肺動脈性肺高血圧症

抗凝固薬

ワーファリン錠（一般名：ワルファリンカリウム）
肺動脈性肺高血圧症は、肺血管に血液の固まり（血栓）があって血液の流れを悪くしていたり、心臓でできた血栓が肺に流れてきて、肺血管を詰まらせたりする場合があります。
そのため、血栓予防に血液を固まりにくくする抗凝固薬や抗血小板薬を使用します。.

抗血小板薬

• アスピリン

利尿薬

• ラシックス錠（一般名：フロセミド）
• アルダクトンA錠（一般名：スピロノラクトン）
• クバクロン錠（一般名：トリクロルメチアジド）
  尿の量を増やして、体内に必要以上にたまった水分を外に出すことにより、心臓や肺の負担を減らします。ただし、使い過ぎると全身の水分が減ってしまい、かえって症状が悪くなることがあります。.

強心薬

• ドパミン塩酸塩点滴静注液（一般名：ドパミン塩酸塩）
• ドブタミン点滴静注液（一般名：希釈型ドブタミン塩酸塩注射液）
• ジゴシン錠（一般名：ジゴキシン）
• ミルリーラ注射液（一般名：ミルリノン）
• コアテック注（一般名：オルプリノン塩酸塩水和物製剤）
  心臓の収縮力を増強する薬です。また血管を広げる作用を併せ持つ薬もあります。

選択的プロスタサイクリン（PGI2）受容体作動薬

• ウプトラビ錠（一般名：セレキシパグ）

血管拡張療法

血管拡張薬で血管を広げたり、長期では血管壁の構造が改善して、肺の圧力が下がり、心臓への負担が軽くなります。

プロスタグランジンI2（プロスタサイクリン）製剤

• 静注用フローラン（一般名：エポプロステノール）持続静注
  プロスタサイクリンは、私たちの体の中で作られている物質で、血管を広げる作用（血管拡張作用）を持っています。
  肺動脈性肺高血圧症の患者さんは体内のプロスタサイクリンが不足しているので、これを補うために、プロスタサイクリンを注射します。
  • この薬は体内に入ると数分内に分解されて作用を失ってしまうため、点滴やポンプを携帯して、体内に薬を送り続ける必要があります。これはプロスタサイクリン持続静注療法と呼ばれます。

• ドルナー錠（一般名：ベラプロストナトリウム）
• プロサイリン錠（一般名：ベラプロストナトリウム）
• プロルナー錠（一般名：ベラプロストナトリウム）

エンドセリン受容体拮抗薬

エンドセリンは体内で作られている、非常に強力で持続的な血管収縮作用を持つ物質です。エンドセリン受容体拮抗薬はエンドセリンのはたらきを抑え、その結果、血管を拡張させる経口薬です。

• ヴォリブリス錠(一般名：アンブリセンタン）
• トラクリア錠（一般名：ボセンタン水和物）

ホスホジ エステラーゼ-5阻害薬（PDE-5阻害薬）

体内で作られている血管拡張物質の一酸化窒素（NO）のはたらきを増強して、血管を拡張させます。.

• レバチオ錠（一般名：シルデナフィルクエン酸塩）
• アドシルカ錠（一般名：タダラフィル）

酸素吸入療法

肺動脈性肺高血圧症では心臓が血液を送り出す力が弱くなっているため、全身へ酸素を運ぶ能力が低下してしまいます（低酸素血症）。特に体を動かした後や睡眠後は大きく低下することがあります。酸素吸入では、通常の空気より高い濃度の酸素を吸うことで、この症状を改善します。

手術療法

• 肺移植
  薬物療法では十分な効果が得られない場合には、手術療法を行います。