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概要 anchor.png

ベーチェット病は、全身に色々な症状が繰り返し現れる病気です。 原因は解っていませんが、ベーチェットというのはこの病気を昭和10年代に詳しく報告したとるこの皮膚科の医師の名前です。
症状は口唇、頬部、歯肉部の粘膜、舌に辺縁明瞭な円形の浅い痛みのある潰瘍を生じます。1週間前後で瘢痕を残さずおさまり、再発を繰り返します。 HLA-B51という組織適合性抗原が50%以上の例で認められます。

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原因 anchor.png

病因は不明です。しかし何らかの内因(遺伝素因)と外因(感染病原体やそのほかの環境因子)が関与して白血球の異常が生じて病態が形成されると考えられています。

  • 内因
    人の組織適合性抗原(MHC)である人白血球抗原(HLA)のHLA-B51というタイプです。また、そのほかの遺伝因子も発症や病状に影響を及ぼす可能性が考えられています。
    • ベーチェット病疾患感受性遺伝子として「IL1A-IL1B」、「RIPK2」、「ADO-EGR2」、「LACC1」、「IRF8」、「CEBPB-PTPN1」領域が同定されます。
      同定した遺伝子の機能解析により、IL1A-IL1BのSNP(一塩基多型)のリスクアリルを2個保有する人においてIL-1βが増加し、またIL-1αが低下しています。
      このことから、IL-1αの皮膚バリア機能の低下によって、侵入した病原体への過剰なIL-1βを介した免疫反応がベーチェット病の発症メカニズムに関与することが考えられます。
  • 外因
    ある種の工業汚染物質の影響や、虫歯菌を含む細菌やウイルスなどの微生物が関係しているのではないかと考えられています。
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ひと白血球抗原(HLA)とは anchor.png

ひとの主要組織適合性複合体(MHC)です。 一般的に血液型というとA,B,AB,O型といった赤血球の型を指しますが、HLA型は白血球の型を示しています。
HLAは「自他認識」のマーカー分子として機能していて、臓器移植手術のとき拒否反応を起こさないための組織適合検査に利用されます。
ひとの主要組織適合性複合体(MHC)は第6染色体短腕の3,400キロベース(340万の塩基対)に及ぶ長大な領域に展開されていて、多数の良く似た相同遺伝子が点在しています。
抗原は、白血球のうちのリンパ球という細胞に保存されています。

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症状 anchor.png

ベーチェット病の急性期には、CRP陽性、血沈の亢進などの血液検査結果を呈します。

  • 口腔粘膜症状
    再発性アフタ性潰瘍 初期症状として、98%の患者に口唇、頬粘膜、舌、歯肉、口蓋粘膜に円形の境界鮮明な潰瘍ができます。食べ物や飲み物が口腔内でしみます。
  • 眼症状
    ほとんど両眼に炎症を起こします。 前眼部病変 虹彩毛様体炎が起こり、眼痛、充血、羞明、瞳孔不整がみられます。
    • 後眼部病変
      眼底(網膜、脈絡膜)に強い滲出や出血を起こします。突然視力が低下し、障害が蓄積された場合、失明に至ることがあります。
      失明の原因は、併発白内障、視神経萎縮、黄班部変性、黄班部孔形成、緑内障や眼球ろう*1などです。 皮膚症状 下腿伸側や前腕に結節性紅斑様皮疹が起こります。
      病変部は紅くなり、皮下の硬結、痛みを伴います。座瘡様皮疹は中心に膿を持った「にきび」に似た皮疹で、顔、頸、胸部などにできます。かみそり負けが出やすく、針などを刺すと発赤して膿んだりします。
  • 外陰部潰瘍
    男性では陰嚢、陰茎、亀頭に、女性では大小陰唇、膣粘膜に有痛性の潰瘍がみられます。
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副症状 anchor.png

関節炎 膝、足首、手首、肘、肩などの大きな関節が侵されます。典型的には腫脹がみられます。対称性、変形、強直はなく、手指などの小関節は侵されません。

  • 血管症状
    男性が多い病型ですが、大きな血管に病変がみられたとき、血管型ベーチェット病といいます。動脈、静脈ともに侵され、深部静脈血栓症がもっとも多く、上大静脈、下大静脈、大腿静脈などに起こります。動脈病変としては動脈瘤が起こります。
  • 消化器症状
    腸管に潰瘍を起こし、虫垂炎と間違えるような腹痛、下痢、下血など起こります。右下腹部にあたる回盲部が多く、上行結腸、横行結腸にも起こります。
  • 神経症状
    ベーチェット病発症から平均6.5年経過すると神経症状が起こることがあります。 頭痛、髄膜炎、精神症状などが生じます。
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診療科 anchor.png

膠原病

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診断 anchor.png

血液検査により診断が出来ませんので厚生省研究班の診断基準を参考にして診断します。
症状の現れ方によって「完全型」「不全型」「疑い」と分類します。

  • 特殊病型
    臓器の病変が主体である場合は、病変に応じて血管型、神経型、腸管型に分類されます。
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診断基準(厚生省研究班) anchor.png

主症状

  • 1.口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍
  • 2.皮膚症状
    • a)結節性紅斑
    • b)皮下の血栓性静脈炎
    • c)毛嚢炎様皮疹、ざ瘡様皮疹
  • 3.眼症状
    • a)虹彩毛様体炎
    • b)網膜ぶどう膜炎
    • c)以下の所見があればa)、b)に準ずる
       視神経萎縮、虹彩後癒着、水晶体上色素沈着、毛脈絡膜萎縮、白内障、緑内障
  • 4.外陰部潰瘍

副症状

  • 1.変形や硬直を伴わない関節炎
  • 2.副睾丸炎
  • 3.回盲部潰瘍で代表される消化器病変
  • 4.血管病変
  • 5.中等度以上の中枢神経病変
    病型診断の基準
  • 1)完全型
    経過中に4症状が出現したもの
  • 2)不全型
    • a)経過中に3主症状と2副症状が出現したもの
    • b)経過中に定型的眼症状とその他の1主要症状、
      あるいは2副症状が出現したもの

参考となる検査所見

  • 1.皮膚の針反応
  • 2.炎症反応
    赤沈値の亢進
    血清CRP高値
    末梢白血球数の増加
  • 3.HLA-B51の陽性
  • 4.病理所見
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  • 副腎皮質ステロイド
    副腎皮質から分泌されるコーチゾンというホルモンは、多彩な働きがあるため、各種の副腎皮質ステロイドが合成されています。 プレドニン 体内の炎症を抑えます。
  • 消炎鎮痛剤
    ロキソニン錠(一般名:ロキソプロフェンナトリウム) 炎症による腫れ、痛みをやわらげる作用があります。とくに痛みに対してよく効きます。消炎剤では、炎症そのものの原因は治せませんが、炎症に伴う症状を軽くして治癒を助けます。
    • 副作用
      発疹、痒み、腹痛、胃の不快感 重い副作用 間質性肺炎やショック、アナフィラキシー様症状、皮膚障害(中毒性皮膚壊死症)などの過敏症状、肝障害や腎障害(ネフローゼ症候群を含む)、血液障害、髄膜炎が起こることがあります。
      消化管出血や、穿孔を起こすこともあります。
  • 緩和な精神安定剤(マイナートランキライザー) セレナミン錠(一般名:ジアゼパム)
    穏やかな鎮静作用と筋肉のこりをほぐす作用があります。精神的な緊張による不安、いらだち、緊張を和らげます。また、筋肉のこり、不眠を改善します。
    • 副作用
      眠気、倦怠感、運動反射機能の抑制、頻脈、血圧低下などが起こったり、吐き気、便秘などの胃腸症状が生じることがあります。
      • 禁忌
        重症筋無力症の患者 呼吸障害のおそれがあります。
        一部の緑内障の患者 眼圧を上昇させる場合があります。
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治療法 anchor.png

急性の発作を繰り返さないように安静をとりコントロールします。 前眼部で発作を起こした場合、1%アトロピン点眼により目の安静を保ち、副腎皮質ステロイド薬の点眼で炎症を早く抑える必要があります。
頻繁に発作を起こすようであれば、非ステロイド消炎薬や、時には免疫抑制剤の内服も必要になります。
後眼部は、一度発作を起こすと視力の回復に時間がかかると同時に、視力障害を残してしまうことも多いので、出来る限り発作を起こさないように治療をする必要があります。
内服薬としてコルヒチン、シクロホスファミド、アザチオプリンなどの免疫抑制剤が処方されます。これらの治療で効果がない場合は、シクロスポリンやタクロリムスの内服も行います。この薬は、特にTリンパ球に働いて、その作用を弱めることにより効果を現します。
ベーチェット病では、他の薬で効果がなかった症例でも効果がある場合が多くあります。しかし、この薬には、腎障害をはじめとする重大な副作用を起こすことがありますので、服用にあたっては十分な血液検査、尿検査と注意深い観察が必要となります。

  • 眼症状
    虹彩毛様体など前眼部に病変がとどまる場合は、発作時に副腎皮質ステロイド点眼薬と虹彩癒着防止のため散瞳薬を使用します。
    網膜脈絡膜炎では、発作時にはステロイド薬の局所および全身投与で対処します。積極的な発作予防のためコルヒチンやシクロスポリンを使用します。
    インフリキシマブ(抗腫瘍壊死因子抗体)が難治性眼病変に対して良い効果があります。
  • 皮膚粘膜症状
    口腔内アフタ性潰瘍、陰部潰瘍には副腎すてろいど軟膏の局所塗布が効果があります。また内服薬としてコルヒチン、セファランチン、エイコサペンタエン酸などが効果があります。
    外陰部潰瘍で痛みが強いときは、キシロカイン・ゼリーを局所に塗ります。 関節炎 コルヒチンが効果があり、対症的に消炎鎮痛薬を使用します。
  • 血管病変
    副腎皮質ステロイド薬とアザチオプリン、シクロフォスファミド、シクロスポリンAなどの免疫抑制薬を使用します。
    また、深部静脈血栓症などの血管病変に対しては抗凝固療法を併用します。諸動脈瘤破裂による出血は緊急手術がされますが、
    血管の手術後に縫合部の仮性動脈瘤の形成などの病変が起こります。
  • 腸管病変
    副腎皮質ステロイド薬、ファサラジン、メサラジン、アザチオプリンなどを使用します。
    難治性であることもあり、消化管出血、穿孔は手術を必要とします。再発率も高く、術後に免疫抑制剤療法も行います。
  • 中枢神経病変
    脳幹脳炎、髄膜炎などの急性期の炎症にはステロイドパルス療法を含む大量の副腎皮質ステロイド薬が使用され、アザチオプリン、メソトレキサート、シクロホスファミドなどの免疫抑制薬を併用することもあります。
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家族の理解 anchor.png

長期にわたる慢性の病気ですので、家族の病気に対する理解と協力が必要です。
特に視力が著しく低下したり、不幸にも失明に至ったときには精神的な支えが必要です。

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