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概要 anchor.png

下垂体腺腫(Pituitary adenoma)は、脳下垂体にできる脳腫瘍の一種。「下垂体腫瘍」とも言われる。
下垂体腺腫は一般的に、腺腫・浸潤性腺腫・癌という3つのカテゴリに分類される。うち、ほとんどが良性腺腫であり、約35%が浸潤性腺腫、がんは0.2%~0.1%である。

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下垂体 anchor.png

下垂体は、脳下垂体中葉によって2つの部分に分けることができます。1つは腺の体積の3分の2を占める前葉、もうひとつは体積の3分の1を占める後葉である。

  • 下垂体前葉
    下垂体前葉(腺下垂体)は、6つの異なるホルモンを生成、分泌する本来の分泌腺である。それぞれ、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、成長ホルモン(GH)、およびプロラクチン(PRL)である。
  • 下垂体後葉
    下垂体後葉(神経葉または神経下垂体)は、本来の意味での分泌腺ではない。後葉は、脳下垂体茎を経由して接続されている視床下部から延びるニューロンの軸索を内部に含む。視床下部の視索上核および室傍核のニューロンによって生成されるバソプレシンとオキシトシンは、葉内の軸索終末(樹状突起)から放出され、後葉に格納される。
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分類 anchor.png

下垂体腺腫は、一般的には、下垂体の前葉から発生します。ホルモンを過剰に分泌するもの(ホルモン産生腺腫)とホルモンを分泌しないもの(非機能性腺腫)に大きく分けられ、ホルモン分泌の種類により下記のように分類されます。

    • 成長ホルモン産生下垂体腺腫:先端巨大症・巨人症
    • プロラクチン産生下垂体腺腫:プロラクチノーマ
    • 副腎皮質刺激ホルモン産生下垂体腺腫クッシング病
    • 甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腺腫
    • 性腺刺激ホルモン産生下垂体腺腫
    • 非機能性下垂体腺腫:ホルモンの過剰分泌がみられない腫瘍
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症状 anchor.png

ホルモンの過剰分泌による各種の症状、視神経圧迫による視力視野障害、下垂体機能低下症などが一般的です。
稀に下垂体卒中と呼ばれ、腫瘍内に突然出血することがあります。そのような場合には、突然の頭痛および視力視野障害や眼球運動障害などが生じます。

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非機能性腺腫 anchor.png

男性に多く、青壮年期から老年期にかけて多く発生する。ホルモンの過剰分泌による症状がないため、症状発現時にはすでにかなり大きな腫瘍が多い。よって、症状としては、下垂体のすぐ真上にある視神経が腫瘍により下側から直接圧迫され、両眼の耳側半分が見えなくなる両耳側半盲という症状が一般的です。しかし、視野の障害は自覚症状としては気づきにくく、診察して初めて本人が気づくことがよくあります。
頭痛を伴うこともよくあります。さらに正常下垂体が圧迫され、下垂体前葉機能不全症が生じます。具体的には、男性では、性欲低下や勃起不全などの性機能障害、女性では、月経不順、無月経や乳汁分泌などです。疲れやすくなり、抵抗力が低下します。さらに色白になり、腋毛や恥毛の脱落がみられる場合もあります。不妊症、特に男性不妊症の原因のひとつでもあります。

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プロラクチン産生腺腫 anchor.png

若い女性 (20~40歳代)に多い。プロラクチンが過剰に分泌され、月経不順や無月経、さらに乳汁分泌などがみられます。つまり、妊娠していないのに体が妊娠しているような状態になります。これらの症状が出現すると女性は早くに病院に行きますので腫瘍は小さいことが多いです。
女性不妊症の原因として重要な疾患です。これらの症状から患者は、まず産婦人科を受診する事が多いですが、実は脳腫瘍ですので脳神経外科を受診すべき病気です。
稀ですが、この腫瘍は男性にも発生します。男性ですと性欲低下や勃起不全になりますが、なかなか気づかれない事が多く、通常、腫瘍が大きくなって視力や視野に異常がみられるようになり初めて病院を受診し発見されます。したがって、男性では、中高年に多くみられ、腫瘍が大きいことが特徴です。稀に男性でも乳汁分泌を認めます。

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成長ホルモン産生腺腫 anchor.png

発生頻度は男女ほぼ同じくらいですが、40歳代の男性にやや多い傾向がみられます。成長ホルモンが過剰に分泌されることにより、身体的に特徴的な症状を示します。骨端線の閉じる前 (思春期前)の小児期にこの病気になると身長や手足が異常に伸び、いわゆる巨人症になります。また、成人になってからですと手足の先端や額、下顎、鼻、唇、舌などが肥大し先端巨大症と云われます。靴や指輪のサイズが合わなくなったとか、数年前に比べて顔つきがかなり変わったということからこの病気が発見される事がよくあります。睡眠時無呼吸や咬合不全の原因の一つでもあります。
男性ですと性機能の低下、女性では無月経なども起こります。放っておくと糖尿病高血圧、心不全などになり命に関わります。また、癌などにもなりやすくなると云われています。

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副腎皮質刺激ホルモン産生下垂体腺腫 anchor.png

副腎皮質刺激ホルモン産生腺腫は、クッシング病と呼ばれ、下垂体から副腎皮質刺激ホルモンが過剰に分泌されます。若年から中年の女性に多く、肥満が特徴です。諸外国では小児例も比較的多くみられます。顔が満月様に丸くなり、手足に比べて胸や腹部が太る、いわゆる中心性肥満という体型になります。にきびができやすく、体毛が濃くなります。多毛が初発症状のこともよくあります。前胸部や下腹部に赤紫色の引っ掻いたような線状の痕跡 (皮膚線条)がみられたり、上下肢に青あざができやすくなったりします。女性では無月経にもなります。小児では思春期になっても月経が発来しない、いわゆる原発性無月経の原因の一つでもあります。また、精神的にはうつ状態になることもよくあります。頑固な高血圧糖尿病を伴うこともよくあります。

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甲状腺刺激ホルモン産生腺腫 anchor.png

現在までに約350例の報告しかなく、最も稀なホルモン分泌性下垂体腺腫です。甲状腺ホルモンの測定法の進歩により、この腫瘍の頻度は近年増加傾向にあります。全年齢層に生じ、性差はありません。主症状は、甲状腺の機能亢進に基づく頭痛、急激な痩せ、手の振戦、動悸、不整脈、下痢、精神症状などである。甲状腺そのものの疾患と誤診され、間違った甲状腺の治療をされている例が多く見られます。また、大きな腺腫が多く、腫瘍が視神経を下方から圧迫して視力視野障害を伴います。時に成長ホルモンプロラクチンを同時に産生し、先端巨大症や無月経、乳汁分泌などもみられます。

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原因 anchor.png

原因は不明です。

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診療科 anchor.png

脳神経外科と耳鼻咽喉科共同で外科的治療
外科的治療後、内分泌科併診にて治療を進める。

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検査 anchor.png

  • MRI
    造影剤を用いた画像の冠状断像および矢状断像
    下垂体腺腫は造影効果の少ない腫瘍として描出されます。
  • ダイナミックMRI
    腫瘍が小さい場合は、造影剤の急速注入下に時間経過とともにMRIを連続して撮影します。
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診断 anchor.png

ホルモン分泌性の下垂体腺腫の診断の原則は、血中でのホルモンの過剰分泌とそれに伴う臨床症状およびMRIなどの画像診断上での下垂体部腫瘤の存在であります。非機能性下垂体腺腫の診断は、視神経や下垂体の腫瘍による圧迫症状とMRIなどの画像診断上での下垂体部腫瘤の存在であります。

  • プロラクチン産生腺腫
    無月経や乳汁分泌などの症状、血中プロラクチン値が高値、さらにMRIでの下垂体腫瘤の証明がされれば、診断は確定します。血中のプロラクチン値と腫瘍の大きさには正の相関があると言われています。高プロラクチン血症の原因として最も多いのが薬剤ですので、多量の胃薬や精神安定剤などの服用歴には十分注意が必要です。
  • 成長ホルモン産生腺腫
    血中の成長ホルモン値の高値およびInsulin growth factor I (IGF-I、ソマトメジンC)の高値、さらにMRIでの下垂体腫瘤の証明がされれば診断は確定します。
    血中の成長ホルモンが正常域でもIGF-Iが高値であれば、先端巨大症が疑われますが、成長ホルモンが高値でもIGF-Iが正常域の場合は、むしろ先端巨大症は否定的です。その理由は、血中の成長ホルモン値は日内変動しますし、ストレスや食事などのさまざまな要因により変化しますが、IGF-Iはそのような要因にはほとんど影響されないからです。
  • 副腎皮質刺激ホルモン産生下垂体腺腫
    クッシング症候群は、下垂体腺腫だけではなく、副腎疾患や肺癌など異所性の副腎皮質刺激ホルモン産生腫瘍によっても生じます。また、MRI上、下垂体腫瘤が証明されても、その腫瘤が副腎皮質刺激ホルモンを分泌しているとは限りませんし、内分泌検査上、下垂体腺腫は明らかなはずなのにMRI上、腫瘤が小さすぎて証明されない場合もあります。
    そのような理由から、この疾患は、下垂体腺腫の中で最も診断が難しい腫瘍です。したがって、クッシング症候群の原因が内分泌学的検査にて明らかに下垂体に起因しており、MRI上、下垂体腫瘤が認められ、さらに下錐体静脈洞あるいは海綿静脈洞からの副腎皮質刺激ホルモンのサンプリングにより腫瘤からの副腎皮質刺激ホルモン分泌の証明が得られて初めて診断が確定します。
  • 甲状腺刺激ホルモン産生腺腫
    甲状腺機能亢進 (血中の甲状腺ホルモン高値)、血中の甲状腺刺激ホルモン高値、MRI上の下垂体腫瘤が証明されれば診断が確定します。
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病期 ステージ anchor.png

放射線解剖学的知見に基づいた分類

ステージI
トルコ鞍拡張のない微小腺腫(<1センチメートル)。
ステージII
巨大腺腫(≧1センチメートル)と鞍の上に延びていてもよい。
ステージIII
床の拡大および浸潤を持つ巨大腺腫または鞍上の拡張。
ステージIV
トルコ鞍の破壊。

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合併症 anchor.png

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anchor.png

  • (一般名:)
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治療法 anchor.png

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手術法 anchor.png

手術法は経蝶形骨洞的手術と開頭術の2つに分けられます。
経蝶形骨洞的手術には、上口唇下を切開する方法と直接鼻腔からアプローチする方法に分けられます。また、手術用顕微鏡を使用する場合と神経内視鏡を用いる場合、およびその両者を併用する場合があります。また、開頭術は、腫瘍の性状や伸展方向に応じていくつかのアプローチがあります。

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放射線療法 anchor.png

放射線療法は、手術により可能な限り腫瘍を摘出した後、手術的に摘出困難な領域に残存した腫瘍に対して行うことが原則です。
放射線療法は一般的な放射線療法と定位的放射線療法 (ガンマナイフ)に大別されます。
一般的な放射線療法では、残存腫瘍や腫瘍の再発・再増大における腫瘍の増殖制御の有効性は認められています。しかし、その副作用として視神経の障害、正常下垂体の機能障害、血管障害、放射線に誘発された腫瘍などの問題があります。

  • ガンマナイフ療法
    ガンマナイフ療法は、照射範囲、照射量などを正確に決めることができるので、視神経障害や下垂体機能障害などの副作用が非常に少ない方法です。
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罹患した著名人 anchor.png

  • ガンバレルーヤのよしこ お笑い芸人
    ホルモン産生の良性の腫瘍手術は鼻腔からアプローチする方法で行ったとされる。
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