肺気胸 概要
気胸(Pneumothorax)は、何らかの理由で肺の空気が胸腔内へ漏れ出し、その空気が肺を圧迫し、肺が外気を取り込めなくなった状態である。
症状
多くは突然発症する。呼吸をしても大きく息が吸えない、激しい運動をすると呼吸ができなくなるなどの呼吸困難、酸素飽和度の低下、頻脈、動悸、咳などが見られる。
発症初期には肩や鎖骨辺りに違和感、胸痛や背中への鈍痛が見られることがあるが、肺の虚脱が完成すると胸痛はむしろ軽減する。痛みは人によって様々で、全く感じない人もいれば、軽微の気胸で激痛を感じる人もいる。
原因
- 自然気胸
- 原発性自然気胸(Primary spontaneous pneumothorax)
- 続発性自然気胸(Secondary spontaneous pneumothorax)
多くは自然気胸で肺胞の一部が嚢胞化したものや胸膜直下に出来た嚢胞が破れ、吸気が胸腔に洩れる事でおこる。
- 続発性気胸
年配者の気胸は、肺気腫・結核・肺癌などの基礎疾患に伴い起こる。
- 月経随伴性気胸
女性の場合、子宮内膜症が横隔膜や肺に広がり月経とともに剥がれ落ちて起こる。 - 血気胸
静脈や動脈の損傷(血胸)を伴い起こる。 - 外傷性気胸
鍼による肩背部・胸部などへの直深刺などにより起こる。
- その他
交通事故などによる肋骨骨折が原因となるものや、点滴誤穿刺、気管支鏡検査による合併症によるものがある。
検査
- 聴診
肺に空気が送られる音がしないなどの呼吸音減弱が見られる。これは聴診器で確認できる。 - レントゲン
胸部X線写真で血管影を伴わない空虚な領域は気胸と疑われる。血胸・血気胸では血液を含む胸水によるX線透過性の低下した像を認める。 - CT
胸部CTによって、比較的大きな嚢胞であれば場所が確認できる。 - 胸腔穿刺
胸腔穿刺は胸水の性状を確認するため施行される。
病期 ステージ
気胸の重症度分類
軽度気胸 | 胸部レントゲン検査で、 |
中等度気胸 | 胸部レントゲン検査で、肺尖が鎖骨より下にある。 |
高度気胸 | 胸部レントゲン検査で、肺の虚脱が著しい。 |
緊張性気胸 | 高度気胸で、さらに肺から空気がもれ続け、胸腔内が陽圧になっている状態。 |
治療法
安静
- 軽度の気胸
無理な姿勢や運動をせず、無理な呼吸をしないで、安静にするのみで自然治癒を待つ。これが気胸の基本的な治癒方法で、自覚症状が無いまま完治してしまうこともある。胸腔内は密閉空間なので漏れ出た空気の逃げ道が無いが、軽度であれば数週間かけて粘膜から空気が吸収されて元に戻る。ただし自然治癒の場合は、外科手術に比べ再発する確率がはるかに高いため、再発を繰り返す場合は以下に示す中程度以上の処置が必要となる。
胸腔ドレナージ
- 中程度の気胸
激しい痛みや呼吸困難に襲われた場合である。その際は緊急処置として胸部の脇の部分を数ミリ切開し、胸腔ドレナージによる吸引を行う。これは胸腔内を脱気し肺が膨らみやすくなるようにするのが目的である。
手術療法
ドレーン処置を行っても改善しない場合は、手術によって嚢胞の切除が行われる。
一般的に胸腔鏡下で行われる。穴の開いた部分を縫い合わせる手術もある。
=吸収性メッシュシートによる補強
空気漏れを起こす嚢胞を切除した後、その部分に吸収性メッシュシートを貼り付けて補強する治療法である。
胸膜癒着術
化学熱傷をわざと起こし、肺が萎縮しなくなるための根本治療である。
癒着が不十分だと再発の可能性が残る。再発時は癒着しなかった部分のみ萎縮するため軽度・中程度の気胸に留まるものの、治療に際してドレーンを挿入できなくなる事がある。また手術を行う時は、癒着を剥がす必要があるために癒着のない場合より困難を来し、開胸を要する可能性が高くなる。
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初版日時: 2019-02-15 (金) 21:06:37
最終更新: 2019-02-16 (土) 14:45:23 (JST) (1858d) by kondo
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