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ITP 概要 anchor.png

特発性血小板減少性紫斑病(ITP:Immune Thrombocytopenic Purpura)とは、明らかな基礎疾患や薬の副作用の関わりがなく血小板が減少して、出血症状をひき起こす病気です。

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分類 anchor.png

  • 急性型
    小児に多く発症し、推定発病または診断から6ヶ月以内に治癒します。
  • 慢性型
    成人に多く発症する傾向があります、6ヶ月以上遷延(せんえん)します。
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症状 anchor.png

血小板は、出血を止めるために非常に大切な細胞ですので、この数が減少すると、出血し易くなり、種々の程度の出血症状がみられます。

  • 点状や斑状の皮膚にみられる出血
  • 歯ぐきからの出血
  • 鼻血
  • 便に血が混じったり、黒い便が出る
  • 尿に血が混じって、紅茶のような色になる
  • 月経過多
  • 重症な場合は、脳出血
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原因 anchor.png

血小板に対する自己抗体ができ、脾臓で血小板が破壊されるために、数が減ってしまうと考えられています。

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診療科 anchor.png

血液内科・小児科

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診断 anchor.png

  1. 自覚症状・理学的所見
    出血症状がある。出血症状は紫斑(点状出血及び斑状出血)が主で,歯肉出血,鼻出血,下血,血尿,月経過多などもみられる。関節出血は通常認めない。出血症状は自覚していないが血小板減少を指摘され,受診することもある。
  2. 検査所見
    1. 末梢血液
      1. 血小板減少
        血小板100,000/μ・以下。自動血球計数のときは偽血小板減少に留意する。
      2. 赤血球及び白血球は数,形態ともに正常ときに失血性又は鉄欠乏性貧血を伴い,また軽度の白血球増減をきたすことがある。
    2. 骨髄
      1. 骨髄巨核球数は正常ないし増加
        巨核球は血小板付着像を欠くものが多い。
      2. 赤芽球及び顆粒球の両系統は数,形態ともに正常。
        顆粒球/赤芽球比(M/E 比)は正常で,全体として正形成を呈する。
    3. 免疫学的検査
      血小板結合性免疫グロブリンG(PAIgG)増量,ときに増量を認めないことがあり,他方,特発性血小板減少性紫斑病以外の血小板減少症においても増加を示しうる。
  3. 血小板減少をきたしうる各種疾患を否定できる。※
  4. 1 及び2 の特徴を備え,更に3 の条件を満たせば特発性血小板減少性紫斑病の診断をくだす。除外診断に当たっては,血小板寿命の短縮が参考になることがある。
  5. 病型鑑別の基準
    • 急性型:推定発病又は診断から6カ月以内に治癒した場合
    • 慢性型:推定発病又は診断から経過が6カ月以上遷延する場合
  • 小児においては,ウイルス感染症が先行し発症が急激であれば急性型のことが多い。
※血小板減少をきたす他の疾患

薬剤又は放射線障害、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、発作性夜間血色素尿症、全身性エリテマトーデス白血病悪性リンパ腫、骨髄癌転移、播種性血管内凝固症候群、血栓性血小板減少性紫斑病、脾機能亢進症、巨赤芽球性貧血敗血症、結核症、サルコイドーシス、血管腫などがある。

感染症については、特に小児のウイルス性感染症やウイルス生ワクチン接種後に生じた血小板減少は特発性血小板減少性紫斑病に含める。
HIVに関連した血小板減少症は他の点ではITPと区別がつかないため、HIV感染の危険因子をもつ患者にはHIV検査を実施する。

先天性血小板減少症としては、Bernard-Soulier 症候群、Wiskott-Aldrich症候群、May-Hegglin 症候群、Kasabach-Merritt 症候群などがある。

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副腎皮質ステロイドanchor.png

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免疫抑制剤 anchor.png

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治療法 anchor.png

副腎皮質ステロイド剤を使用して血小板数や症状をみながら徐々に減量していくのが一般的です。副腎皮質ステロイドが無効な場合や、副作用のために服用が困難な場合には、手術で脾臓を摘出することもあります。
摘脾手術が無効の時にはアザチオプリンやシクロホスファミドなどの免疫抑制剤を用いることがあります。

  • ガンマ・グロブリン治療
    一過性の効果しか得られないことが多いですが、有効率は高いので、摘脾手術の前や緊急時などに行われます。
  • ピロリ菌の除菌
    ピロリ菌を保有する場合は、抗菌薬で除菌することで、半数以上の人の血小板数が増えます。
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外科治療 anchor.png

  • 脾臓摘出
    血小板は、主にに脾臓で分解されるので、脾臓を摘出します。ステロイドを使えない患者さんや、ステロイド療法を続けても血小板数が5万個以上にならない場合は、脾臓摘出を考えます。
    通常、ステロイドを使い始めて6か月経過したころで、手術をするかしないかの判断をします。
    脾臓の摘出をすると、約半数の人はステロイドが必要なくなります。残りの半数の人も薬の量を減らすことができます。
    脾臓摘出をすると、子どもは感染症にかかりやすくなります。しかし、大人では、ほとんど副作用などの影響はありません。
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