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1: 2013-11-29 (金) 12:51:57 seria ソース 2: 2013-11-29 (金) 15:07:18 seria ソース
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*概要 [#da0cf757] *概要 [#da0cf757]
咽頭がんは上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がんとに分かれます。 咽頭がんは上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がんとに分かれます。
 +-上咽頭
 +上咽頭は鼻の突き当たりで、上方は頭蓋骨、上外側は眼があり、外側には耳管咽頭孔があり、前方は鼻腔になります。
 +上咽頭がんでは頸部リンパ節転移も多く、多様な症状を示します。
 +-中咽頭
 +中咽頭は上咽頭の下方で軟口蓋の高さで区切られます。中咽頭には扁桃腺へんとうせんがあり、前壁は舌根部(ぜっこんぶ)((舌根部とは、舌の付け根の部分))です。中咽頭がんでは扁桃肥大と間違えられることもあります。また中咽頭には悪性リンパ腫もしばしばみられます。
 +-下咽頭
 +下咽頭は中咽頭の下方で、食道入口部までが範囲です。下咽頭の前方には喉頭があります。
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 +中咽頭がんや下咽頭がんでは、食道がんとの重複がんが多いのが特徴です。
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**症状 [#y6a492a0] **症状 [#y6a492a0]
 +-上咽頭がん
 +頸部腫瘤と耳症状が最も多い症状です。耳症状としては詰まる感じや聞こえが悪いなどがあり、滲出性中耳炎と診断されている場合があります。そのほかに、物が重なって見える眼の症状、鼻出血、鼻閉などの鼻症状、がんこな頭痛などいろいろな症状があります。
 +-中咽頭がん
 +咽頭痛や嚥下痛、のどのはれた感じなどが多くみられる症状です。頸部リンパ節腫大もあります。
 +-下咽頭がん
 +のどが詰まった感じや咽頭の違和感に始まり、嚥下痛、咽頭痛、声のかすれなどの症状が出ます。進行すると食事が通らなくなります。頸部リンパ節腫大もあります。
**原因 [#t4cac23a] **原因 [#t4cac23a]
 +-上咽頭がん
 +EBウイルスの関与がいわれています。
 +--EBウイルス
 +EBウイルスとは、エプスタインとバールという人によって1964年に発見されたウイルスでEBとは発見者の頭文字からつけられています。
 +EBウイルスに感染すると、発熱が続く、リンパ節腫脹、咽頭痛などの痛みなどの症状がみられ、体がだるくなったり、発疹なども見られます。予後は2週間前後で沈静に向かいますが、合併症を伴うこともあります。
 +
 +-中咽頭がん、下咽頭がん
 +アルコールやたばこ、食物、環境因子などと因果関係があるといわれています。
 +
 +近年、咽頭がんでは、パピローマウイルスの関与が注目されています。
 +
**診療科 [#k4ffd51d] **診療科 [#k4ffd51d]
 +耳鼻咽喉科、歯科口腔外科、形成外科、腫瘍内科、放射線腫瘍科
 +-がん専門施設
 +-頭頸部がんの専門医がいる病院
 +
**検査 [#m7dda289] **検査 [#m7dda289]
 +-上咽頭がん
 +鼻咽腔ファイバースコープ(内視鏡)検査で直接がんを観察します。CTやMRIで腫瘍の周囲組織への広がりや浸潤の有無を検査します。
 +遠隔転移が多いので肺転移や全身への転移を調べるため、肺CTやPET(ポジトロン放出断層撮影)などが行われます。
 +-中咽頭がん
 +直接観察ができるので視診と触診が重要です。CT、MRIもがんの範囲やリンパ節転移を診断するのに有用です。
 +-下咽頭がん
 +直接肉眼的に見ることはできないので、内視鏡検査による観察が必要です。そのほかに食道造影検査、CT、MRIなどを行います。
 +特にNBI(狭域帯)内視鏡が有用です。表在がんなど小さいがんも容易に見つけることができます。食道の観察にも用いられています。
 +食道がんとの重複がんを調べるためには、上部消化管ファイバースコープ(内視鏡)検査が必要です。
 +
**診断 [#x3e47c9a] **診断 [#x3e47c9a]
**病期 ステージ [#n0d6b126] **病期 ステージ [#n0d6b126]
 +
 +咽頭癌は病巣の広がりの状況で0~IV期に分類されます。
 +
 +-上咽頭癌
 +--0期
 +癌原発巣が上皮内にとどまる極早期の段階。
 +--I期
 +癌原発巣が上咽頭に限局し、リンパ節転移を認めない段階。
 +--IIA期
 +癌原発巣が中咽頭および/または鼻腔に伸展、傍咽頭間隙への伸展を伴わない状態で、リンパ節転移を認めない段階。
 +--IIB期
 +癌原発巣が傍咽頭間隙への伸展を伴わない状態で、鎖骨上窩より上方で片側6cm以下のリンパ節転移を認める段階。癌原発巣が傍咽頭間隙への伸展を伴う状態で、リンパ節転移を認めないか、あるいは鎖骨上窩より上方で片側6cm以下のリンパ節転移を認める段階。
 +--III期
 +癌原発巣の伸展が傍咽頭間隙までの状態で、鎖骨上窩より上方で両側に6cm以下のリンパ節転移を認める段階。癌原発巣が骨組織や副鼻腔に伸展した状態で、リンパ節転移を認めないか、あるいは鎖骨上窩より上方で片側6cm以下のリンパ節転移を認める段階。
 +--IVA期
 +癌原発巣が頭蓋内、脳神経、側頭下窩、下咽頭、眼窩、咀嚼筋間隙に伸展した状態で、6cmより大きいリンパ節転移を認めない段階。
 +--IVB期
 +癌原発巣の状態とは関係なく、6cmより大きなリンパ節転移を認める段階。
 +--IVC期
 +癌が他の部位、たとえば肺や肝臓などに転移している段階。
 +
 +
 +-中咽頭癌
 +--0期
 +癌原発巣が上皮内にとどまる極早期の段階。
 +--I期
 +癌原発巣が2cm以下で、リンパ節転移を認めない段階。
 +--II期
 +癌原発巣が2cmより大きく4cm以下で、リンパ節転移を認めない段階。
 +--III期
 +癌原発巣が4cm以下の状態で、同側に単発で3cm以下のリンパ節転移を認める段階。癌原発巣が4cmより大きい状態で、リンパ節転移を認めないか、あるいは同側に単発で3cm以下のリンパ節転移を認める段階。
 +--IVA期
 +癌原発巣が喉頭などへ浸潤しない状態で、同側に単発で3cmより大きく6cm以下のリンパ節転移、同側に6cm以下の複数のリンパ節転移、あるいは対側や両側に6cm以下のリンパ節転移を認める段階。癌原発巣が喉頭、舌深層の筋肉、内側翼突筋、硬口蓋、下顎骨のいずれかに浸潤した状態で、6cmより大きいリンパ節転移を認めない段階。
 +--IVB期
 +リンパ節転移の状態とは関係なく、癌原発巣が外側翼突筋、翼状突起、上咽頭側壁、頭蓋底のいずれかに浸潤、または頚動脈を全周性に取り囲む認める段階。癌原発巣の状態とは関係なく、6cmより大きなリンパ節転移を認める段階。
 +--IVC期
 +癌が他の部位、たとえば肺や肝臓などに転移している段階。
 +
 +
 +-下咽頭癌
 +--0期
 +癌原発巣が上皮内にとどまる極早期の段階。
 +--I期
 +癌原発巣が2cm以下、あるいは下咽頭の1亜部位(輪状後部/梨状陥凹/咽頭後壁)に限局した状態で、リンパ節転移を認めない段階。
 +--II期
 +癌原発巣が2cmより大きく4cm以下、あるいは下咽頭の1亜部位(輪状後部/梨状陥凹/咽頭後壁)をこえるか、隣接部位に浸潤し喉頭の固定がない状態で、リンパ節転移を認めない段階。
 +--III期
 +癌原発巣が4cm以下、あるいは喉頭の固定が状態で、同側に単発で3cm以下のリンパ節転移を認める段階。癌原発巣が4cmより大きい、あるいは片側喉頭の固定した状態で、リンパ節転移を認めないか、あるいは同側に単発で3cm以下のリンパ節転移を認める段階。
 +--IVA期
 +癌原発巣が甲状軟骨や甲状腺、食道など周囲臓器へ浸潤しない状態で、同側に単発で3cmより大きく6cm以下のリンパ節転移、同側に6cm以下の複数のリンパ節転移、あるいは対側や両側に6cm以下のリンパ節転移を認める段階。癌原発巣が甲状軟骨、輪状軟骨、舌骨、甲状腺、食道、頸部正中軟部組織のいずれかに浸潤した状態で、6cmより大きいリンパ節転移を認めない段階。
 +--IVB期
 +リンパ節転移の状態とは関係なく、癌原発巣が椎前筋膜、縦隔に浸潤、または頚動脈を全周性に取り囲む認める段階。癌原発巣の状態とは関係なく、6cmより大きなリンパ節転移を認める段階。
 +--IVC期
 +癌が他の部位、たとえば肺や肝臓などに転移している段階。
 +
**合併症 [#a86755b3] **合併症 [#a86755b3]
**薬 [#s6e61f4c] **薬 [#s6e61f4c]
Line 16: Line 117:
**治療法 [#w9281da9] **治療法 [#w9281da9]
 +-上咽頭がん
 +放射線治療と抗がん薬治療(化学療法)を組み合わせて行うのが一般的で、手術が第一選択になることはありません。
 +放射線治療後に補助化学療法を行う方法や放射線照射に抗がん薬を同時に併用して行う方法、全身的に抗がん薬治療を行い、そのあとに局所の上咽頭を中心に放射線を照射する方法などがありますが、抗がん薬同時併用放射線照射が主流です。
 +放射線治療と化学療法の2つを組み合わせることにより、治療成績は著しく向上しています。最近ではIMRT(強度変調放射線治療)により口腔乾燥を軽くすることができます。
 +-中咽頭がん
 +I期やII期のがんでは放射線治療となります。外照射では治療後の唾液腺の分泌障害による口腔乾燥症が問題となります。また小さいがんでは、口腔内の変形は残りますが、切除もよい治療法です。
 +一方、III期、IV期の進行がんでは手術治療になり、その場合には再建手術も必要になります。軟口蓋を大きく切除したり、舌根部を大きく切除した場合には嚥下機能障害が術後に生じる場合があるため、嚥下障害に対する手術が必要になります。また舌根がんが下方に進行している場合には、喉頭も合併切除します。
 +-下咽頭がん
 +手術治療が第一選択となります。初診時にすでに進行がんになっていることが多いので、咽頭喉頭食道摘出術という下咽頭とともに喉頭を摘出する手術を行い、空腸などを用いた遊離皮弁や大胸筋皮弁などで下咽頭を再建します。その場合、喉頭がんと同様に喉頭も全摘するので、永久気管孔となり音声機能を失います。
 +最近では、限局した下咽頭がんでは、がんを部分的に切除して喉頭を温存し再建する方法や、表在がんでは内視鏡で切除する手術方法もあります。また早期のがんであれば、放射線治療で治癒します。

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