MCTD 概要
混合性結合組織病(Mixed Connective Tissue Disease:MCTD)は、血清中に抗U1-RNP抗体が高値で検出される病気です。
また、全身性エリテマトーデス(SLE)様、全身性強皮症様、多発性筋炎・皮膚筋炎様の症状が混在する自己免疫疾患の一つである。
発症年齢は、30代が多く、ほとんど女性である。 日本では、特定疾患に指定されている。
病気の症状
レイノー現象は、MCTDの初発症状であることが多いです。 血管が一次的に細くなることで、皮膚の蒼白化、チアノーゼ(紫色)、紅潮を経て数分から数10分で正常の色調に戻ります。痛みのあるしびれや冷感を伴います。
- 手の腫脹
手の甲から指にかけて腫れぼったくなります。 - SLE様症状
全身性エリテマトーデスSLEによく似た症状として発熱、顔面紅斑、リンパ節腫脹、多発関節炎、漿膜炎(胸膜炎および心外膜炎)が認められます。
関節痛は、特に頻度が高いですが一過性のものがほとんどです。
稀に関節リウマチに類似した慢性の関節炎関節変形をきたすことがあります。また、腎症状(蛋白尿や血尿など)が起こることもあります。 - 強皮症様症状
手指の皮膚の硬化、肺線維症(間質性肺炎)、食道運動機能の低下が起こります。肺線維症があると空咳や息切れがでることがあり注意が必要です。
食道の運動機能が低下すると胸焼けがして固い食物を飲み込みにくくなります。 筋炎様症状 体躯幹に近い手足の筋力低下や筋肉痛が起こることがあります。
血液検査では血中のクレアチンキナーゼ(CK)、GOT、LDH、アルドラーゼなどの筋肉由来の酵素の数値が高くなります。 肺高血圧症 MCTDの5~10%に起こる重篤な合併症です。
動悸、息切れ、胸痛(胸骨後部痛)が起こります。進行性、治療抵抗性のものは原発性肺高血圧症と類似しています。 - 無菌性髄膜炎
イブプロフェンなどの解熱鎮痛薬を服用すると、無菌性髄膜炎を誘発することがあります。
三叉神経障害 少ない割合ですが、顔の神経を支配する三叉神経が障害され、顔の一部がピリピリする知覚障害が起きます。
初発症状の場合もあり、一度現れると、なかなか症状は消えません。しかし、麻痺が出ることはありません。
膠原病内科
治療法
対症療法が中心で副腎皮質ステロイド薬による治療が基本となります。
レイノー現象症状がひどい場合には、血管拡張薬(カルシウム拮抗薬、プロスタグランジン製剤)が用いられます。
- 軽症~中等症
発熱、関節炎、胸膜炎、軽症筋炎などの場合には、ステロイド剤としてプレドニゾロン錠(PSL)を20~30mgが処方されます。 - 重症
出血傾向を伴う血小板減少症、ネフローゼ症候群、重症筋炎、急性間質性肺炎、中枢神経症状などの重篤な症状が認められた場合、ステロイド大量投与(PSL 40~60mg)が行われます。経口大量投与で充分な効果が得られない場合には、ステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロン500~1000mg点滴静注3日間)が有効です。
ステロイド剤の効果が充分に得られない場合や、重篤な副作用のためにステロイド大量投与ができない場合には、免疫抑制薬(アザチオプリンまたはシクロホスファミド)を併用することがあります。 - 肺高血圧症
発症の早期にはステロイド薬や免疫抑制薬で改善を示すことがあります。
また肺血管を広げる試みとしてカルシウム拮抗薬、経口プロスタサイクリン誘導体、プロスタサイクリン持続点滴静注、経口エンドセリン受容体阻害剤、在宅酸素療法などが行われています。 心不全を起こしているときは、酸素吸入、強心薬、利尿薬が用いられます。
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