概要
脳内出血は、脳の栄養血管の突然の変化によって脳の症状が突然出現する脳卒中の中の一つの病気です。脳梗塞は血管がつまる病気、くも膜下出血と脳内出血は血管が切れる病気です。
出血の部位
種類
大脳基底核と視床の出血
中大脳動脈の穿通枝からの出血で、頻度としては最も多く全体の70%を占めます。この内被核からが40%、視床からが30%を占めます。
この2ヶ所からの出血が多い理由は、中大脳動脈という太い動脈から急激に細い動脈に変化するからです。
被殻出血
レンズ核線条体動脈外側枝から出血します。
血腫が大きいと内包の障害により対側の片麻痺が生じます。優位半球からの出血なら失語症、非優位半球なら失行・失認を認める。
- 失認とは
字をそのまま読むと、認めることを失うということです。脳卒中では左片麻痺の患者さんによく合併します。
仮に左の体に麻痺があるとします。ある空間にいる時に、見なければならない範囲はその空間の右の端から左の端までの間の全てです。しかし、失認症状を持っていると右から半分ぐらいまでしか物を見ることが出来ません。
左側の半分の空間を無視することになります。これを半側無視といいます。
そして、左側に出る身体失認ですが、これは「左半分の体を認めることを失う」ということです。右の半側身体失認はあまりありません。
例えば、左麻痺であれば、椅子に座る時に左手をお尻の下に敷いてしまい、べっどに寝た時には左手がお尻の下に敷かれてしまいます。
そして、敷かれたことに気付かずに、何回指摘しても気付かないものです。これが身体失認です。
そして、左側の体の麻痺を起こした患者さんでは、左半側無視と左半側身体失認が同時に起こります。 - 失行とは
構成失行 これは構成物、例えば積み木とか、本棚に順番に並んでいる本全体とか、ジクソーパズルのようなゲームといった構成物を操作する時に出てくる失行です。
例えば、健常者は、本棚の整理をする時には、文庫本、単行本、大きな本、雑誌などをきれいに並べて整理します。しかし、構成失行があるとこれが出来なくなります。どのようにに並べて良いかか分からなくなるため、本棚は、ばらばらになってしまいます。 - 観念失行・観念運動失行
観念失行・観念運動失行は、物を操作する時にうまく操作できないというものです。
例えば、ボールペンを見せて、「これは何ですか?」と質問すると「字を書く物です。」と答えますが、『実際に使って下さい。』と言うと耳に入れようとしたりします。
これは極端な例ではありません。実に妙な使い方をします。
また、紙とボールペンがあって、「これで絵を描いて下さい。」と言うと、まともな絵を描くことが出来ません。ボールペンの使い方がおかしくなったりします。
また、代表的な症例では、「お茶の葉」と「急須」と「湯飲み茶わん」と「お湯」を並べた時に、「これでお茶を煎れて下さい」と言っても全く出来ません。
茶葉を入れる前に急須にお湯を入れてみたり、直接湯飲み茶わんにお湯を注いだりします。 着衣失行 洋服を着る時にうまく着ることができません。
衣服をうまく使いこなせないというものです。
脳幹出血
脳幹出血は、突然の頭痛で発症し、脳幹の部位によっては複視、眼震、めまい、身体の麻痺、しびれ言語障害を伴い、さらに大量の出血では強い意識障害、急激に昏睡に陥り、半身全身麻痺、呼吸障害などをきたします。部位的に脳外科的手術が出来なく強い後遺症を残すことが多く、そのまま死に至ることもあります。
小脳出血
小脳が障害されるため、四肢麻痺が起こらずに歩行が出来なくなります。そのほかに頭痛、悪心、嘔吐、眩暈などが起こります。
重症型では閉塞性水頭症により短期間で昏睡状態に陥ります。
原因
脳内出血の危険因子は、高血圧症、糖尿病、高脂血症、喫煙、心臓病の一部、アルコールの飲み過ぎなどがあげられます。
高血圧により脳内の0.1mm程度の細い血管が脆くなることにより起こります。 血圧以外の原因 あみろいど血管炎が考えられます。
これは、アミロイドと呼ばれるタンパク質の一種が血管に沈着し、血管が脆くなります。年齢が進むにしたがってこの病気が起こる可能性が高くなります。
症状
出血した部位により症状が異なります。また、ほとんど自覚症状がない場合もあります。多くは手足のしびれや運動麻痺が起こり、喋りにくくなります。
強いめまいや吐き気などが起こりバランス感覚くずれ歩きづらくなります。日本語を聞き取り、喋る内容を考える神経に影響を及ぼし言葉の自由がなくなります。
視界が狭くなることもあり、意識が朦朧とすることもあります。 少しずつ悪化する事はほとんどなく、短時間の間に症状の変化が起こるため注意が必要です。
治療法
出血量が少なく症状が軽度である場合や他の内臓の病気によって容態が不安定な場合などは薬物治療を行います。
出血が多く症状が重く、病状の進行が考えられる場合に手術治療を行います。
薬物療法
出血を防ぐため、血圧や脈拍を安定化させる必要があります。
著しく高血圧の場合は、血圧下降薬を処方します。安定した段階で、運動麻痺等の症状に対するリハビリテーションを開始します。
外科手術療法
脳内にある血腫の量を減らして、周囲の脳のダメージを減らす事を大きな目的とします。失っている脳の機能を回復させる手術法はありません。
- 開頭手術
出血量が多い場合は救命目的で開頭して血腫を除去する手術が行われます。
手術により脳の圧迫がとれれば回復が期待できます。しかし出血で潰された脳の機能は戻りませんので、手術を必要とされる方は何らかの後遺症が残ります。 - 定位脳手術
頭にフレームを装着してCT検査を行います。CT検査のデーターを元にして、血腫のなかにストローのような管を挿入して、その管から血腫を吸引する手術です。
発症から数日経過してから行われることが多く、また局所麻酔でも可能ですので、高齢者の方にも施行することが出来ます。
予防法
脳出血の多くは高血圧によるものですから、血圧をきちんと管理することが脳内出血の予防につながります。
また、一度脳内出血を起こした人でも血圧を適正に保つことにより、再発を防ぐことができます。
血圧が高い人は、食事の塩分を控える、運動をして体重を落とすなどが必要です。それでも血圧が下がらない人は、血圧を下げる薬を服用します。
血圧を130/85mmHg以下に保つようにすることが大切です。
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