概要
全身のいろいろな臓器(膵臓、唾液腺、涙腺、腎臓など)が腫れたり、硬くなったりする原因不明の病気です。
免疫グロブリンの一つであるIgG4が血液中で高いことや、臓器でIgG4分泌細胞の著しい浸潤および強い線維化が認められるのが特徴です。
ひとつの臓器だけでなく複数臓器が同時に冒されたり、数か月~数年後に別の臓器が冒されることもあります。症状は無症状のこともありますが、冒される臓器により多少異なります。
症状
冒される臓器により異なります。
肺では喘息症状、涙腺・唾液腺では眼瞼や下顎部・耳下部の腫れ(時にドライアイや口腔乾燥を伴う)、胆管や膵臓では黄疸や糖尿病、腎臓・後腹膜では腎機能障害、尿管狭窄(水腎症)などが起こります。
原因
原因は不明ですが、何らかの免疫異常が関系していると考えられています。
免疫に関係する遺伝子が発症に関与する可能性がありますが、家族発症はほとんどなく、遺伝性疾患ではありません。
診療科
検査
- CTやPET-CT、MRI(magnetic resonance imaging)、ガリウムシンチなどによる画像検査
障害される臓器に対応した部位での腫脹、腫瘤像などを認めることが出来ます。
診断
包括診断基準は臨床症状、血液所見、病理組織所見の3項目から構成されます。
- 臨床的に単一または複数臓器に特徴的なびまん性あるいは限局性腫大、腫瘤、結節、肥厚性病変を認めることが前提となる。
- そのうえで診断確定には、血清学的所見として高IgG4血症(135mg/dl以上)を認めること
- 生検を行い、病理学的所見として組織への著明なリンパ球、形質細胞の浸潤と線維化を認めることともにIgG4/IgG陽性細胞比40%以上、かつIgG4陽性形質細胞が10/HPFを超えるといったIgG4陽性形質細胞浸潤が認められること
鑑別疾患としては各臓器の悪性腫瘍やシェーグレン症候群、原発性硬化性胆管炎、多中心性キャッスルマン病、原発性後腹膜線維症、多発血管炎性肉芽腫症、サルコイドーシス、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症などが挙げられます。
合併症
治療法
ステロイド治療が有効です。稀に腫れが自然に小さくなることもありますので、そのような場合には急いで治療する必要はありません。
ステロイドには様々な副作用がありますので、ステロイドを使用できない時やステロイドの効果が悪い場合には、免疫抑制薬を使用することもあります。