サルコイドーシスは、肺、リンパ節、皮膚、眼、心臓、筋肉など全身の臓器に乾酪壊死を認めない類上皮細胞肉芽腫が形成される全身性の肉芽腫性疾患です。
サルコイドーシスの多くは症状がありません。そのため、他の理由で実施した胸部X線検査によって発見されます。 発熱、疲労感、鈍い胸痛、全身の倦怠感、体重減少、関節痛などの初期症状がみられます。
リンパ節の腫大は一般的ですが、何も症状は起こしません。
肺と心臓が接する部分もしくは右側の気管支のリンパ節の腫大が、胸部X線検査で見つかることがあります。
サルコイドーシスは肺に炎症を起こし、いずれは瘢痕化や嚢胞の形成を引き起こすので、せきや息切れが生じます。けれども、このような進行性の瘢痕化はめったに起こりません。重症の肺疾患はいずれ右心室の働きを弱め、肺性心を起こします。
サルコイドーシスが長期間続くと、平らな斑点(プラーク)や隆起した斑点、皮膚のすぐ下のしこりなどが形成され、鼻、ほお、唇、耳などが蒼白になる凍傷ループスを伴います。
凍傷ループスは黒人女性に最も多くみられます。
サルコイドーシスの患者の約70%は、肝臓に肉芽腫がみられます。症状は特になく、肝臓の機能も正常にみえます。10%未満の患者で、肝臓が腫大しています。肝機能の悪化によって黄疸が生じるのは稀です。脾臓も腫大します。
サルコイドーシスの患者の15%で眼の異常が認められます。眼の一部の内部構造で起こる炎症をぶどう膜炎といい、眼は充血し、痛み、視力が低下します。炎症が長期間続くと、眼からの排液が妨げられるので緑内障を起こし、失明することもあります。
肉芽腫が、結膜にできることもあります。この肉芽腫は多くは何も症状を引き起こしません。 涙腺の働きが鈍くなり、眼を潤滑に保つのに十分な涙液をつくれなくなるため、眼の乾き、痛み、充血が起こります。
サルコイドーシスが脳神経系に異常を起こすと、物が二重に見えたり、顔の片側が垂れ下がったりすることがあります。
下垂体やその周囲の骨が影響を受けると、尿崩症が起こることもあります。下垂体が、腎臓で尿を濃縮するために必要なホルモンであるバソプレシンを作らなくなるので、頻尿になり大量の尿が出るようになります。
サルコイドーシスでは、血液や尿の中にカルシウムが蓄積し、高濃度になっています。これは、サルコイドーシスによる肉芽腫が、腸管からのカルシウムの吸収を促進する活性型ビタミンDをつくるためです。
血液中のカルシウム濃度が高くなると、食欲不振、吐き気、嘔吐、のどの渇き、過剰な尿の生産などが起こります。血液中のカルシウム濃度の高い状態が長く続くと、腎結石や腎臓内へのカルシウム沈着を引き起こし、やがて腎不全を起こします。
サルコイドーシスは、リンパ節の腫大や、胸部X線検査もしくはCT検査でのすりガラス状陰影などで診断します。さらに検査が必要な場合は、組織を採取して顕微鏡検査を行い、炎症や肉芽腫が認められれば、診断が確定します。 肺生検 気管支鏡を使った肺生検は、最も優れた方法です。
組織サンプルを採取できる部位は、異常のある皮膚、皮膚表面に近い腫大したリンパ節、結膜上の肉芽腫などです。
検査の結果は、症例の87%で正確です。 結核は、サルコイドーシスによるものとよく似た症状が現れます。そのため、ツベルクリン反応また、時には肺生検を行い、結核ではないことを確認します。 血液中のアンジオテンシン変換酵素の濃度の測定 多くの患者は、濃度が高値です。
肺洗浄を行った液体の検査 活動性のサルコイドーシスの肺洗浄液には大量のリンパ球が含まれますが、これはサルコイドーシス特有のものではありません。
サルコイドーシスの患者のほとんどは治療の必要がありません。
息切れ、関節痛、発熱などの重篤な症状は、ステロイド薬が処方されます。