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概要 anchor.png

生体は、細菌やウイルスなど体内に侵入してきた外敵、異物を破壊するため免疫機能が働きます。
通常、この免疫機能は、自らの体に対しては攻撃をしないようになっていますが、ある病的な状態下では自分の体の構成分に対し抗体が産生され炎症が生じます。
これを自己免疫と呼びますが、その結果、肝臓に慢性炎症が生じるものを自己免疫性肝炎(AIH)といいます。
自己免疫性肝炎と診断される患者さんの80%以上は女性で男女比は1:7で女性に多い病気です。また、皮膚症状や関節症状を伴いやすいことも特徴です。

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症状 anchor.png

約6割の人が倦怠感を訴えます。他の症状としては黄疸、食思不振、関節痛、発熱などがあります。 病気が進むと肝硬変になり、腹水、黄疸など肝硬変による症状が現れてきます。

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診断基準 anchor.png

  • 診断指針
    中年以降の女性に好発し、慢性に経過する肝炎であり,肝細胞障害の成立に自己免疫機序が想定される。診断に当たっては、肝炎ウイルス、アルコール、薬物による肝障害、及び他の自己免疫疾患に基づく肝障害を除外する。
  • 主要所見
    • 血中自己抗体(特に抗核抗体、抗平滑筋抗体など)が陽性
    • 血清γグロブリン値又はIgG値の上昇(2g/dl以上) 持続性又は反復性の血清トランスアミナーゼ値の異常 肝炎ウィルスマーカーは原則として陰性
    • 組織学的には肝細胞壊死所見及びpiecemeal necrosis を伴う慢性肝炎あるいは肝硬変であり、しばしば著明な形質細胞浸潤を認める。ときに急性肝炎像を呈する。

上記の主要所見により、自己免疫性肝炎が疑われた場合、組織学的検査を行い、自己免疫性肝炎の国際診断基準を参考に診断する。

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国際診断基準によるAIH診断のためのスコアリングシステム anchor.png

項目点数
女性+2
ALP AST/ALT比<1.5+2
-1.5~3.000
->3.0-2
血清グロブリン又はIgG値
正常上限値との比
>2.0+3
-1.5~2.0+2
-1.0~1.5+1
-<1.00
ANA、SMA又はLKM-1抗体>1:80+3
-1:80+2
-1:40+1
-<1:400
AMA陽性-4
肝炎ウイルスマーカー陽性-3
-陰性+3
薬物投与歴陽性-4
-陰性+1
平均アルコール摂取量<25g/日+2
->60g/日-2
肝組織像Interface hepatitis+3
-リンパ球や形質細胞優位の細胞浸潤+1
-肝細胞のロゼット形成+1
-上記のいずれの所見も認めない-5
-胆管病変-3
-他の病変-3
-他の自己免疫疾患+2
付加項目他の認識された自己抗体陽性+2
-HLA DR3又はDR4陽性+1
-治療反応性寛解+2
-治療反応性再燃+3
総合点数による評価-
治療前AIH確診例 (difiinite)>15
治療後AIH疑診例 (probable)10~15
治療前AIH確診例 (difiinite)>17
治療後AIH疑診例 (probable)12~17
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合併症 anchor.png

甲状腺機能低下症関節リウマチなど他の自己免疫性疾患が合併する場合もあります。

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一般的にプレドニソロンが使用されます。
通常30から40mg/日で開始し、GOT、GPTの改善を確認しながらゆっくりと減量します。GOT、GPTが正常化しても肝臓の組織内の炎症反応は必ずしも
平行して改善するわけではないので、投与は長く続けることが大切です。 副腎皮質ステロイドには消化性潰瘍、満月様顔貌、糖尿病、骨粗鬆症などがあります。
ウルソ(UDCA) GPTを正常化することができ、抗核抗体を下げる作用があります。 ウルソ投与6か月後に、抗核抗体、抗平滑筋抗体は陰性になる例があります。
グリッソン鞘にはピースミールネクローシスがなくなりリンパ球の浸潤も少なくなります。肝実質にはリンパ球の浸潤やフォーカルネクローシスが多少残ることがありますが、正常に近い状態まで改善します。

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治療法 anchor.png

自己免疫反応を抑えるために免疫抑制剤、特に副腎皮質ステロイドが治療に用いられます。この副腎皮質ステロイド自己免疫性肝炎の特効薬で、
殆どの患者さんで投与により血清GOT、GPTは速やかに正常化されます。 副腎皮質ステロイドの効果が不十分あるいは副作用のため使用できない
患者さんにはアザチオプリン(イムラン)などの免疫抑制剤を使用します。 また、病気が重く重症度が高い場合には副腎皮質ステロイドを点滴で大量に用いる場合もあります。

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