serizawa さんの日記
彼は、20歳ぐらいから片頭痛に悩まされていた。日常的にコーヒーを飲むようになったのもこの頃だ。
平日は、仕事の緊張感もあり片頭痛を起こす回数は少なかったが、週末は朝起きる時間が遅くなることもあり必ずと言っていいほど片頭痛が起きた。
20代のころは、市販薬のバファリン(アスピリン)やイブ錠(イブプロフェン)を頻繁に服用していたが、飲むタイミングが少しでも遅いと吐き気を催して薬が効く前に吐いてしまい、日常生活に支障をきたしてしまうこともしばしばだった。
30代になってからは、胃にやさしいという理由からノーシン 散剤(アセトアミノフェン、エテンザミド)や総合感冒薬のパブロン(アセトアミノフェン)を飲むことが多くなった。
一度だけ、病院でエルゴタミン製剤を処方してもらったことがあるが、血圧低下、冷汗等の副作用を感じて、服用を続けることができなかった。
40代になってからは、風邪を引いてる訳でもないのに頭痛に良く効き、花粉症も楽になり体も軽くなることを理由にパブロンを連用することになった。
朝起きて少しでも頭痛が起こりそうだと感じるとその日の仕事への影響を考え必ず服用した。
そのおかげで、仕事を休むことなく日常生活を送ってこれたと思っている。
彼は50歳の誕生日を迎えて、しばらく経ったころ咳が出るようになった。毎日、パブロンを飲んでも咳止め薬を飲んでも、いっこうに咳は鎮まりそうにないので近所の病院へ行って咳止めの薬を処方してもらった。
2週間経ったが咳はひどくなるばかりだったため、アレルギー外来専門の別の医院へ行った。その時は、徒歩5分ぐらいの距離にもかかわらず全身辛くて這うように歩いた。
そこでレントゲンを撮った。右の肺はすでに3/4が真っ白だった。医師が慌てて救急車を要請した。
大きな病院へ入院して肺炎の治療として抗菌剤を点滴投与された。しかし、症状は悪化し続け気胸を起こした。
右の肺は小さく萎みほとんど機能しない状態となった。
命の危険を察した医師団も原因が分からずに精密検査の結果を待つことになった。
間質性肺炎の一種、器質化肺炎だった。細菌による肺炎ではなかったのだ。
すぐに、プレドニン(副腎皮質ホルモン製剤)の大量投与が行われた。
効果は徐々に現れた。食欲も回復した。しかし気胸については、ドレーンを繫いで自然回復を待ったがいっこうに回復しなかった。
やむを得ず、気胸の手術をすることになった。手術は成功した。術後のプレドニンの投与は禁忌だった。そのこともあり1週間も経つと器質化肺炎が再発した。
術後2週間経ってステロイドパルス療法を行った。器質化肺炎には、ステロイドが良く効くため順調に回復した。
その後、ステロイドの減量の過程で再発したためイムラン錠を併用することになった。
そして1年後には免疫抑制の効果もあり、薬なしの寛解状態となった。
体調が良くなると、コーヒーも毎日飲むようになった。頭痛の回数も増えた。
仕方がなく、市販の頭痛薬を服用した。3か月ぐらいは体調が保たれていた気がした。
しかし、器質化肺炎は再発した。
器質化肺炎の原因はいまだに不明だ。けれども、彼は、鎮痛薬の連用が原因ではないかと考えた。しかし、市販の鎮痛薬を服用しなければ仕事に影響を及ぼす。
いったいどうしたらよいのか?
コーヒーを飲むことで血管が収縮する。その結果片頭痛が起きにくくなる。
だが、血管の収縮が続いた後に一気に解放されると、今度は血管の拡張効果によって片頭痛が引き起こされる。
彼は酒は飲まないし、煙草も吸わない。コーヒーは大好きで、唯一の嗜好品だ。
それでも、彼は病気を治したい一心で大好きなコーヒーを飲むのを辞めた。
コーヒーを飲むのを辞めて、すぐに睡眠の質が良くなったことを感じた。眠りが深いのだ。
そして、片頭痛の回数が減った。片頭痛が起きて頭痛薬を飲まなくても自然に治まるようになった。
これは、30年以上片頭痛に悩み続けてきた中で初めてのことだ。
仕事が休みの日にお昼すぎまで寝ていても頭痛が起きなくなった。そのおかげで、十分に体を休めることができるようになった。
『コーヒーを辞めると片頭痛が起きなくなる。』
もちろん、すべての人に効果があるとはいえないが、片頭痛がある人は一度試してみる価値はあるように思える。