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- 全身性エリテマトーデス へ行く。
1: 2013-05-12 (日) 15:31:26 cons | 現: 2015-11-04 (水) 13:41:05 kondo | ||
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*SLE 概要 [#c6c261fe] | *SLE 概要 [#c6c261fe] | ||
全身性エリテマトーデス(Systemic lupus erythematosus:SLE)は全身の炎症によりさまざまな症状を示し、よくなったり、悪くなったりを繰り返し、慢性の経過をたどる病気です。 | 全身性エリテマトーデス(Systemic lupus erythematosus:SLE)は全身の炎症によりさまざまな症状を示し、よくなったり、悪くなったりを繰り返し、慢性の経過をたどる病気です。 | ||
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20~40歳の出産可能な年齢の女性に発病しやすく、男性はその10分の1の発病率です。現在の日本では、10万人に7~8人の発病率です。 | 20~40歳の出産可能な年齢の女性に発病しやすく、男性はその10分の1の発病率です。現在の日本では、10万人に7~8人の発病率です。 | ||
自分の体の成分に対する抗体が作られますが、とくに細胞の核にあるDNAに対する抗体が特徴的で、それが免疫複合体を作って炎症を起こし組織を壊していきます。 | 自分の体の成分に対する抗体が作られますが、とくに細胞の核にあるDNAに対する抗体が特徴的で、それが免疫複合体を作って炎症を起こし組織を壊していきます。 | ||
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自己免疫疾患のひとつで、膠原病(こうげんびょう)の代表的疾患です。 SLEの原因は不明ですが、外敵や異種の蛋白質に対する防御反応であるべき免疫に異常を来し、自分の体の成分に対し抗体(自己抗体)を作って組織を破壊するために引き起こされた病気といえます。 | 自己免疫疾患のひとつで、膠原病(こうげんびょう)の代表的疾患です。 SLEの原因は不明ですが、外敵や異種の蛋白質に対する防御反応であるべき免疫に異常を来し、自分の体の成分に対し抗体(自己抗体)を作って組織を破壊するために引き起こされた病気といえます。 | ||
- | この免疫異常が起こる機序(仕組み)がわかれば、病気を基から治すことができます。 | + | |
+ | この免疫異常が起こる機序(仕組み)がわかれば、病気を基から治すことができます。 | ||
病気を起こしやすい遺伝的な体質にウイルス感染などの環境因子がきっかけになって、免疫異常が起こると考えられています。 | 病気を起こしやすい遺伝的な体質にウイルス感染などの環境因子がきっかけになって、免疫異常が起こると考えられています。 | ||
**病名の由来 [#g9bc574e] | **病名の由来 [#g9bc574e] | ||
- | ループスハラテん語で狼を意味します。エリテマトーデスは紅い斑点の意味です。 | + | ループスは、ラテン語で狼を意味します。エリテマトーデスは紅い斑点の意味です。 |
1829年にフランスの皮膚科医ビットという人が初めてこの病気を診た時に、皮膚の病変がまるで狼にかまれた時の痕に似ていたことから、このような病名をつけました。 | 1829年にフランスの皮膚科医ビットという人が初めてこの病気を診た時に、皮膚の病変がまるで狼にかまれた時の痕に似ていたことから、このような病名をつけました。 | ||
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**診断基準 [#dec94121] | **診断基準 [#dec94121] | ||
通常アメリカリウマチ学会の診断基準に従って診断する。 | 通常アメリカリウマチ学会の診断基準に従って診断する。 | ||
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当初は紅斑ですが、やがて硬結、角化、瘢痕、萎縮をきたします。このほか凍瘡様皮疹、頭髪の脱毛、日光過敏等がみられます。 | 当初は紅斑ですが、やがて硬結、角化、瘢痕、萎縮をきたします。このほか凍瘡様皮疹、頭髪の脱毛、日光過敏等がみられます。 | ||
口腔、鼻咽腔に無痛性の潰瘍が現れることもあります。 | 口腔、鼻咽腔に無痛性の潰瘍が現れることもあります。 | ||
+ | ****ループスエリテマトーデス [#d1aa3109] | ||
+ | ループスは狼を意味するラテン語である。蝶形紅班や円板状皮疹が狼の咬傷を想起させることから由来するされる。皮膚症状から皮膚科を初めに受診されることも多い。 | ||
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+ | ****頬部紅斑(蝶形紅斑) [#g8e5de50] | ||
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+ | 頬骨部から鼻梁に広がる両翼を広げた蝶の形に類似した紅斑で、蝶形紅斑と呼称されることも多い。小児の皮膚筋炎においても同様の外観を呈することがあり鑑別を要する。 | ||
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+ | ****円板状皮疹(discoid lupus) [#cdd2961a] | ||
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+ | 慢性の鱗屑を伴う円板状皮疹は次第に周囲が肥厚し中央が陥没様になっていく。 | ||
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+ | ****日光過敏 [#f0e248dc] | ||
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+ | 肌の露出部位において紫外線暴露後に発赤や水泡形成などの反応を示す日光過敏が観察されることがある。 | ||
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+ | ****口腔内潰瘍 [#p28506bc] | ||
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+ | 通常は無痛性の口腔内潰瘍で、典型的発生部位は硬口蓋である。医師の口腔内診察で初めて気づかれることがある。 | ||
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+ | ****環状紅斑 [#l30218ce] | ||
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+ | 環状の紅斑局面である環状紅斑がみられることがある。 | ||
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+ | ****凍瘡様皮疹 [#od383a29] | ||
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+ | 手指末梢に凍瘡のような外観を呈することがある。爪周囲に紅斑が観察されることもある。 | ||
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+ | ****レイノー症状 [#ja490f1d] | ||
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+ | SLEに特異的ではないが、寒冷刺激によって手指の色調が白色化・青紫色化するレイノー症状が観察される。 | ||
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+ | ****リベドー疹 [#wca45573] | ||
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+ | 四肢に淡褐色の網目状皮疹が見られることがある。SLEに特異的ではないが、リベドー疹と呼ばれ、観察された場合は血管炎もしくは腎炎の存在に留意する。 | ||
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+ | ****脱毛 [#xb87b8b7] | ||
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+ | 頭皮に紅斑が形成され局所的な脱毛局面が形成される場合と。皮疹を伴わずびまん性の脱毛が発生する場合とがある。 | ||
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+ | ****深在性ループス [#d27e036e] | ||
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+ | 皮下脂肪組織に炎症が発生し、脂肪組織が自壊、瘢痕形成に至る。脂肪組織が豊富な顔面頬部や臀部などに好発し、外観上は陥凹した局面を形成する。触診上、内部の瘢痕を硬結として触れる。治癒後も皮膚陥凹が残りやすく治療は急がれる。 | ||
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***筋・関節症状 [#t01f648c] | ***筋・関節症状 [#t01f648c] | ||
急性期に筋肉痛、関節痛がみられ、関節炎もみられるが、骨に影響を及ぼすことはありません。 | 急性期に筋肉痛、関節痛がみられ、関節炎もみられるが、骨に影響を及ぼすことはありません。 | ||
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+ | ***漿膜炎 [#ib3597d6] | ||
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+ | 胸膜、心外膜、腹膜といった漿膜に炎症が発生し胸膜炎や心外膜炎をおこし、炎症性浸出液が貯留する例がある。SLEでは通常は血清CRPは上昇しないが、こうした漿膜炎を生じた場合、しばしばCRPの上昇が観察される。 | ||
+ | 胸部レントゲンでの胸水貯留像、心胸郭比の拡大、エコーによる心嚢液や腹水貯留、腹部膨隆が観察される。 | ||
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***腎症状 [#tf44a35b] | ***腎症状 [#tf44a35b] | ||
糸球体腎炎(ループス腎炎)は約半数の症例で出現し、放置すると重篤となります。急性期では、蛋白尿、むくみがみられ、尿沈渣では赤血球、白血球、 | 糸球体腎炎(ループス腎炎)は約半数の症例で出現し、放置すると重篤となります。急性期では、蛋白尿、むくみがみられ、尿沈渣では赤血球、白血球、 | ||
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胸膜炎は急性期によくみられます。 | 胸膜炎は急性期によくみられます。 | ||
このほか、間質性肺炎、細胞出血、肺高血圧症は予後不良の病態として注意が必要である。 | このほか、間質性肺炎、細胞出血、肺高血圧症は予後不良の病態として注意が必要である。 | ||
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+ | ***肝障害 [#ve087fad] | ||
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+ | しばしば肝機能障害を伴う。抗ミトコンドリアM2抗体陽性の胆汁うっ滞性肝硬変症(PBC)や抗LKM-1抗体陽性の自己免疫性肝炎(AIH)の合併もあるが、これらがない症例でも生化学データでのASTやALTといった肝逸脱酵素が上昇することがある。 | ||
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+ | ***ループス膀胱炎 [#bd3a84ec] | ||
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+ | 頻度は少ないが膀胱壁の線維化がおこり膀胱容量が減少することがある。膀胱壁は肥厚しコンプライアンスが不良になる。1回尿量が150mL程度になり、著しい頻尿になる。 | ||
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***消化器症状 [#x4570734] | ***消化器症状 [#x4570734] | ||
腹痛がみられる場合には、腸間膜血管炎やループス腹膜炎に注意する。 | 腹痛がみられる場合には、腸間膜血管炎やループス腹膜炎に注意する。 | ||
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**薬 [#jd1985e4] | **薬 [#jd1985e4] | ||
- | -副腎皮質ホルモン | + | ***副腎皮質ホルモン [#b37059c9] |
- | プレドニン錠、プレドニゾロン錠(一般名:プレドニゾロン) | + | -プレドニン錠、プレドニゾロン錠(一般名:プレドニゾロン) |
- | -免疫抑制剤 | + | ***免疫抑制剤 [#kf81153d] |
- | エンドキサン錠(一般名:シクロフォスファミド) | + | -エンドキサン錠(一般名:シクロフォスファミド) |
- | イムラン錠、アザニン錠(一般名:アザキオプリン) | + | -イムラン錠、アザニン錠(一般名:アザキオプリン) |
+ | -ネオーラルカプセル(一般名:シクロスポリン) | ||
+ | -プログラフカプセル(一般名:タクロリムス) | ||
+ | -ブレディニン錠(一般名:ミゾリビン) | ||
+ | -リウマトレックスカプセル(一般名:メトトレキサート) | ||
**治療法 [#t043924e] | **治療法 [#t043924e] | ||
Line 94: | Line 161: | ||
それでも不十分の場合はエンドキサンなどの免疫抑制薬の内服・点滴あるいは血漿交換療法が行われます。 | それでも不十分の場合はエンドキサンなどの免疫抑制薬の内服・点滴あるいは血漿交換療法が行われます。 | ||
- | ***血漿交換療法 [#r64d0694] | + | ***アフェレーシス治療 [#o665f63f] |
- | 内服薬や注射剤等の一般的な内科治療のみでは治療困難な患者に対して、中空糸膜や吸着材による分離技術を応用して病気の原因となる物資(病因物質)を取り除く治療法です。 | + | アフェレーシス治療は、病的な自己抗体やサイトカインなどの炎症物質を、血液中から一時的に除去するのが狙いであり、抗体産生を抑える効果は持ち合わせていない。 |
- | 患者の血漿中に存在する病因物質を体外循環により直接除去します。 | + | 治療抵抗性のループス腎炎、中枢神経性の病変、肺胞出血などの重症病変において行われることがある。 |
+ | ****血漿交換療法 [#r64d0694] | ||
+ | 内服薬や注射剤等の一般的な内科治療のみでは治療困難な患者に対して、中空糸膜や吸着材による分離技術を応用して病気の原因となる物資(病因物質)を取り除く治療法です。 | ||
+ | 新鮮凍結血漿を用いて、患者の血漿中に存在する病因物質を体外循環により直接除去します。 | ||
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+ | ****二重膜濾過法 [#e14e8a12] | ||
+ | 血漿成分から一定の分子サイズのものを除去し残りを返血する療法 | ||
+ | ****選択的抗DNA抗体吸着療法 [#c9838a44] | ||
+ | 吸着カラムを用いた選択的抗DNA抗体吸着療法 |
- 全身性エリテマトーデス のバックアップ一覧
- 全身性エリテマトーデス のバックアップの現在との差分(No. All)
- 1: 2013-05-12 (日) 15:31:26 cons
- 2: 2015-06-25 (木) 14:28:11 seria
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