3: 2015-06-21 (日) 14:08:06 seria | 現: 2019-11-26 (火) 11:09:42 kondo | ||
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甲状腺機能亢進症の代表的な病気がバセドウ病です。 | 甲状腺機能亢進症の代表的な病気がバセドウ病です。 | ||
この病気は、甲状腺臓器の特異性な自己免疫疾患のひとつで、10000人中4~8人いると言われており、女性患者が男性患者より5倍と多いのも特徴としてあげられます。 | この病気は、甲状腺臓器の特異性な自己免疫疾患のひとつで、10000人中4~8人いると言われており、女性患者が男性患者より5倍と多いのも特徴としてあげられます。 | ||
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甲状腺機能異常があると、全身にさまざまな症状が現れます。新陳代謝が活発になり、その為に常にジョギングしているような状態で、脈拍が速く、汗が多く、暑がりで疲れやすくなる、37.5℃前後の微熱といった症状が現れます。 | 甲状腺機能異常があると、全身にさまざまな症状が現れます。新陳代謝が活発になり、その為に常にジョギングしているような状態で、脈拍が速く、汗が多く、暑がりで疲れやすくなる、37.5℃前後の微熱といった症状が現れます。 | ||
Line 14: | Line 14: | ||
甲状腺ホルモンが必要量より大量に産生され、血液中に多く流れ全身の新陳代謝を活発にさせます。 | 甲状腺ホルモンが必要量より大量に産生され、血液中に多く流れ全身の新陳代謝を活発にさせます。 | ||
症状の大部分は、甲状腺ホルモンの過剰によるものです。体の代謝が過度に刺激されるため、運動時と同じ状態になります。 | 症状の大部分は、甲状腺ホルモンの過剰によるものです。体の代謝が過度に刺激されるため、運動時と同じ状態になります。 | ||
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***全身症状 [#d2da4b0c] | ***全身症状 [#d2da4b0c] | ||
-暑がり、疲れやすい、だるい、体重減少、又は体重増加 | -暑がり、疲れやすい、だるい、体重減少、又は体重増加 | ||
暑がりで汗をかきやすくなり、飲水量も増えます。エネルギー消費の増加により食欲があっても、次第に体重が減少します。 | 暑がりで汗をかきやすくなり、飲水量も増えます。エネルギー消費の増加により食欲があっても、次第に体重が減少します。 | ||
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***体温 [#ndf87f01] | ***体温 [#ndf87f01] | ||
-微熱 | -微熱 | ||
Line 38: | Line 38: | ||
交感神経が興奮状態になるため、脈拍が早くなり動悸を感じます。不整脈もよくみられ、高齢者ではむくみや呼吸困難などの心不全症状を示すこともあります。 | 交感神経が興奮状態になるため、脈拍が早くなり動悸を感じます。不整脈もよくみられ、高齢者ではむくみや呼吸困難などの心不全症状を示すこともあります。 | ||
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***消化器症状 [#n7ba94d4] | ***消化器症状 [#n7ba94d4] | ||
-食欲亢進、食欲低下、口渇、軟便、排便回数増加 | -食欲亢進、食欲低下、口渇、軟便、排便回数増加 | ||
消化器官の運動も過剰になり、下痢をしやすくなります。 | 消化器官の運動も過剰になり、下痢をしやすくなります。 | ||
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***皮膚 [#vf4590fe] | ***皮膚 [#vf4590fe] | ||
-発汗、脱毛、かゆみ、皮膚が黒くなる | -発汗、脱毛、かゆみ、皮膚が黒くなる | ||
Line 58: | Line 58: | ||
このTRAb がTSHの代わりに甲状腺のTSHレセプターにくっつくと、常に甲状腺を刺激する為に、甲状腺ホルモンを作り続けるバセドウ病になると考えられています。 | このTRAb がTSHの代わりに甲状腺のTSHレセプターにくっつくと、常に甲状腺を刺激する為に、甲状腺ホルモンを作り続けるバセドウ病になると考えられています。 | ||
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+ | **検査 [#ca4a1388] | ||
+ | -甲状腺ホルモン(freeT4)と甲状腺刺激ホルモン(TSH)の測定 | ||
+ | 甲状腺機能の把握には、欠かせない血液検査です。 | ||
+ | バセドウ病ではfreeT4が高値、TSHが測定できないくらいに低値になります。 | ||
+ | -TSH受容体抗体(TRAb)の測定 | ||
+ | 採血で測定します。バセドウ病であれば陽性となります。 | ||
+ | 10%くらいは陰性となりますが、最近は測定キットの性能もあがり、バセドウ病と他の疾患を高精度で鑑別できるようになってきています。 | ||
+ | その他、甲状腺に対する抗体(抗Tg抗体、抗TPO抗体)も測定します。 | ||
+ | |||
+ | -超音波検査 | ||
+ | 甲状腺の大きさ、甲状腺内の血流、甲状腺の内部に結節(しこり)がないかどうかを検査します。 | ||
+ | |||
+ | -放射性ヨード摂取率の検査 | ||
+ | 他の疾患、特に無痛性甲状腺炎との区別が難しい場合、放射性ヨード摂取率の検査をします。これは体には全く無害でく微量の放射性ヨードを内服し、甲状腺に何%集まるかを検査します。 | ||
+ | バセドウ病は、ヨードを材料に甲状腺にて甲状腺ホルモンが多く産生されますので、飲んだ放射性ヨードはたくさん甲状腺に集まりますが、無痛性甲状腺炎など甲状腺が破壊されている病気では、ほとんど甲状腺に集まらないので簡単に区別がつきます。 | ||
**診断 [#uebc59e1] | **診断 [#uebc59e1] | ||
診断ガイドライン(日本甲状腺学会) | 診断ガイドライン(日本甲状腺学会) | ||
- | -a)臨床所見 | + | -a)臨床所見 |
- | --1.頻脈、体重減少、手指振戦、発汗増加等の甲状腺中毒症所見 | + | --1.頻脈、体重減少、手指振戦、発汗増加等の甲状腺中毒症所見 |
- | --2.びまん性甲状腺腫大 | + | --2.びまん性甲状腺腫大 |
- | --3.眼球突出または特有の眼症状 | + | --3.眼球突出または特有の眼症状 |
- | -b)検査所見 | + | -b)検査所見 |
- | --1.遊離T4、遊離T3のいずれか一方または両方高値 | + | --1.遊離T4、遊離T3のいずれか一方または両方高値 |
- | --2.TSH低値(0.1μU/ml以下) | + | --2.TSH低値(0.1μU/ml以下) |
- | --3.抗TSH受容体抗体(TRAb, TBII)陽性、または刺激抗体(TSAb)陽性 | + | --3.抗TSH受容体抗体(TRAb, TBII)陽性、または刺激抗体(TSAb)陽性 |
- | --4.放射線ヨード(またはテクネシウム)甲状腺摂取率高値、シンチグラフィでびまん性 | + | --4.放射線ヨード(またはテクネシウム)甲状腺摂取率高値、シンチグラフィでびまん性 |
-バセドウ病 | -バセドウ病 | ||
- | --a)の1つ以上に加えて、b)の4つを有するもの | + | --a)の1つ以上に加えて、b)の4つを有するもの |
-確からしいバセドウ病 | -確からしいバセドウ病 | ||
- | --a)の1つ以上に加えて、b)の1、2、3を有するもの | + | --a)の1つ以上に加えて、b)の1、2、3を有するもの |
-バセドウ病の疑い | -バセドウ病の疑い | ||
- | --a)の1つ以上に加えて、b)の1と2を有し、遊離T4、遊離T3高値が3ヶ月以上続くもの | + | --a)の1つ以上に加えて、b)の1と2を有し、遊離T4、遊離T3高値が3ヶ月以上続くもの |
-付記 | -付記 | ||
- | --1.コレステロール低値、アルカリフォスターゼ高値を示すことが多い。 | + | --1.コレステロール低値、アルカリフォスターゼ高値を示すことが多い。 |
- | --2.遊離T4正常で遊離T3のみが高値の場合が稀にある。 | + | --2.遊離T4正常で遊離T3のみが高値の場合が稀にある。 |
- | --3.眼症状がありTRAbまたはTSAb陽性であるが、遊離T4およびTSHが正常の例はeuthyroid Graves' diseaseまたはeuthyroid ophthalmopathyといわれる。 | + | --3.眼症状がありTRAbまたはTSAb陽性であるが、遊離T4およびTSHが正常の例はeuthyroid Graves' diseaseまたはeuthyroid ophthalmopathyといわれる。 |
- | --4.高齢者の場合、臨床症状が乏しく、甲状腺腫が明らかでないことが多いので注意をする。 | + | --4.高齢者の場合、臨床症状が乏しく、甲状腺腫が明らかでないことが多いので注意をする。 |
- | --5.小児では学力低下、身長促進、落ち着きの無さ等を認める。 | + | --5.小児では学力低下、身長促進、落ち着きの無さ等を認める。 |
- | --6.遊離T3(pg/ml)/遊離T4(ng/dl) 比は無痛性甲状腺炎の除外に参考となる。 | + | --6.遊離T3(pg/ml)/遊離T4(ng/dl) 比は無痛性甲状腺炎の除外に参考となる。 |
**合併症 [#u422111d] | **合併症 [#u422111d] | ||
Line 155: | Line 171: | ||
**妊娠 出産 [#z55e2775] | **妊娠 出産 [#z55e2775] | ||
バセドウ病は長期間を薬を服用することになりますが、本当に機能亢進症の時期はそれほど多くはありません。 女性の妊娠や出産との関係については、専門医のもとでしっかりと治療を行えば、普通の妊娠分娩で丈夫な赤ちゃんを出産することが可能です。 | バセドウ病は長期間を薬を服用することになりますが、本当に機能亢進症の時期はそれほど多くはありません。 女性の妊娠や出産との関係については、専門医のもとでしっかりと治療を行えば、普通の妊娠分娩で丈夫な赤ちゃんを出産することが可能です。 | ||
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+ | **罹患した著名人 [#w13e7fea] | ||
+ | -田中角栄 元内閣総理大臣 | ||
+ | -絢香 歌手 | ||
+ | -増田恵子 ピンクレディー、歌手、女優 | ||
+ | -美奈子 タレント 元プロレスラーの佐々木義人氏の妻 ビッグダディこと林下清志氏の元妻 |
- バセドウ病 のバックアップ一覧
- バセドウ病 のバックアップの現在との差分(No. All)
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