- PCOS 概要
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- 原因
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- 合併症
- 薬
- 治療法
- 罹患した著名人
PCOS 概要 [1]
多嚢胞性卵巣症候群(Polycystic ovary syndrome:PCOS)とは、女性の排卵が阻害されて卵巣内に多数の卵胞がたまり、月経異常や不妊を生じた病態です。
- 肥満
日本人は、白人ほど顕著ではない。過度の肥満によるインスリン抵抗性物質がこの症候群を引き起こすと考えられるが、逆にこの症候群による内分泌の狂いが肥満化に働く場合もある。
- 男性化
多毛、にきび、低音声、陰核肥大など。日本人では男性ホルモン値の上昇がさほど顕著でなく、白人ほど多くない。
- 月経異常
排卵が生じないため基礎体温が1相性の月経異常を呈する
- 不妊
排卵が生じないため妊娠しない。
排卵がうまく行われないのは、卵巣内の男性ホルモンが多いことが原因といわれています。
- 内分泌異常
脳下垂体[4]からはLH(黄体化ホルモン)とFSH(卵胞刺激ホルモン)が出て卵巣に働き、卵胞の発育を促しますが、PCOでは、このうちLHの分泌が増えてFSHとのバランスの乱れがおこり、卵胞がうまく発育できません。
排卵がおこらないと、排卵をさせようとさらにLHの分泌が増えるため、乱れがますますひどくなるという悪循環に陥ります。
- 糖代謝異常
インシュリンの量が増加し、さらに男性ホルモンも増加します。
生理中の血液検査で脳から出るゴナトロピンをはかるとLH(黄体化ホルモン)がFSH(卵胞刺激ホルモン)より高くなるという特徴があります。また、血中の男性ホルモンの値も軽く上昇していることがあります。
- 男性ホルモン(遊離テストステロン[7])
男性ホルモンが高すぎないかを調べます。
- 黄体化ホルモン(LH)
生理3日目(生理2~5日目)に基礎値を測ります。脳から卵巣に作用して排卵させるホルモンです。
- 卵胞刺激ホルモン(FSH)
生理3日目(生理2~5日目)に基礎値を測ります。脳から卵巣に作用して卵胞を育てるホルモンです。
血液中のホルモン検査やホルモン負荷試験、卵巣の超音波検査で診断します。
超音波検査では卵巣に普通より多い数の卵胞が見えます。腹腔鏡下手術で卵巣のごく一部をとって顕微鏡検査をすることもあります。
- 月経異常がある
- 多嚢胞性卵巣のエコー所見
- 血中テストステロン[7](男性ホルモン)が高値、または、LHが高値かつFSHが正常
正常な排卵が行われている女性でも、卵巣の多嚢胞が観察される状態が見られることがあります。月経異常やホルモン異常を伴っていない場合は疾患としては扱われません。
糖尿病[11]の薬は、血糖[16]を下げてインスリンの過剰な分泌を抑えるので、卵巣で男性ホルモンも抑えられ、卵巣内のホルモン環境が改善され、排卵しやすくなると考えられています。過剰なインスリンが悪さをしているタイプのPCOSの人に効果があり、毎日内服して2~3ヶ月で効果が出るといわれています。
- 経口排卵誘発剤
糖尿病[11]治療用のインスリン抵抗性改善薬「メトホルミン塩酸塩」を投与する。
必ずしも抗インスリン性自体が見られない場合でも、症状が改善するケースがある。
- 性腺刺激ホルモン剤(注射)
性腺刺激ホルモン剤による排卵誘発を行います。
性腺刺激ホルモン剤には、閉経後女性尿由来の製剤と遺伝子組み換え型の製剤があり、現在は安全性や効果の点で遺伝子組み換え卵胞刺激ホルモン(recombinant FSH)が主流になりつつあります。
過排卵になる可能性が高く、卵巣過剰刺激症候群[25]ならないように注意が必要です。
- ゴナドトロピン療法(hMG-hCG療法)
ゴナドトロピンを投与することで卵巣を刺激して排卵を促します。
ピルやカウフマン療法などホルモン剤を用いる。
多毛などの男性化症状の改善にも有効。
- カウフマン療法
卵胞ホルモン製剤(エストロゲン[27])と黄体ホルモン製剤(プロゲステロン[28])を内服または注射することにより、規則的な月経周期を作ります。これを3~6か月繰り返すのがカウフマン療法です。 治療後、自然に規則的な排卵および月経があるかどうか、基礎体温を記録しながら様子を見ます。 軽症のPCOSには有効な場合もありますが、一時的な効果に留まることも多い治療法です。
- OC(低用量経口避妊薬:低用量ピル)
OCには、PCOSにおける高LH状態を是正する働きもあり、妊娠を考える時期がくるまでOCを服用することは極めて有用です。 また、OCは避妊薬であるため、望まない妊娠を避ける働きがあることはもちろんのこと 月経痛や、月経前症候群(PMS)の症状を緩和し女性のQOL(生活の質)を向上させます。さらに卵巣がん[29]、子宮体がん[30]、良性の乳房疾患、骨盤内感染症に対して予防効果があるとの報告もあります。