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BC 概要 anchor.png

乳がん(乳癌、Breast cancer)とは乳汁を分泌する乳腺小葉上皮、あるいは乳管までの通り道である乳管の上皮が悪性化したものであり、近年の日本人女性の悪性腫瘍のなかでは最も頻度の高いものとなっています。

主な症状は、乳房にできる硬いしこりで、普通は左右どちらかに生じますが、手で触れてはっきりわかるほどになっても痛みはなく、その為発見が遅れることもあります。乳頭から分泌物が出たり、乳頭のただれや変形、乳房の皮膚のへこみなど見られることもあります。

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乳がんの種類 anchor.png

乳がんは「非浸潤がん」、「浸潤がん」、「パジェット病」の3つの種類に大別されます。

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非浸潤がん anchor.png

乳管内または小葉の中にとどまっている早期のがんです。転移を起こすリスクは低いので手術で切除すればほぼ100%完治します。

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浸潤がん anchor.png

乳管や小葉の外まで広がっているものをいいます。がん細胞が血管やリンパ管に流入することで、周囲のリンパ節や乳房以外の臓器に転移する可能性があります。

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パジェット病 anchor.png

パジェット病は、しこりをつくらず乳頭近くの乳管内に発生して、皮膚炎のような症状をみせながら周囲に広がる特殊なタイプの乳がんです。通常は転移を起こすことがなく、予後のよいがんです。

乳頭の湿疹や赤み、びらんが発見の手がかりになる。

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トリプルネガティブ乳がん(TNBC) anchor.png

エストロゲン受容体・プロゲステロン受容体・HER2の3つ(トリプル)が腫瘍細胞に発現していない(ネガティブ)乳がんのことを呼んでいます。

女性ホルモンであるエストロゲンプロゲステロンは、それぞれの受容体が発現している乳がんの発生と増殖に関する因子であり、これらの受容体が発現している場合はホルモン療法が有効となります。

HER2はがん遺伝子で、HER2が発現している場合は抗HER2療法の効果が期待できます。

トリプルネガティブ乳がん(TNBC)は、これらの因子とは全く関係ない発がんメカニズムを持つ乳がんのため、ホルモン療法も、HER2を攻撃する分子標的薬も効かないので、一般的に予後が悪いと言われています。しかし、実際には個々の患者さんで発症の要因が異なり、化学療法の効果が高い病気です。

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症状 anchor.png

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乳房のしこり anchor.png

乳がんは5mmぐらいから1cmぐらいの大きさになると、自分で見つけることができるようになります。
痛みは、まずありません。

  • 乳房の皮膚の変化
    乳がんが乳房の皮膚の近くに生じると、皮膚が赤く腫れたり、えくぼが出来たりします。
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乳頭の分泌物 anchor.png

がん細胞が乳頭にまで達すると乳頭から血の混じった分泌物が出てきます。
非浸潤がんは、しこりなどの自覚症状がなく検診で発見される率が増えていますが、乳頭から血性の分泌物が出ることで異常に気づくこともあります。

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乳頭の陥没や乳房のくぼみ anchor.png

がんが乳房の皮膚や乳頭に近いところに達することで現れることがあります。

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炎症性乳がん anchor.png

明らかなしこりは見つけられないが、乳房表面の皮膚がオレンジの皮のように赤くなり、痛みや熱感を起こします。これは、乳がん細胞が皮膚のリンパ管の中に詰まっているためです。

炎症性乳がんは全身的な転移をしやすい病態です。 乳房の近くのリンパ節の腫れ 乳がんは乳房の近くにある領域リンパ節に転移をしやすく、領域リンパ節が大きくなってくるとリンパ液の流れがせき止められて腕がむくんできたり、腕に向かう神経を圧迫して腕のしびれをきたしたりすることがあります。

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パジェット病 anchor.png

乳頭のただれや周囲の皮膚の湿疹がみられる。

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乳房近くのリンパ節の腫れ anchor.png

乳房近くのリンパ節に転移した場合、リンパ節が腫れたり、周囲の神経が圧迫されて腕がむくんだりしびれることがあります。

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遠隔転移の症状 anchor.png

転移した臓器によって症状は違います。領域リンパ節以外のリンパ節が腫れている場合は、遠隔リンパ節転移といい、他臓器への転移と同様に扱われます。

腰、背中、肩の痛みなどが持続する場合は骨転移が疑われ、荷重がかかる部位にできた場合には骨折をおこす危険もあります。

肺転移の場合は咳が出たり、息が苦しくなることがあります。

肝臓の転移は症状が出にくいですが、肝臓が大きくなると腹部が張ったり、食欲がなくなることもあり、痛みや黄疸が出ることもあります。

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原因 anchor.png

女性ホルモンであるエストロゲンとの関わりが有力視されていて、出産経験のない人や初産が35歳過ぎとうい人が比較的多くみられ、同じ家系に多発する例が少なくありません。

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乳がんの主なリスク要因 anchor.png

  • 初経年齢が若い
  • 初経から閉経までの期間が長い
  • 高齢初産(または出産歴・授乳歴がない)
  • 閉経後の肥満
  • 良性の乳腺疾患になったことがある
  • 家族(特に母姉妹)が乳がんになったことがある
  • 出生時の体重が重い
  • ホルモン補充療法(プロゲステロン併用療法)の長期施行
  • 放射線の被曝
  • 喫煙
  • 夜間勤務
  • アルコールの摂取量が多い
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診断 検査 anchor.png

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レントゲン撮影(マンモグラフィー) anchor.png

マンモグラフィーは乳房を装置に挟んで圧迫しX線撮影する検査です。
触診では見つからないような小さながんが見つかることがあります。 透明な板で乳房を挟み、平に拡げて撮影することで乳管と呼ばれる乳腺の実質を詳しくみていきます。
このとき癌が疑われる場合は周囲と異なる塊状のしこりや、乳管に沈着したカルシウムが砂をまいたようにみえる石灰化した状態が見られたりします。
こうした症状があっても、すべて悪性とは限りません。

  • 撮影方法
    上半身裸で装置の前に立ち、乳房を装置の撮影台に載せます。 装置には圧迫板とよばれるプラスチックの板があり、これにより乳房を強く撮影台に押さえつけて厚さ4~5cm程度まで圧迫します。乳房が所定の厚みになった状態で撮影します。 通常、左右それぞれ撮影方向を縦と横と変えて2枚ずつ、合計4枚撮影します。
    • 乳房組織の脂肪が少なく腺が多い場合(乳房密度が高い場合)に感度が低下するといわれています。
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3Dマンモグラフィー anchor.png

マンモグラフィ(2D-MMG)は、乳房を圧迫してX線で写真を撮りますが、これでは乳腺組織の厚みのために撮りたい部位が重なって分かりにくい場合があります。
閉経後の患者さんでは、乳腺が減って脂肪組織が増えるためわかりやすいのですが、若年者や乳腺の多い方ではどうしても判定が困難になってしまいます。
3Dマンモグラフィ(3D-MMG)は、撮影角度を変えて複数の方向から撮影し、収集したデータを3次元的に再構成することにより、画像の重なりを排除し、病変の判定がマンモグラフィ(2D-MMG)よりも容易です。

  • 下記の患者さんに有効です。
    • 乳腺組織の厚い若年者の方
    • マンモグラフィで要精密検査とされた方
    • 乳癌術後の局所再発の心配な方
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乳房超音波検査(エコー) anchor.png

診察台の上に仰向けになり、皮膚にゼリーを塗って、プローブ(端子)をあて、乳房の内部を観察する検査です。痛みはなく、体への負担はほとんどありません。
検査中は、画面を見やすくするために、診察室を暗くします。数mmの小さな腫瘤(しこり)を見つけたり、しこりの性状が詳しくわかる検査です。細かい石灰化は見えません。

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自動乳腺超音波検査(Automated Breast Ultrasound System:AUBS) anchor.png

乳房全体をコピーのようにスキャンし、様々な方向から乳房内を検査します。
画像が立体的に構築できるためCTやMRIの様な画像を表現することが可能な装置です。
検査データーを一時保存することができ、一時保存することにより検査の見直しが可能です。

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デンスブレスト(dense breast) anchor.png

デンスブレスト(dense breast)の場合には、乳腺の影響を受けず、がんが黒く描出される超音波検査(エコー)が適しています。

乳房の乳腺密度が高い女性の場合、マンモグラフィでは乳房組織が白く映り、がん細胞も同じく白く映るためがんを見分けにくい。

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乳房MRI検査(磁気共鳴装置) anchor.png

乳腺MRI検査とは、強い磁力を発生するMRI装置を用いて、乳房の病巣を画像化し、診断する検査のことです。乳房にできた腫瘍と正常な乳腺組織とを鑑別できます。原則、ガドリニウム造影剤を使用して検査を行います。

  • ガドリニウム造影剤
    ヨード造影剤と比較して、副作用の発現頻度は低いとされているが、嘔気、嘔吐、蕁麻疹、掻痒、発疹等の副作用があります。

MRI検査には、撮影条件を変えて画像のコントラストを調節でき、また、縦・横・斜めなど、任意の方向からの断層画像を得ることができるという利点があります。手術後の乳腺の状態を調べるのにも有効で、定期的な検査としても行われています。

  • 撮影方法
    身体からアクセサリー類などの金属物をはずして、乳房専用の金属コイルをあてて、ベッドの上で腹ばいの姿勢になります。胸部に強磁場超電動装置が自動的に動いてきて、撮影が行われます。
    • 高速スピンエコー法(FSE法)
      T1強調像(脂肪は白く、腫瘍は黒く写る)とT2強調像(脂肪は黒く、腫瘍は白く写る)を撮影した後、Gd-DTPAという造影剤を多く用いたダイナミック撮影を行ない、最後に造影後のT1強調像を撮影します。
    • 最初から脂肪が強く写らないように調整(脂肪抑制)しながら、造影剤を用いてT1強調像を撮影します。
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CT(コンピューター断層撮影) anchor.png

コンピューターを用いた特殊なX線断層装置で、からだの断面を映し出す方法です。撮影する範囲が広いので、肺や肝臓、脳など、他の臓器への遠隔転移をみつけるのに有効です。

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骨シンチグラフィ anchor.png

乳がんの骨への転移を調べるための検査です。放射性物質(アイソトープ)を注射し、転移のある骨にアイソトープが集まる性質を利用して、転移の有無を確認します。
骨への転移の可能性が高いと判断された場合に行うことが多く、早期の乳がんには行わないことがあります。

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陽電子乳房撮影(PEM) anchor.png

陽電子放射断層撮影(PET)の原理を応用したもので、放射線検出器を乳房に当てて撮像します。マンモグラフィーのような痛みがなく高精度で撮影範囲も広い画像になります。

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陽電子放射断層撮影(PET)検査 anchor.png

がん細胞が正常細胞よりも多く取り込む放射性検査薬を体内に注入し、放射線発生部位を撮影します。PET検査は全身撮影で空間分解能が5ミリなので、乳がん細胞はぼんやりとしか撮像できません。

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穿刺吸引細胞診 anchor.png

穿刺(せんし)吸引細胞診は、超音波ガイド下に、乳房内のしこりに細い注射針を刺し、細胞を吸引してガラスに吹きつけて染色し、細胞の性質を顕微鏡で検査する方法です。

針を刺すので痛みは少しありますが、局所麻酔は必要とせず、注射の跡も残りません。反面、細い針を使うため、採取できる細胞の量がとても少なく、正確な診断が難しいことがあります。

細胞診は、良性か悪性かを推定するために行われることが多く、がんと確定するためには、より多くの組織を採取できる組織診が必要となります。

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分泌液細疱疹 anchor.png

乳頭(乳首)からでている分泌液をオブジェクトグラスまたは生理食塩水の中に取り、その中にある細胞の性質を顕微鏡で検査する方法です。

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針生検(組織診) anchor.png

病変部に太めの針を刺して病変組織を採取し、症状の原因を調べる検査です。
針生検は、組織を採取するときに用いられる機械の種類によって、コア針生検と吸引式乳房組織生検に分けられます。どちらも痛みを抑えるため、局所麻酔を用いて検査します。

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コア針生検・太針穿刺吸引組織診 anchor.png

細胞診に用いるより太めの針(通常14ゲージ)を超音波ガイド下に病変に刺入し、組織片を切離・採取して顕微鏡で病理診断する方法です。

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吸引式乳房組織生検・マンモトーム生検 (ステレオマンモグラフィガイド下の陰圧吸引式針生検) anchor.png

触診では明らかなしこりを見つけられず、画像検査だけで異常が指摘されるような場合には、マンモトーム生検と呼ばれる特殊な針生検を行うこともあります。
1回の採取で複数の大きな組織片を採取できます。
診断がつきにくい微細石灰化巣や微小病変の生検をより確実に行えます。

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遠隔転移の検査 anchor.png

乳がんが転移しやすい遠隔臓器として肺、肝臓、骨、リンパ節などがあります。
遠隔転移があるかどうかの診断のためには、胸部レントゲン撮影、肝臓のCTや超音波検査、骨のアイソトープ検査(骨シンチグラフィ)などが行われます。

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センチネルリンパ節生検 anchor.png

センチネルリンパ節生検は、腋窩リンパ節転移の有無を負担が少なくて調べられる方法です。

センチネルリンパ節(見張りリンパ節)とは、乳癌のリンパ節転移が最初に起こる可能性の高いリンパ節のことです。
つまりこのセンチネルリンパ節に転移がなければ、その他のリンパ節にも転移は起こっていないと考えられます。もし術前や術中にこのセンチネルリンパ節を見つけ、顕微鏡検査でそのリンパ節に転移が無いことを確認できれば、不必要なリンパ節郭清を省略することができます。その結果、術後の合併症を予防することができます。

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病期 ステージ anchor.png

乳癌という診断がついた場合、がんが乳腺の中でどの程度拡がっているか、遠隔臓器に転移しているかについての検査が行われます。
乳がんの拡がり、すなわち乳房のしこりの大きさ、乳腺の領域にあるりんぱ節転移の有無、遠隔転移の有無によって大きく5段階の臨床病期(ステージ)に分類され、この臨床病期に応じて治療法がかわってきます。

  • 0期
    乳がんが発生した乳腺の中にとどまっているもので、極めて早期の乳がんです。これを「非浸潤がん」といいます。
  • I期
    しこりの大きさが2cm(1円玉の大きさ)以下で、わきの下のリンパ節には転移していない、つまり乳房の外に拡がっていないと思われる段階です。
  • II期
    IIa期とIIb期に分けられます。
    • IIa期 しこりの大きさが2cm以下で、わきの下のリンパ節への転移がある場合、またはしこりの大きさが2~5cmでわきの下のリンパ節への転移がない場合。
    • IIb期 しこりの大きさが2~5cmでわきの下のリンパ節への転移がある場合。
  • III期
    「局所進行乳がん」と呼ばれ、IIIa、IIIb、IIIc期に分けられます。
    • IIIa期
      しこりの大きさが2cm以下で、わきの下のリンパ節に転移があり、しかもリンパ節がお互いがっちりと癒着していたり周辺の組織に固定している状態、またはわきの下のリンパ節転移がなく胸骨の内側のリンパ節(内胸リンパ節)がはれている場合。あるいはしこりの大きさが5cm以上でわきの下あるいは胸骨の内側のリンパ節への転移がある場合。
    • IIIb期
      しこりの大きさやわきの下のリンパ節への転移の有無にかかわらず、しこりが胸壁にがっちりと固定しているか、皮膚にしこりが顔を出したり皮膚が崩れたり皮膚がむくんでいるような状態です。炎症性乳がんもこの病期に含まれます。
    • IIIc期
      しこりの大きさにかかわらず、わきの下のリンパ節と胸骨の内側のリンパ節の両方に転移のある場合。あるいは鎖骨の上下にあるリンパ節に転移がある場合。
  • IV期
    遠隔臓器に転移している場合です。乳がんの転移しやすい臓器は骨、肺、肝臓、脳などです。
    再発乳がん 乳房のしこりに対する初期治療を行った後、乳がんが再び生じることを「再発」といいます。通常は他の臓器に生じることを(転移)を指し、IV期の乳がんとあわせて「転移性乳がん」といいます。手術をした乳房の領域に出てくることは「局所・領域再発」といいます。
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治療法 anchor.png

乳癌の治療は、まず画像診断で癌の大きさを測定して、癌のの部分の組織をとって浸潤の有無を調べます。 そして、その癌は女性ホルモンの刺激に反応するのか、活発に大きくなる性質なのかなどを見極めます。 その結果、例えば抗がん剤が効くタイプの癌なら、先に抗がん剤治療を行って癌を小さくしてから小さく切除するという、乳房をより美しく残す手術が可能です。
外科療法と放射線療法は治療を行った部分にだけ効果が期待できる「局所療法」であり、薬物療法は「全身療法」として治療を行います。

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外科療法 anchor.png

乳房に出来たた癌を切除するために行います。がん組織を含めた周りの正常組織を同時に切除します。

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腫瘍核出術 anchor.png

乳房のしこりだけを切除する手術です。吸引細胞診や針生検では癌の診断がつかない時に行われることが多く、癌の手術としては一般的ではありません。
がんを強く疑う場合は、がんから約1cm外側を切除します。乳房円状部分切除術ともいいます。

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乳房部分切除術 anchor.png

しこりを含めた乳房の一部分を切除する方法で、「乳房温存手術」と呼ばれます。
病変の部位や拡がりによって、乳頭を中心にした扇形に切除、あるいは癌の周囲に2cm程度の安全域をとって円形に切除します。
この中には扇状に広がるひとつの乳管系を切除する乳房扇状部分切除術も含まれます。

しこりが大きい場合、乳がんが乳腺内で拡がっている時、乳腺内にしこりが複数ある場合には、温存手術は行いません。

通常手術後に放射線照射を行い、残された乳房の中での再発を防ぎます。

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乳房単純切除術 anchor.png

癌のできた側の乳房を全部切除し、筋肉、腋の下のリンパ節の切除は行いません。

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胸筋温存乳房切除術 anchor.png

乳房と腋の下のリンパ節を切除します。場合によっては、胸の筋肉の一部分を切り離すこともあります。最も一般的な乳癌の手術方法です。
大胸筋だけを残すペイティー手術と、大胸筋、小胸筋共に残すオーチンクロス手術の2つがあります。リンパ節郭清はどちらも行います。

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胸筋合併乳房切除術(ハルステッド法) anchor.png

乳房と腋の下のリンパ節だけでなく、乳腺の下にある大胸筋や小胸筋を切除します。癌が胸の筋肉に達している場合に行われます。

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腋窩リンパ節郭清(腋の下のリンパ節に対する手術) anchor.png

腋窩リンパ節郭清は、乳がんの領域でのリンパ節再発を予防します。また、再発の可能性を予測し、手術後に薬物療法が必要かどうかを判断するためにも非常に重要です。

  • 腋窩リンパ節郭清の副作用
    手術をした側の腕にリンパ浮腫(むくみ)が出たり、肩の痛みや運動障害がおきることがあります。
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センチネルリンパ節生検 anchor.png

センチネルリンパ節は、癌の近傍に放射線同位元素や色素を注射することにより見つけます。
多くの場合は、腋の下のリンパ節がセンチネルリンパ節になりますが、センチネルリンパ節に転移がない時、腋の下のリンパ節に転移がないということがわかっています。

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皮下乳腺全摘術 anchor.png

皮下乳腺全摘術は、全摘術の欠点(皮膚の欠損、乳頭・乳輪の欠損、傷が大きい)を補うため小さな傷から皮膚と乳頭・乳輪を残し、乳腺を全摘します。
温存術と同様に、局所再発してから全摘術をしても、最初から全摘術をしても生存率は同じです。 傷が目立たず自然な乳房再建が可能になります。

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皮膚温存乳房切除術(Skin Sparing Surgery) anchor.png

皮膚を残して、乳頭・乳輪と乳腺を全摘します。

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乳房再建術 anchor.png

癌を切除する手術で失われた乳房を自分の筋肉、または人工物を使用し形成する手術です。乳頭を形成することもできます。

詳しくは、乳房再建術 のページに記載

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放射線療法 anchor.png

放射線にはがん細胞を死滅させる効果があります。乳がんでは外科手術で癌を切除した後に乳房やその領域の再発を予防する目的で行われる場合いと、骨の痛みなど転移した病巣の症状を緩和するために行われる場合があります。

  • 放射線副作用
    病巣周囲の正常組織にも放射線がかかることによって起こります。
    放射線がかかった臓器により特有の副作用が現れます。 主な副作用は皮膚炎です。
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加速乳房部分照射法(APBI) anchor.png

乳房全体に放射線を当てずに、摘出した部分に集中して強い放射線を当てます。 手術と同時、または、術後に直径2ミリのプラスチックチューブを5本~15本程度、癌を摘出した部位を中心に乳房に刺します。 そのチューブに金属線で繋がれた直径1ミリ長さ5ミリ程の放射線物質イリジウム(小線源)を通します。
装置で操作して移動しながら部分照射します。 線量は1回に6グレイ。1日2回、各10分程の治療で3日間で終わります。
治療中は入院してチューブを刺したままにしておき6回の照射が終わった後に抜き取ります。 利点 全乳房照射と比較すると、心臓や肺への放射線の影響が少ない。

  • 費用
    公的医療保険がきき、入院費用などを含めると、全乳房照射とほぼ同額の十数万円(3割負担の場合)自己負担になります。
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ホルモン療法 anchor.png

乳がんの治療に用いられる薬は、ホルモン療法、化学療法、分子標的療法の3種類に大別されます。
薬物療法には、個人差はありますが大小の副作用が起こります。 ホルモン受容体 約7割の乳癌はホルモン受容体を持っており、ホルモン受容体を有する乳がんは女性ホルモン(エストロゲン)の刺激が癌の増殖に影響しているとされます。

ホルモン受容体(エストロゲン受容体とプロゲステロン受容体)検査 手術でとった乳がん組織中のすることにより、女性ホルモンに影響されやすい乳がんか、そうでない乳がんかを調べます。
女性ホルモンに影響されやすい乳がんを「ホルモン感受性乳がん」、「ホルモン依存性乳がん」と呼び、ホルモン療法による治療効果が期待されます。

    • 女性ホルモンについて
      生理があって卵巣機能が活発な女性では卵巣が女性ホルモンの主な供給源になります。また、閉経後の女性では、卵巣からの女性ホルモンの分泌は停止し、副腎皮質から分泌される男性ホルモンが原料となって、「アロマターゼ」と呼ばれる酵素の働きによって女性ホルモンがわずかに産生されます。閉経後の女性では女性ホルモンのレベルは閉経前に比べ1/100程度に減少します。
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ホルモン療法の薬剤 anchor.png

エストロゲン剤、選択的アロマターゼ阻害剤、黄体ホルモン分泌刺激ホルモン抑制剤などがあります。
ホルモン療法の副作用は、化学療法に比べて一般的に極めて軽いのが特徴です。

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エストロゲンanchor.png
  • ノルバデックス錠タスオミン錠(一般名:タモキシフェン クエン酸塩)
    乳がんの手術後や転移性乳がんに用いられます。
    女性ホルモンのエストロゲン受容体への結合を阻害します。
    • 副作用
      長期間使用した場合、子宮癌や血栓症のリスクがあります。
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選択的アロマターゼ阻害剤(AI) anchor.png

ホルモン受容体陽性の閉経後乳がんの治療は、タモキシフェンからアロマターゼ阻害剤に代わってきています。術後の補助療法でタモキシフェンを上回る再発抑制効果、タモキシフェン治療後の投薬で無治療の場合よりも生存率を高める効果があります。

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性腺刺激ホルモンの分泌抑制剤 anchor.png
  • リュープリン注射用(一般名:リュープロレリン)
    リュープリンは性腺刺激ホルモンの分泌を抑制します。そのため、ホルモン依存性のがんである前立腺がんや閉経前乳がんの増殖を抑える働きがあります。
    リュープリンは粉末と液体がセットになっており、使用前に両方を混ぜて皮下に注射すると、1カ月にわたって一定の割合で薬が溶け出し続けます。
    • 副作用
      ほてり、熱感、のぼせ、肩こり、頭痛、不眠、めまい、発汗、関節痛、骨疼痛
      肝機能障害、性欲減退、情緒不安定、悪心、嘔吐、不正出血
      黄疸、潰瘍、うつなど
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プロゲステロン(黄体ホルモン)分泌刺激ホルモン抑制剤 anchor.png

閉経前の場合では、卵巣からの女性ホルモンの分泌を抑えます。

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化学療法(抗がん剤) anchor.png

化学療法は細胞分裂のいろいろな段階に働きかけてがん細胞を死滅させる効果があり、乳がんは比較的化学療法に反応しやすい癌とされています。
化学療法はがん細胞を死滅させる一方で、がん細胞以外の骨髄細胞、消化管の粘膜細胞、毛根細胞などの正常の細胞にも作用し、白血球、血小板の減少、吐き気や食欲低下、脱毛などの副作用があらわれます。
化学療法には注射薬や内服薬があります。使用する薬剤やその投与法によって副作用の特性やその頻度などは異なります。

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主な抗がん剤 anchor.png

乳がんに使用される代表的な抗がん剤には次のようなものがあり、頭文字で表されます。

  • 5-FU錠(一般名:5-フルオロウラシル)代謝拮抗物質

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組み合わせ療法 anchor.png
  • CMF療法
    シクロホスファミド、メトトレキサート、フルオロウラシルを組み合わせます。主にリンパ転移のない場合に行います。
  • CAF療法
    シクロホスファミド、ドキソルビシン、フルオロウラシルの組み合わせです。
  • AC療法
    シクロホスファミド、ドキソルビシンの組み合わせです。
  • CEF療法
    シクロホスファミド、エピルビシン、フルオロウラシルの組み合わせです。
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その他の抗がん剤 anchor.png
  • ユーエフティカプセル(一般名:テガフール・ウラシル)
    髪の毛が抜けない抗がん剤です。2年間毎日飲み続けることが必要です。
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分子標的療法 anchor.png

がん細胞にのみ特異的に作用する薬剤による治療法です。主にがん細胞にくっついたり、がん細胞が増殖するのに必要な酵素だけを抑えたりすることによって抗腫瘍効果を示します。

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ハーセプチン治療 anchor.png

乳がんのうち20%~30%は、乳がん細胞の表面に受容体HER2タンパクと呼ばれるタンパク質をたくさん持っており、このHER2タンパクは乳がんの増殖に関与していると考えられています。
ハーセプチン治療は、転移性乳がんで乳房以外に拡がった状態の癌、または、受容体HER2タンパクあるいはHER2遺伝子を過剰に持っている乳がんのみに適応されます。このHER2タンパクを狙って攻撃することにより治療します。

    • 副作用
      吐気や頭痛、倦怠感なども出る場合がありますが、頻度は多くありません。頻度は少ないですが、重篤なものとして心臓機能の低下や呼吸器の障害が出ることがあります。
    • 重大な副作用
      間質性肺炎や骨髄抑制、肝障害、肝障害、腎障害、脳血管障害などの報告があります。
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骨転移治療 anchor.png

乳癌が骨に転移した場合には、痛みや骨折の合併が見られることがあります。骨転移には骨にある破骨細胞(骨を壊す細胞)が関与して、働きが亢進していることが解っています。
破骨細胞の働きを抑える薬がビスフォスフォネート製剤やデノスマブです。これらの投与で痛みや骨折の予防になります。

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罹患した著名人 anchor.png

  • 麻木久仁子 女優、タレント
  • 小林麻央 元フリーアナウンサー、キャスター、十一代目市川海老蔵の妻
  • 田中 好子 アイドル歌手キャンディーズのメンバー、女優
  • 南 果歩 女優
  • 山田邦子 タレント
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