概要
発作性の骨格筋の脱力・麻痺を起こす遺伝性疾患で、血清カリウム値の異常を伴うことが多い。
症状
脱力発作は1時間から数日まで持続する。下肢のみといった限局性筋力低下から完全四肢麻痺まである。
発作頻度は毎日から生涯に数回までとかなり幅がある。顔面・嚥下・呼吸筋の麻痺はあまり見られず、感覚や膀胱直腸障害はない。
高カリウム性は低カリウム性より程度も軽く持続も短い。一方、初回発作は低カリウム性が思春期頃であるのに対し、高カリウム性は小児期と早い。
高カリウム性では筋強直現象を臨床的にあるいは電気生理学的にしばしば認める。発作間欠期には筋力低下を認めないことが多いが、特に低カリウム性において進行性・持続性の筋力低下を示す例が存在する。
原因
骨格筋型カルシウムチャネルαサブユニット(CACNA1S)や骨格筋型ナトリウムチャネルαサブユニット(SCN4A)の遺伝子異常が原因となる。
周期性四肢麻痺に不整脈(QT(QU)延長)と骨格奇形を伴うAndersen-Tawil症候群では、カリウムチャネル(KCNJ2、KCNJ5)の遺伝子異常が原因となる。
治療法
根本治療は無く、麻痺発作急性期の対症療法、間欠期の麻痺予防治療に分けられるが、十分な効果が得られないこともしばしばである。
麻痺発作時の急性期治療としては、低カリウム性ではカリウムの経口あるいは経静脈投与が中心となる。重度の麻痺発作では投与にもかかわらず、カリウム値の上昇が投与開始直後はなかなか見られないことが多い。高カリウム性では麻痺は軽度で持続も短いことが多いが、高カリウムによる不整脈、心停止に注意する必要がある。
麻痺の予防として低カリウム性及び高カリウム性の両方にアセタゾラミドが有効な例があるが、逆に無効や増悪例もある。その他に、低カリウム性では徐放性のカリウム製剤、カリウム保持性利尿薬、高カリウム性ではカリウム喪失性利尿薬なども用いられる。
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