HPP 概要
低ホスファターゼ症(HPP)は、極めて稀な慢性および進行性の遺伝性代謝性疾患であり、消耗性のまたは生命を脅かす合併症を引き起こします。
HPPは、組織非特異型アルカリホスファターゼ(TNSALP)と呼ばれる酵素をコードする遺伝子の変異によりアルカリホスファターゼ(ALP)活性が低下・消失することで発症します。
ALPが正常に機能していると、骨の石灰化に重要な2つのミネラル(カルシウムとリン酸)が結合してハイドロキシアパタイトが形成され、骨石灰化を促進します。しかし、低ホスファターゼ症(HPP)の患者さんは、ALP活性の低下により、カルシウムとリン酸による石灰化が上手く進まず、カルシウムとリン酸が体の他の部分に蓄積して、骨や臓器に障害を引き起こします。
症状
骨の症状
- 骨が弱い、脆(もろ)い
- くる病(骨や軟骨の石灰化障害で類骨(石灰化していない骨)が増加する病気)様症状
- 大腿骨、足、足の指を頻繁に骨折する。
- 足が曲がって変形する。
- 骨折の治りが遅い、骨折がきちんと治らない。
- 骨痛(骨の痛み)が消えない。
筋肉および関節の症状
- 筋力が低下する。
- 筋肉痛や関節痛が長く続く。
- 関節炎(成人、小児)
- 偽痛風(関節にカルシウムが沈着して、関節が腫れたり痛くなる。)
- 松葉杖や歩行器、車椅子などの補助器具がないと歩けない。
肋骨および肺の症状
- 胸郭(肋骨、胸骨、胸椎)が正常に成長しない(くる病様胸郭病変)。
- 小児の場合、呼吸補助器具を必要とする重度の呼吸器症状がみられる。
- 小児の場合、くる病様胸郭病変によって肺が発育不全となる。
- 片肺または両肺内部に腫脹が生じる肺炎
原因
HPPは、遺伝子の変異が原因で起こる病気です。
HPPは、組織非特異型アルカリホスファターゼ(TNSALP)と呼ばれる酵素をコードする遺伝子の変異によりアルカリホスファターゼ(ALP)活性が低下・消失することで発症します。
検査
HPPを疑う場合、アルカリホスファターゼ(ALP)活性低下の検査をおこないます。
診断
HPPの診断は簡単ではありません。HPPは希少疾患ですが、他の病気に似ている点があります。
多くのさまざまな臓器に障害を来し、さまざまな症状が認められるため、患者さんによって病状は大きく異なります。
そのため、多くの医師を受診し、何度も診察され、診断が明らかになるのに何年もかかってしまうことがあります。
病気の型 タイプ
発症時期により、症状や重篤度には大きな幅があり、早期に発症するほど重症で致死率が高いといわれています。
周産期型(perinataltype)
胎児期から骨の石灰化がみられず死産となる場合や、生まれてきても、呼吸障害、高カルシウム血症、痙攣発作などにより、生後早期に亡くなられることが多い最も重症のタイプです。劣性遺伝(両親から両方を受け継ぐ)の致死型と優性遺伝(片方の親から受け継ぐ)の良性型があるといわれています。
乳児型(infantile type)
生後6ヶ月以内に発症するタイプです。生まれてまもなくは順調に発育しますが、徐々に体重増加不良や高カルシウム血症、くる病様変化、骨折、呼吸障害など、重症化することが多く、約50%が亡くなられています。劣性遺伝と言われています。
小児型(childhood type)
小児期に発症するタイプが小児型です。重症度はさまざまで、骨が弱い、骨折しやすい、乳歯が早期にまとまって抜けてしまうなどの症状がみられます。なぜか、犬歯や前歯が早期に抜けてしまいます。優性遺伝、劣性遺伝の両方があると言われています。
歯限局型(odonto type)
骨には症状がなく、歯のみに異常が出るタイプです。優性遺伝と言われています。しかし、病気のタイプ分けは、厳密なものではなく、中間的なタイプの人もいますので、骨や筋肉に症状が出てくる場合もあります。
薬
- ストレンジック皮下注(一般名:アスホターゼ アルファ(遺伝子組換え)製剤)
ぺージ情報 | |
---|---|
ぺージ名 : | 低ホスファターゼ症 |
ページ別名 : | 未設定 |
ページ作成 : | kondo |
閲覧可 | |
グループ : | すべての訪問者 |
ユーザー : | すべての訪問者 |
編集可 | |
グループ : | 登録ユーザ |
ユーザー : | なし |
お気軽に投稿してください。一言でもどうぞ。病気の治療、薬の副作用のことなど。