自分の体を異物(抗原)と誤認して生じる抗体を自己抗体といいます。その中で自分の細胞の核を抗原とみなして攻撃するのが抗核抗体です。この抗核抗体には、細胞核成分であるDNA、RNA、核、タンパクなどに対する抗体が多種類あります。
全身性エリテマトーデス(SLE)などの膠原病になると、抗核抗体が血液中に出てきます。 自己免疫が関係する慢性甲状腺炎(橋本病)や肝硬変などの病気でも陽性になり、稀に健康な人でも陽性になることがあります。
原因不明の発熱、顔や手足、胸、腹などの皮膚の紅斑、関節や筋肉の痛み、疲れやすい・だるいなどの症状があり、抗核抗体が陽性であれば膠原病の可能性が高くなります。検査でみられる蛍光パターンによってある程度の鑑別はできますが、膠原病の種類を特定することはできません。
蛍光パターン | 代表的な病気 |
均一型 | 全身性エリテマトーデス |
辺縁型、核膜型 | 全身性エリテマトーデス |
斑紋型 | 混合性結合組織病、進行性全身性硬化症、多発性筋炎・皮膚筋炎、シェーグレン症候群 |
核小体型 | 進行性全身性硬化症 |
セントロメア型 | クレスト症候群、原発性胆汁性肝硬変症 |
膠原病(全身性エリテマトーデス、混合性結合組織病、全身性強皮症、多発性筋炎・皮膚筋炎、シェーグレン症候群)、慢性甲状腺炎(橋本病)、肝硬変など。