胚細胞腫瘍は、生殖器(精巣・卵巣)と体の中心線に沿った部分、胸の中(縦隔)、お腹の中(後腹膜、仙骨部)、脳(松果体、神経下垂体[2]部)などに発生しやすい悪性腫瘍の一種です。
胚細胞腫瘍由来の細胞としては、赤ちゃんの時期(胎生期)にいろいろな内臓に分化することができる能力を持った原始胚細胞という細胞が悪性腫瘍になったものと考えられています。
好発年齢は10歳代から30歳代です。小児の時期に発生する場合には、半数は生殖器以外の部位から発生しますが、青年期に発生する場合には生殖器・特に男性の精巣発生が9割以上を占めています。
性腺原発(精巣や卵巣)と、性腺外原発(後腹膜、縦隔、松果体など)の2つに分かれます。
腫瘍内科・腫瘍外科
超音波、CTやMRIなどの画像診断を行います。
特に胚細胞腫瘍が疑われた場合、採血検査で腫瘍マーカー[19](AFP[20])、β-hcg(β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン)、LDHを調べます。
胚細胞腫瘍の確定診断のためには、腫瘍の一部を採取(生検)し病理診断を行うことが必要です。
悪性胚細胞腫瘍は治療への反応性と治療法の違いから、セミノーマと非セミノーマという2つに分けられます。卵巣発生や頭蓋内発生の場合には、セミノーマと非セミノーマの代わりにジャーミノーマと非ジャーミノーマという用語が使われて治療方針検討に用いられます。
精巣から発生したと考えられる場合、進行期によらず、まずは診断と治療のためにも精巣の摘除術を行います。その上で、進行度や組織型に応じて、追加治療を行います。
進行度が高い場合には、追加治療として、化学療法などを行います。性腺外の胚細胞腫瘍においては、精巣原発胚細胞腫瘍の進行した病期に準じて治療を行うことが多く、化学療法が治療の主体になります。特に、遠隔転移を認めたり、腫瘍マーカー[19]高値などが進行期の基準になります。
進行期の胚細胞腫瘍に対する化学療法は、シスプラチン、エトポシド、ブレオマイシンを併用したBEP療法が最も用いられています。
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