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トラスツズマブ(Trastuzumab)
抗HER2ヒト化モノクローナル抗体 抗悪性腫瘍剤
- ハーセプチン注射用 (製薬会社:製造販売元 中外製薬株式会社)
作用と効果
HER2タンパクの働きを抑えることにより、増殖に必要な物質を取り込めないようにし、がん細胞の増殖を抑えたり死滅させると考えられています。また、正常細胞とがん細胞の区別ができず、正常細胞にも作用していた今までの抗がん剤と比べ、副作用が少ないとされています。
用法・用量
HER2過剰発現が確認された乳癌にはA法又はB法を使用する。
HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃癌には他の抗悪性腫瘍剤との併用でB法を使用する。
HER2陽性の根治切除不能な進行・再発の唾液腺癌にはドセタキセル製剤との併用でB法を使用する。
- A法
通常、成人に対して1日1回、トラスツズマブ(遺伝子組換え)として初回投与時には4mg/kg(体重)を、2回目以降は2mg/kgを90分以上かけて1週間間隔で点滴静注する。 - B法
通常、成人に対して1日1回、トラスツズマブ(遺伝子組換え)として初回投与時には8mg/kg(体重)を、2回目以降は6mg/kgを90分以上かけて3週間間隔で点滴静注する。
なお、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。
副作用
- HER2過剰発現が確認された転移性乳癌
主な副作用は、発熱、悪寒、悪心・嘔吐、疲労 等
- HER2過剰発現が確認された乳癌における術後補助化学療法
主な副作用は、悪寒、頭痛、発熱、悪心、疲労、駆出率低下、爪の障害 等
- HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃癌
主な副作用は、悪心、好中球減少症、嘔吐、食欲不振、疲労、下痢、手掌・足底発赤知覚不全症候群、口内炎
腎機能障害、口内炎、しゃっくり、便秘 等
重大な副作用
- 心障害
心不全(呼吸困難、起座呼吸、咳嗽等、S3ギャロップ、駆出率低下、末梢性浮腫 等)、心原性ショック、肺浮腫、心嚢液貯留、心筋症、心膜炎、不整脈、徐脈 等 - ショック、アナフィラキシー
低血圧、頻脈、顔面浮腫、眩暈、耳鳴、呼吸困難、喘息、喘鳴、血管浮腫、咽頭浮腫、気管支痙攣、呼吸不全、非心原性肺浮腫、胸水、低酸素症等があらわれることがある。 - 間質性肺炎・肺障害
間質性肺炎、肺線維症、肺炎(アレルギー性肺炎等を含む)、急性呼吸促迫症候群 等の肺障害があらわれることがある。
- 白血球の減少・感染症
発熱、寒気、震え、咳、のどの痛み、軟便、下痢、腹痛、排尿時の痛み、血尿、頻尿、残尿感、肛門痛、皮膚が赤くなる、おりものの増加・不正性器出血、陰部のかゆみ、歯肉痛、発汗 - 好中球減少
- 血小板の減少・出血
紫斑、内出血、歯磨きによる出血、鼻血、血便、血尿 - 赤血球の減少・貧血
手足が冷たい、爪の色が白い、顔色が悪い、頭痛、耳鳴りがする、脈拍が増える、動悸がする、息切れしやすい、食欲不振、便秘、めまいがする、疲労感・倦怠感がある - 肝機能障害
肝不全、黄疸、肝炎、肝障害
白目・爪・皮膚が黄色になる、発熱、出血しやすい、歯ぐきから出血する、青あるいは紫のあざができやすい、体がだるい、疲れやすい、吐き気、食欲がない、発疹ができる、関節が痛い - 腎障害
腎不全、腎障害があらわれることがある。 - 腎糸球体症
顔や手足がむくむ、体がだるい、尿量が減る、尿が赤みを帯びる、発熱、腹痛、吐き気、節々が痛む
- 昏睡、脳血管障害、脳浮腫
- 敗血症
寒気を伴った高熱が48時間以上続く、嘔吐、下痢になる、息苦しい、むくみが出る、呼吸が速くなる、動悸がする、めまいがする、脈が不規則になる
その他の副作用
HER2過剰発現が確認された転移性乳癌
副作用 | 10%以上 | 2~10%未満 | 2%未満 | 頻度不明 |
血液及びリンパ系障害 | - | - | - | プロトロンビン減少 |
肝臓 | - | - | AST(GOT)増加、ALT(GPT)増加 | - |
精神神経系 | - | 頭痛、めまい、味覚異常、感覚鈍麻、ニューロパチー | 錯感覚、不眠症、不安、うつ病、傾眠、筋緊張亢進 | 運動失調、不全麻痺、しびれ(感)、思考異常 |
眼 | - | - | 流涙増加、結膜炎、視力障害 | - |
循環器 心臓 | - | - | 低血圧、頻脈、潮紅、高血圧、動悸、熱感 | 血管拡張 |
呼吸器 | - | 呼吸困難、咳嗽、鼻出血 | 胸水、喘息 | - |
消化器 | 悪心・嘔吐 | 下痢、食欲不振、口内炎、便秘、腹痛 | 上腹部痛、消化不良、腸炎 | - |
皮膚・皮下組織系 | - | 発疹、脱毛症、爪の障害、そう痒症 | 紅斑、皮膚乾燥、蕁麻疹、皮膚炎、斑状丘疹状皮疹、発汗、ざ瘡 | - |
その他 | 発熱(31.5%)、悪寒(20.0%)、疲労(10.5%) | けん怠感、関節痛、疼痛、浮腫、背部痛、無力症、筋肉痛、胸痛、末梢性浮腫、四肢痛 | 上気道感染(鼻炎、鼻咽頭炎、咽頭炎、副鼻腔炎等)、胸部不快感、骨痛、頚部痛、尿路感染症、難聴、感染症 | - |
HER2過剰発現が確認された乳癌における術後補助化学療法
副作用 | 1%以上 | 0.2~1%未満 | 0.2%未満 | 頻度不明 |
腎臓 | - | - | 排尿困難 | - |
精神神経系 | 頭痛 | めまい、錯感覚、振戦、嗜眠、不眠症、味覚異常、不安、うつ病、回転性眩暈 | - | 感覚鈍麻、ニューロパチー |
循環器 心臓 | 動悸 | 高血圧、頻脈、熱感 | リンパ浮腫 | ほてり、低血圧、潮紅 |
呼吸器 | 呼吸困難 | 鼻漏、鼻出血 | 咽喉頭疼痛、咳嗽、副鼻腔炎、気管支炎 | - |
消化器 | 悪心、下痢、嘔吐 | 口内炎、腹痛、消化不良 | 上腹部痛、便秘、胃炎 | 口内乾燥、口腔内潰瘍形成、鼓腸 |
皮膚・皮下組織系 | 爪の障害、発疹、そう痒症 | - | 紅斑、ざ瘡 | 爪破損、皮膚乾燥、皮膚亀裂 |
その他 | 無力症、悪寒、発熱、疲労、関節痛、筋肉痛、インフルエンザ様疾患、上気道感染(鼻炎、鼻咽頭炎、咽頭炎等) | 末梢性浮腫、背部痛、筋痙縮、胸部不快感、粘膜の炎症、けん怠感、骨痛、胸痛、インフルエンザ | 浮腫、筋骨格痛、膀胱炎、尿路感染症、丹毒 | 帯状疱疹、乳房痛、蜂巣炎、四肢痛、流涙増加、体重増加、冷感、疼痛、粘膜乾燥、霧視、筋骨格硬直 |
HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃癌
副作用 | 10%以上 | 2~10%未満 | 2%未満 | 頻度不明 |
血液及びリンパ系障害 | - | ヘモグロビン減少 | - | - |
腎臓 | - | 腎クレアチニン・クリアランス減少、中毒性ネフロパシー | - | - |
精神神経系 | ニューロパチー | 味覚異常、浮動性めまい、不眠症、錯感覚 | 頭痛、嗜眠 | - |
循環器 心臓 | - | 高血圧 | 動悸、潮紅、起立性低血圧 | - |
呼吸器 | - | しゃっくり、鼻出血 | 咳嗽、呼吸困難 | - |
消化器 | 悪心、嘔吐、食欲不振、下痢、口内炎、便秘 | 腹痛、上腹部痛 | 消化不良、口内乾燥、嚥下障害 | - |
皮膚・皮下組織系 | 手掌・足底発赤知覚不全症候群 | 色素沈着障害、脱毛症、爪の障害、発疹、皮膚乾燥 | そう痒症 | - |
その他 | 疲労、無力症、粘膜の炎症、体重減少 | 発熱、悪寒、脱水、低カリウム血症、低ナトリウム血症、上気道感染、難聴、浮腫、末梢性浮腫、高クレアチニン血症、口腔カンジダ症、耳鳴、過敏症 | けん怠感、低アルブミン血症、体重増加 | - |
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初版日時: 2014-12-11 (木) 12:38:20
最終更新: 2022-03-28 (月) 16:50:18 (JST) (722d) by kondo
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