節に負担が少ないのでよいでしょう。 副腎皮質ステロイド剤を服用中は、無理をして症状を悪化させてしまう場合がありますので注意が必要です。
寛解
「寛解」とは 病気の症状がほぼ消失し、臨床的にコントロールされた状態を意味します。関節リウマチおいては3つの寛解があります。
- 臨床的寛解
炎症と自他覚症状の消失を意味します。 - 構造的寛解
関節破壊の進行がほとんど止まることを意味します。 - 機能的寛解
身体機能の維持を意味します。
関節リウマチおいては、上記3つの寛解の導入を治療目標としています。この目標が達成できれば、抗リウマチ薬を服用しながらではありますが、関節リウマチを罹患していることをほとんど自覚することなく日常生活を送ることが出来るようになります。
寛解基準
2010年に欧州リウマチ学会 (European League against Rheumatic Diseases, EULAR) を中心に「目標達成に向けた治療」(Treat to Target, T2T) という寛解を目標とする治療勧奨(リコメンデーション)がまとめられ、 2011年には米国リウマチ学会 (American College of Rheumatology, ACR) と欧州リウマチ学会共同で目標とすべき寛解基準が定められました。
ACR/EULAR寛解基準
- 日常臨床における基準
以下のいずれかに該当する場合、寛解とみなす
1. 以下の3項目を同時に満たす
圧痛関節数1つ以下、腫脹関節数1つ以下、患者全般評価 1/10以下
2. CDAI 2.8以下
CDAI = 圧痛関節数+ 腫脹関節数 + 患者による全般評価 + 医師による全般評価
- 臨床試験における基準
以下のいずれかに該当する場合、寛解とみなす
1. 以下の4項目を同時に満たす
圧痛関節数1つ以下、腫脹関節数1つ以下、CRP 1以下、患者全般評価 1/10以下
2. SDAI 3.3以下
SDAI = 圧痛関節数 + 腫脹関節数 + 患者による全般評価 + 医師による全般評価 + CRP
Treat to Target (T2T) リコメンデーション
- 基本的な考え方
A. 関節リウマチの治療は、患者とリウマチ医の合意に基づいて行われるべきである
B. 関節リウマチの主要な治療ゴールは、症状のコントロール、関節破壊などの構造的変化の抑制、身体機能の正常化、社会活動への参加を参加を通じて、患者の長期的QOLを最大限まで改善することである
C. 炎症を取り除くことが、治療ゴールを達成するためにもっとも重要である
D. 疾患活動性の評価とそれに基づく治療の適正化による「目標達成に向けた治療 (Treat to Target) 」は、関節リウマチのアウトカム改善に最も効果的である
- ステートメント
1. 関節リウマチ治療の目標は、まず臨床的寛解を達成することである
2. 臨床的寛解とは、疾患活動性による臨床症状・徴候が消失した状態と定義する
3. 寛解を明確な治療目標とすべきであるが、現時点では、進行した患者や長期罹病患者は、低疾患活動性が当面の目標となりうる
4. 治療目標が達成されるまで、薬物療法は少なくとも3ヶ月ごとに見直すべきである
5. 疾患活動性の評価は、中~高疾患活動性の患者では毎月、低疾患活動性または寛解が維持されている患者では3~6ヶ月ごとに、定期的に実施し記録しなければならない
6. 日常診療における治療方針の決定には、関節所見を含む総合的疾患活動性指標を用いて評価する必要がある
7. 治療方針の決定には、総合的疾患活動性の評価に加えて関節破壊などの構造的変化及び身体機能障害もあわせて考慮すべきである。
8. 設定した治療目標は、疾病の全経過を通じて維持すべきである
9. 疾患活動性指標の選択や治療目標値の設定には、合併症、患者要因、薬剤関連リスクなどを考慮する
10. 患者は、リウマチ医の指導のもとに、「目標達成に向けた治療 (Treat to Target) 」について適切に説明を受けるべきである
*1 シトルリン化蛋白は、RAにおける主要な自己免疫のターゲットとされています。
*2 抗がん剤としては、商品名は、メソトレキセートである
*3 インフリキシマブ(英:Infliximab)は、抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体である。
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