コルチゾールという副腎皮質ステロイドホルモンが過剰に分泌され、満月様顔貌や中心性肥満など特徴的な症状を示す病気をクッシング症候群といいます。
コルチゾールは生きて行くのに不可欠なステロイドホルモンで、下垂体から出てくる副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)というホルモンによって促進されます。ACTHは、さらに上位の脳にある視床下部から分泌されるCRHというホルモンの調節を受けています。
この視床下部CRH-下垂体ACTH-副腎コルチゾール系の中で、結果的に副腎のコルチゾールが過剰に産生・分泌され特徴的な症状を示す状態をクッシング症候群といいます。
クッシング症候群の中にもいくつか原因があります。ACTHが過剰に分泌され、その結果コルチゾールが増える状態をACTH依存性クッシング症候群といいます。
さらにこの中で下垂体に原因がありACTHを過剰に出す病気をクッシング病、下垂体以外からACTHが過剰に分泌される病気を異所性ACTH症候群といいます。
一方、副腎が原因でコルチゾールを過剰に分泌する状態をACTH非依存性クッシング症候群または副腎性クッシング症候群といいます。
糖質ステロイドホルモンのコルチゾールが過剰に分泌されるので、長期にわたると前腕や下肢の皮膚が薄くなり、皮下の毛細血管が透けて見えてピンクのまだら模様になります。
やがてお腹周りが太いわりに大腿部が細くなってきます。さらにぶつけた自覚がなくとも皮下出血しやすくなり、顔もむくんだ赤ら顔になります。
さらには多毛、にきび、腹部や臀部に赤い筋ができます。子供で発症すると背が伸びなくなります。
うつ傾向もでてきます。副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が多くなると、皮膚のこすれるところや関節部の皮膚が黒っぽくなります。病気が進行すると感染に弱くなり、敗血症で亡くなることがあります。
クッシング病は、下垂体に副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を産生する腺腫ができてACTHの過剰分泌を生じることが原因と考えられています。
何故、ACTHを産生する下垂体腺腫ができるかについては分っていません。
内分泌科
下垂体外科