UC 概要
クローン病とともに炎症性腸疾患(IBD:Inflammatory bowel disease)に分類されており、厚生労働省より特定疾患に指定されています。
症状
血液や粘液が混じったケチャッブ状の血便から始まり、ひどくなると発熱を伴った頻回の下痢、下血、腹痛、貧血の症状があらわれて全身の状態が悪化します。
症状の分類
排便回数は1日4回以下で、血便はあってもわずかであり、全身症状を伴わない場合を「軽症」とし、排便回数1日6回以上で著明な血便や発熱、頻脈、貧血などの全身症状を伴う場合を「重症」とします。またその中間を「中等症」とします。
診断
潰瘍性大腸炎の特徴的な症状や経過を認め、さらに内視鏡検査を行うことにより診断します。
内視鏡検査のときに生検組織検査も同時に行います。
類似した症状の感染性腸炎との判別をするために便検査を行う必要もあります。
合併症
大腸がん合併のリスクは罹患年月とともに増加します。
診断から10年で2%、20年で8%、30年で18%に大腸がん合併が認められています。 リスクを軽減するために便検査などではなく、定期的な内視鏡検査が必要です。
薬
副腎皮質ホルモン
ステロイド剤(プレドニゾロン)の用量は、中等度の活動性の場合には、一般に40mg/日程度の量が用いられます。
増量すれば少し効果は高まりますが、それだけ副作用も出やすいので、患者の状態により調節します。
局所5-ASA
ペンタサ注腸(一般名:メサラジン「5-ASA」)
ペンタサ注腸を直接肛門から腸へ投与する薬であり、内服薬より効率よく腸に働きます。液状の注腸薬はS状結腸からもう少し奥までの炎症を抑える効果があります。
免疫抑制剤
- イムラン錠(一般名:アザチオプリン)
過剰な免疫反応を調整します。 - サンディミュンカプセル、ネオーラルカプセル(一般名:シクロスポリン)
比較的強力に免疫を抑制し、早い効果が期待できます。しかし、この薬は血液中の濃度が上がりすぎると腎障害などを起こすことがあります。
分子標的治療薬
- レミケード点滴静注用(一般名:インフリキシマブ)
治療法
外科手術
穿孔、大出血、内科治療が効かない重症の炎症を起こしている場合、大腸がん合併、薬の副作用や繰り返す入院のために社会生活ができない、重い腸管外合併症がある場合には早急に手術を行います。
- 大腸全摘手術
便が少し漏れることがありますがすべての病変を取り除きます。
永久的回腸人工肛門造設術を行います。 - 回腸嚢肛門吻合術または回腸嚢肛門管吻合術
肛門管粘膜のみを少し残して排便機能を良好に保つ手術です。
回腸嚢肛門吻合術では原則として一時的回腸人工肛門を作ります。
重症の患者さんには安全のために手術を分けて行い(分割手術)、結腸(亜)全摘、S状結腸粘液瘻、またはハルトマン手術を行います。
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