概要
喉頭癌は年齢60歳以上に発病のピークがあり、発生率は10万人に3人程度です。
男女比は10:1で圧倒的に男性に多いという特徴があります。危険因子としてはタバコとお酒です。これらの継続的刺激が発がんに関与するといわれており、喉頭癌の方の喫煙率は90%以上、またアルコールの多飲が声門上がんの発生に関与すると言われています。
病理組織学的には扁平上皮癌という種類の癌がほとんどです。
喉頭癌は声門癌、声門上癌、声門下癌に分けられます。 症状としては、耳鳴り、難聴、など咽喉(のど)そのものよりも耳や鼻、目などにあらわれることが多いです。
症状
がんの発生部位により最初の症状は異なります。
- 声門癌
嗄声 がみられます。この嗄声は雑音の入った、ざらざらした声です。
癌が進行すると嗄声はさらにひどくなり、声門が狭くなって息苦しいなどの呼吸困難症状が現れます。同時に痰に血液が混じることもあります。
声門癌は頸部のリンパ節転移が少ないです。 - 声門上癌
食物を飲み込んだ時の痛み、いがらっぽさ、異物感などです。また、次第に耳に放散する痛みが現れます。
癌が進行して声帯に拡がると嗄声が出現し、さらに進行しますと声門癌と同様に呼吸困難などの症状を示します。 声門上癌ではリンパ節転移を多く認めます。 - 声門下癌
進行するまで無症状の状態が続きます。
診断
喉頭がんの診断は、耳鼻咽喉科を受診した時に行われる視診と、生検と呼ばれる病変の一部を採取して行われる組織診断により確定されます。
組織診断は、咽頭、喉頭を局所麻酔剤で麻酔して咽頭反射を抑制した後、太いファイバースコープを用いて細かな部位まで観察し、次いで鉗子(かんし)により病変の一部を採取します。癌の進行範囲を把握するためには、レントゲン撮影による検査が必要となります。この検査は見えにくい部位、深部への進展の程度を判断する上で非常に有用です。
頸部正面、側面撮影の他、頸部の断層撮影、CT、MRIなどの検査を行います。 また、声帯の振動様式により喉頭の病気を診断する喉頭ストロボスコピート呼ばれる検査を行うこともあります。
病期 ステージ
原発巣は癌の進展の程度により、1~4の4段階に分類されます(T分類)。
声門がんでは、T1はさらにaとbに分類されます。
頸部リンパ節は大きさ、個数によって大きく0~3の4段階に分類されています(N分類)。
- 声門癌の分類とその特徴
- T1:声帯に限局している
- T2:声門上部または声門下部に広がっている
- T3:声帯の可動性が失われている
- T4:喉頭の外にまで広がっている
- N0:頸部リンパ節転移を認めない
- N1:3以下の頸部リンパ節転移を1個認める
- N2~3:それ以上の広がりをもつ頸部リンパ節転移を認める
声門癌では頸部リンパ節転移を認めることは少なく、癌が喉頭に限局していることがほとんどです。声門癌では期が70%、期が23%を占め、ほとんどが早期癌です。・期の進行癌は7%に過ぎません。
- 声門上癌の分類とその特徴
- T1:声門上部に限局している
- T2:声門部に広がっている
- T3:深部進展(深い根)があるか声帯の可動性が失われている
- T4:喉頭の外にまで広がっている
- N0:頸部リンパ節転移を認めない
- N1:3以下の頸部リンパ節転移を1個認める
- N2~3:それ以上の広がりをもつ頸部リンパ節転移を認める
通常は、T、Nと遠隔転移の有無(M分類)を総合判断して病期を決定します。この病期は4分類されています。
- I期:T1N0
癌が1亜部(喉頭とさらに小さい単位に分けたもの)にとどまっている状態。 - II期:T2N0
喉頭内の隣接亜部位まで進展しているが、喉頭内にとどまっている状態で、頸部リンパ節転移も遠隔転移もしていない。 - III期:T3N0、T1~3N1
声帯が全く動かなくなったり、3cmより小さい頸部リンパ節転移を1個認めるが、遠隔転移はしていない。 - IV期:T4N0~3、T1~3N2~3、M1(遠隔転移が認められる)
癌が喉頭を越えて咽頭や頸部に進展する、頸部リンパ節転移が多発する、あるいは転移リンパ節が6cm以上となる、またはがんと反対側の頸部リンパ節に転移する、遠隔転移を認めるといった状態。
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