概要
全身の皮膚が硬くなるほか、内臓にも病変を発症する原因不明の慢性疾患です。
強皮症には全身性強皮症と限局性強皮症があり、両者は全く異なる疾患です。 限局性強皮症は皮膚のみの病気で、内臓を侵すことはありません。
30~50歳代の女性に多く、男女比は1:9です。
症状
- レイノー症状
冷たいものに触れると手指が蒼白したり紫色になる症状で、冬に多くみられます。初発症状として最も多いものです。
皮膚硬化 手指の腫れを感じるようになります。また手のこわばりを伴うこともあります。
その後、手背、前腕、上腕、躯幹と体の中心部分に皮膚硬化が進行すうことがあります。 他の皮膚症状 爪上皮(爪のあま皮)の黒い出血点、指先の少しへこんだ傷痕、指先や関節背面の潰瘍、毛細血管拡張、皮膚の石灰沈着、皮膚の色が黒くなったり、
逆に黒くなった皮膚の一部が白くなったりする色素異常などがみられます。 - 肺線維症
症状が悪化すると空咳や息苦しさが生じ、酸素吸入を必要とすることがあります。
肺線維症があると細菌が感染しやすくなり、肺炎を起こしやすくなります。 - 強皮症腎クリーゼ
腎臓の血管に障害が起こることにより高血圧となります。
急激な血圧上昇とともに、頭痛、吐き気が生じます。 ACE阻害薬という特効薬による早期治療が必要となります。 - 逆流性食道炎
食道下部が硬くなり、胃酸が食道に逆流して起こります。胸焼け、胸のつかえ、逆流感などが生じます。 - その他の症状
手指の屈曲拘縮、関節痛、便秘、下痢などが起こることがあります。
診療科
膠原病内科
診断基準
厚生省強皮症調査研究班、1992年
I.中手指関節より近位の皮膚硬化(proximal scleroderma)ありのとき
- (1) Raynaud症状
- (2) 抗核抗体値の異常
- 判定; (1)あるいは(2)の一方でも陽性の場合は強皮症と診断してよい。
(1)、(2)ともに陰性の場合にはII(1)、II(2)を参考にして診断する。
II.中手指関節より近位の皮膚硬化(proximal scleroderma)なしのとき
- 判定; (1)あるいは(2)の一方でも陽性の場合は強皮症と診断してよい。
- (1) 皮膚・粘膜症状
- 1.sclerodactylia
- 2.その他の皮膚・粘膜症状
- (a) pitting scar
- (b) 爪上皮の延長
- (c) 全身色素沈着
- (d) 顆粒状角化
- (e) 舌小帯の短縮
1が陽性か 2 の(a) ~ (e)の5項目中2項目以上が陽性の場合を(+)とする
- (2) 検査所見
- 1.両下肺野線維症(X-PまたはCT)
- 2.食道下部無動性拡張または蠕動低下(X-Pまたは内圧検査)
- 3.組織学的硬化(前腕伸側皮膚)
- 4.血清検査((a)か(b)のいずれかの陽性を(+)とする。
- (a) トポイソメラーゼI抗体
- (b) セントロメア抗体
1~4 の4項目中2項目以上が陽性の場合を(+)とする。
判定:(1)および(2)の両項目が(+)の場合のみ強皮症と診断してよい。
注:(2) 4.血清検査において抗RNP抗体が高値の場合には、混合性結合組織病(MCTD)も考慮される。
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