- 真性赤血球増加症 PV 概要
- 症状
- 原因
- 診療科
- 検査
- 診断
- 病期 ステージ
- 合併症
- 薬
- 治療法
- 罹患した著名人
真性赤血球増加症 PV 概要 [1]
真性多血症(Polycythemia vera)は、骨髄増殖性腫瘍(MPN)の一種で、造血幹細胞[2]の後天的な遺伝子異常がもたらす増殖によって血液中の赤血球数[3]および循環血液量の絶対的増加をきたす疾患です。また白血球や血小板も増加し全血球が増加していることが多い。
真性多血症は、異常に赤血球が増加して血液がドロドロになります。それによって、頭痛、めまい、手足を温めたときにかゆみを感じる、熱くピリピリと感じる(しゃく熱感)、ひざや足などの関節がはれて痛みが出る、胃の調子が悪くなる、などの自覚症状が起こります。
また、血栓が血管の中にできやすくなるため、脳梗塞や心筋梗塞[5]などの病気[6]を合併することがあります。
骨髄の造血幹細胞[2]の遺伝子に傷(変異)が起きることが、真性多血症の原因です。傷が入った造血幹細胞[2]は特に赤血球を異常に増加させます。なぜ遺伝子の変異が起こるのかについてはわかっていません。
血液検査、骨髄検査、超音波検査が行われます。
- 血液検査
血液に含まれる細胞の数や形などを調べます。
- 骨髄検査
骨の中の骨髄血を穿刺します。うつ伏せの姿勢で、局所麻酔を行い腰の骨に針をさします。こうして採取した細胞を、顕微鏡により観察します。正しく血液細胞がをつくられているか、悪性の細胞の有無を確認します。
- 超音波検査
脾臓や肝臓が大きくなっていないかどうかを調べます。
2008年WHO分類 診断基準 [11]
診断には、大基準の2つに加え小基準の1つに該当するか、1番目の大基準に加え2つの小基準に該当する必要がある。
大基準
1.以下のうち1つ以上を含む赤血球量の増加所見:
- ヘモグロビンが男性で18.5g/dL超過、女性で16.5g/dL超過
- ヘモグロビンまたはヘマトクリット[12]が年齢、性別、および居住地の高度に対する測定法特異的基準範囲の第99パーセンタイル超過
- 患者のベースライン値から2g/dL以上の増加が確認され持続しており、鉄欠乏症の是正により説明できない場合は、ヘモグロビンが男性で17g/dL超過,女性で15g/dL超過
- 赤血球量増加が正常予測平均値上限を25%上回る
2.JAK2 617VFまたは他の機能的に同様な突然変異(例:JAK2 エクソン12の突然変異)の存在
小基準
1.骨髄生検で、3つの血球系の増加(汎骨髄症)を伴う年齢に対して過形成、ならびに赤血球、顆粒球、および巨核球の著しい増殖が認められる
2.血清エリスロポエチン濃度が基準正常範囲を下回る
3.In vitroにおける内因性赤血球コロニー形成
- 出血性症状
真性多血症では、血液中に異常な血小板が増加するため、本来の働きである止血の役割が機能しにくくなります。そのため、皮膚や粘膜において出血傾向が出てきます。
- 骨髄線維症
真性多血症を長期にわたって罹患している患者さんに見られる原因不明の合併症です。骨髄線維症は、骨髄内に繊維質のコラーゲンが生成し、骨髄が硬質化し造血機能がうまく働かなくなる疾患です。それに伴い、貧血[15]、腹部膨満感などがみられるようになります。
- 白血病[16]
骨髄線維症と同様、真性多血症を長期にわたって罹患している患者さんに見られる合併症の一つです。白血病[16]は、正常な白血球が作られる過程で、ガン化することにより発症し、骨髄内で、ガン化した細胞が増殖、その結果、正常な血液を作る場所が少無くなります。そのため、正常な血液を作る事が出来なくなり、感染症、貧血[15]、出血傾向を引き起こします。
- 生物学的応答調節剤
- スミフェロン注[21](一般名:インターフェロンアルファ)*1
妊婦や妊娠を希望している人、40歳未満の場合には使われることがある注射薬
体の中から血液を取り除く瀉血療法を行うことで、赤血球を減らします。また血栓を作りにくくする薬を併用することがあります。それでも効果が不十分であったり、血栓ができてしまったりした場合は、抗がん剤を服用したり、分子標的療法を行うことにより赤血球を減らします。
献血と同じ要領で腕に針を刺し、1回で400~600mlの血液を抜きます。血液検査で赤血球の値を確認しながら、月に1~2回、外来の通院により行います。
アスピリン[18]などの飲み薬により血栓をできにくくします。出血しやすくなる副作用があります。
上記の治療で赤血球数[3]をコントロールするのが難しい場合に行います。抗がん剤の一種であるハイドロキシウレアを用います。1日に2~3回内服を行い、異常に増加した赤血球を減らします。
白血病[16]や骨髄異形成症候群などの血液がんを発症してしまうことがあります。その際は、複数の抗がん剤を組み合わせて注射により投与する化学療法や造血幹細胞[2]移植療法などが行われます。
JAK2阻害薬を服用します。上記の治療で効果が不十分な場合に用いられます。