双極性障害(bipolar disorder)は、躁状態とうつ状態を繰り返す精神疾患です。
国際分類は気分障害となります。
双極性障害は、精神障害の中で最も自殺企図が多い疾患です。
また、「躁」の症状がひどい時には、本人に自覚がないまま周囲に迷惑をかけることで、社会的・人間関係面での破綻が生じ、本人の失うものが大きすぎる非常にリスクが高い病気です。
双極性障害は、躁状態を伴う双極 I 型障害 (bipolar I disorder) と、軽躁状態を伴う双極 II 型障害 ( bipolar II disorder) に区分される。
躁状態、または混合状態が1回認められれば、双極 I 型障害と診断される。うつ状態と躁状態が、症状のない寛解期をはさみながら繰り返していくことが多い。
躁状態あるいはうつ状態から次のエピソードまでの間隔は平均して数年間である。また、うつ状態と躁状態の症状が混ざって出現する混合状態(混合性エピソード)が生じる場合もある。
病気になりやすい素因と環境がからみあって発病すると考えられています。素因には遺伝的な要因も関係しています。
一つの遺伝子で起こる、いわゆる遺伝病ではなく、いくつかの遺伝子が組み合わさって発症すると考えられています。
脳の中の神経伝達機構に問題があると考えられており、セロトニンやノルアドレナリンなどものアミン系の神経伝達物質の働きの低下が考えられています。
環境面では、病気になりやすい性格の人がストレスにあって発病すると考えられます。
感情面の症状 快活だ、壮快だ、元気だ、気持ちも晴れわたってすがすがしい、何の問題もないなどの気分が起こります。
不快感がなく、健康感に満ちていると感じるが、なかにはイライラする、ムシャクシャするといった不快感を自覚することもあります。
周囲からは怒りっぽいと見えることもあります。 このような高揚気分は、一時的なものではなく、少なくとも2週間以上続くのが特徴です。
病気が現れる時期を病相といいます。うつ病の期間は、3~6ヶ月程度、躁病の期間は、1~4ヶ月程度です。この期間は、治療により症状を軽減することは出来ますが、病相の途中で治療を中止すると再発する傾向があります。
うつ病の症状の抑うつ気分や活動性低下の改善、不眠、食欲低下などの身体的症状の改善効果があります。
これらの薬は脳内のシナプス間隙に作用して、セロトニンやノルアドレナニンなどの神経伝達物質の再取り込みを阻止して
間隙におけるこれらの物質の濃度を高めて神経伝達の効率をアップするように作用します。
セロトニンは、気分にかかわる神経伝達物質です。SSRIは、セロトニンを再取り込みするセロトニントランスポーターの働きを阻害します。これにより、脳内シナプス間隙のセロトニン濃度が高まり、神経の伝達がよくなります。その結果、うつ状態が改善され、気分が楽になると考えられます。セロトニントランスポーターにだけ結合し、その他の受容体にはほとんど作用しないので副作用も少ないです。
SNRIは、セロトニン系ならびにノルアドレナリン系の神経の両方に作用して、シナプスにおけるセロトニンやノルアドレナリンを正常に近い状態に調整するといわれています。
躁病相の高揚気分や活動性の亢進を抑制します。自覚的には緩やかな薬効を感じます。
治療の目標は、病相の回復及び再発の予防です。
症状が軽い場合は、薬物治療のみでよいですが、症状が重い場合や再発がみられた場合はには、社会心理的な治療が必要となります。
うつ病の場合は自殺予防、躁病の場合は社会的な逸脱行動の防止が大切になります。
気分障害は、脳内の神経伝達物質の働きが障害されている疾患です。そのことを当事者本人や家族が理解されることが重要です。特にうつ病は、しばしば病気と認識されず「怠けているだけ。」「性格に問題がある。」などといったふうに思われてしまいがちです。そのため、家族や周囲の人が、「もっとがんばって!」「しっかりしなさい!」などと励ますことにより、本人の気持ちを追い込んでしまうことがあります。
この病気は、気持ちの問題から起きているのではないということを認識することから治療は始まります。この点が周知出来れば、休養と服薬の必要性が理解できるようになります。
気分安定薬による再発予防を基本とする。うつ病状態では非定型抗精神病薬や気分安定薬の併用、躁状態では抗精神病薬の併用、不眠に対して睡眠導入剤の併用などが行われる。非定型抗精神病薬のうち、オランザピン、クエチアピン、アリピプラゾールに関しては、抗躁効果に加え、再発予防効果も報告されている。うつ状態における抗うつ薬の使用については賛否両論がある。
患者さんが陥りやすい否定的なとらえ方に、自分自身で気づいてもらい、否定的なとらえ方になるきっかけを、患者さんの行動について治療者と患者さんが一緒に検討し、その行動への受け取り方を変えることで、患者さん自らが適応的なとらえ方を選択できるようにします。
日常生活の中での出来事をより適応的にとらえる考え方を学び、結果的に気分を調整していく治療法です。
再発予防のために、服薬の継続性を高め、ストレスを管理する際、以下のような内容を教育する。