偏頭痛 概要
「片頭痛」とは、頭の血管が過度に拡張することにより、まわりの神経が刺激されて痛むものです。
20~50歳代の若い年齢層、特に女性に多くみられ、月に1~2回、多いときで週に1回、発作的に頭痛が起こるのが特徴です。 頭の片側、時には両側が脈打つように「ズキンズキン」と痛み、吐き気を伴います。 また、体を動かすと痛みがひどくなり、さらに、音や光に過敏になるため、周囲がうるさかったり明るいところでは頭痛がいっそうひどくなります。
国際頭痛学会による片頭痛診断基準
【前兆を伴う片頭痛】
- A.次のBを満たす発作が過去に2回以上ある。
- B.次の4項目のうち3項目を満たす。
- 一過性の前兆があり、脳皮質あるいは脳幹の局所神経症状と考えられる。
- 前兆は4分以上にわたり進展し、2種類以上の前兆が連続して生じてもよい。
- 前兆は60分以上持続することはない。2種類以上の前兆が組合わさるときは、その分持続時間が延長する。
- 頭痛は前兆後60分以内に生じる(前兆より以前あるいは同時でもよい)。
- C.次のうち1項目を満たす。
- 臨床的に器質的疾患による頭痛を否定できる。
- 臨床的に器質的疾患が疑われても検査により否定できる。
- 器質的疾患が存在しても、経過により片頭痛との関係が否定できる。
【前兆を伴わない片頭痛】
- A.次のB~Dを満足する発作が過去に5回以上ある。
- B.頭痛発作が4~72時間持続する。
- C.次のうち、少なくとも2項目を満たす。
- 片側性頭痛
- 拍動性頭痛
- 中等度~強度の痛み(日常生活が妨げられる)
- 階段の昇降など、日常的な動作により頭痛が憎悪する。
- D.発作中、次のうち1項目を満たす。
- 悪心あるいは嘔吐
- 光過敏および音過敏
- E.次のうち1項目を満たす。
- 臨床的に器質的疾患に頭痛を否定できる。
- 臨床的に器質的疾患が疑われても検査により否定できる。
- 器質的疾患が存在しても、経過により片頭痛との関係が否定できる。
病気の症状
- こめかみを押さえると、脈に合わしてズキンズキンとした痛みがある。
- 痛みは頭の片側の時が多いが、両側の時もある。
- 頭痛は、数日~数週間の間隔をおいて発作的に現れる。
- 頭痛発作が起こる前に、目の前で光がチカチカすることがある。
- 頭痛発作の時に、悪心(吐き気)、嘔吐などを伴うことがある。
- 頭痛発作の時に、強い光や大きな音、不快なにおいで頭痛が強まることがある。
- 明け方から目覚めの時に頭痛発作が起こることがある。
- 頭痛の強い部分を冷たいもので冷やすと、痛みが少し和らぐ場合がある。
- 10代後半から30歳ぐらいの年齢の時が頻発し、強い発作が起きる。
- 遺伝的要素が高く、血縁者に同じ症状の者がいる。
市販薬および処方薬
頭痛発作の初期(頭痛信号の段階)には 鎮痛薬も効果がありますが、痛みが本格化した後は、鎮痛薬を服用してもあまり効果がありません。
片頭痛の初期に服用するのが、片頭痛を軽く済ませるポイントです。
『癖になる』あるいは『体によくない』と服用を敬遠される方がいますが、これは間違いです。片頭痛の症状である吐き気が起こると服薬が困難になります。
このような場合は、静かな暗い部屋で患部を冷やしたり、消炎鎮痛薬の坐薬を使います。
悪心、嘔吐がひどく服薬できない場合はイミグランの注射がベストです。
次善の策として点鼻液や口腔錠を使うとよいでしょう。 1ヵ月に10回程度の服用を超えて、薬を頻回服用する場合は、片頭痛予防薬を使います。
- 鎮痛薬
- 非ステロイド性抗炎症薬
- イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセンナトリウムナド エルゴタミン製剤 カフェルゴット、クリアミン
エルゴタミン製剤は鎮痛剤ではありません。スマトリプタンと同様、セロトニンの1B/1Dという鍵穴に作用して効果をあらわします。
しかしほかのさまざまな受容体にも作用するために吐き気を起こします。 この薬剤は頭の中の血管だけではなく、末梢血管や子宮平滑筋への収縮作用もあることから、高血圧症や狭心症、妊娠中の患者さんなどには禁忌です。 片頭痛のごく早期に飲めばそれなりに効きますが 、頭痛がひどくなってから服用しても効果がありません。
エルゴタミン製剤を毎日常用すると、かえって血管が拡がりやすくなり慢性頭痛を引き起こします。エルゴタミン製剤は月に10回程度の服用に抑えて、それ以上の服用が必要なときには片頭痛予防薬の服用が好ましい。 - トリプタン
片頭痛の原因となる頭の血管に作用して、異常に拡張した血管を収縮させるとともに、炎症を抑え、三叉神経に作用して痛み物質が出るのを防ぎます。 - イミグラン、ゾーミッグ、レルバックス、マクサルトなど
- イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセンナトリウムナド エルゴタミン製剤 カフェルゴット、クリアミン
薬の副作用
すべての非ステロイド性抗炎症薬(アセトアミノフェンを除くすべての鎮痛薬を含む)は胃の内壁を刺激して胃の不調や潰瘍、消化管の出血を引き起こすことがあります。
その他の副作用には、腎臓障害があります。まれに非ステロイド性抗炎症薬に対してじんま疹やかゆみ、重度の呼吸障害を伴う深刻なあれるぎー反応を示す人がいます。
- 鎮痛薬の副作用
一般に消炎鎮痛薬服用による胃腸障害は3~15%です。 消炎鎮痛薬は薬物の胃壁に対する直接作用の他に、プロスタグランディンの合成を抑えて胃を荒らします。病院では胃腸障害を抑えるためにH2ブロッカーなど様々な胃粘膜保護薬を使います。
市販薬ではセンロック錠(顆粒)、新中外胃腸薬顆粒などを併用します。 薬が食道につかえると、付着した場所で潰瘍を起こす恐れがありますので必ずコップ一杯の十分な水と一緒に飲みましょう。
ぜんそくの人や尿の出が悪い人には鎮痛薬は使えません。- 主な副作用症状
非常に強い腹痛、血便や真っ黒の便、呼吸困難、蕁麻疹(じんましん)、顔や手足が急に腫れる、尿が出ない、発熱、寒気、喉の痛み その他の副作用症状 腹痛(とくに空腹時や夜間)、目や皮膚が黄色くなる、足のむくみ、体重が増加 血尿、皮膚の発疹、かゆみ、抑うつ症状、精神錯乱、痙攣(けいれん)耳が聞こえにくい、耳なり、目のかすみ(長期投与で)、異常な疲労感、脱力感 良くある副作用 眩暈(めまい)、ふらつき感、ねむけ、頭痛、消化不良、便秘、下痢、嘔吐、胸焼け
- 主な副作用症状
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