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7: 2015-06-23 (火) 18:04:41 seria ソース 現: 2020-09-12 (土) 15:38:56 kondo ソース
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#contents #contents
*BC 概要 [#zd83be71] *BC 概要 [#zd83be71]
-乳がん(乳癌、Breast cancer)とは乳汁を分泌する乳腺小葉上皮、あるいは乳管までの通り道である乳管の上皮が悪性化したものであり、近年の日本人女性の悪性腫瘍のなかでは最も頻度の高いものとなっています。+乳がん(乳癌、Breast Cancer)とは乳汁を分泌する乳腺小葉上皮、あるいは乳管までの通り道である乳管の上皮が悪性化したものであり、近年の日本人女性の悪性腫瘍のなかでは最も頻度の高いものとなっています。
主な症状は、乳房にできる硬いしこりで、普通は左右どちらかに生じますが、手で触れてはっきりわかるほどになっても痛みはなく、その為発見が遅れることもあります。乳頭から分泌物が出たり、乳頭のただれや変形、乳房の皮膚のへこみなど見られることもあります。 主な症状は、乳房にできる硬いしこりで、普通は左右どちらかに生じますが、手で触れてはっきりわかるほどになっても痛みはなく、その為発見が遅れることもあります。乳頭から分泌物が出たり、乳頭のただれや変形、乳房の皮膚のへこみなど見られることもあります。
 +
 +**乳がんの種類 [#a4018da5]
 +乳がんは「非浸潤がん」、「浸潤がん」、「パジェット病」の3つの種類に大別されます。
 +***非浸潤がん [#u463b332]
 +乳管内または小葉の中にとどまっている早期のがんです。転移を起こすリスクは低いので手術で切除すればほぼ100%完治します。
 +
 +***浸潤がん [#g919f97a]
 +乳管や小葉の外まで広がっているものをいいます。がん細胞が血管やリンパ管に流入することで、周囲のリンパ節や乳房以外の臓器に転移する可能性があります。
 +***パジェット病 [#g24181d8]
 +パジェット病は、しこりをつくらず乳頭近くの乳管内に発生して、皮膚炎のような症状をみせながら周囲に広がる特殊なタイプの乳がんです。通常は転移を起こすことがなく、予後のよいがんです。
 +
 +乳頭の湿疹や赤み、びらんが発見の手がかりになる。
 +
 +**トリプルネガティブ乳がん(TNBC) [#q614026e]
 +エストロゲン受容体・プロゲステロン受容体・HER2の3つ(トリプル)が腫瘍細胞に発現していない(ネガティブ)乳がんのことを呼んでいます。
 +
 +女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンは、それぞれの受容体が発現している乳がんの発生と増殖に関する因子であり、これらの受容体が発現している場合はホルモン療法が有効となります。
 +
 +[[HER2]]はがん遺伝子で、[[HER2]]が発現している場合は抗[[HER2]]療法の効果が期待できます。
 +
 +トリプルネガティブ乳がん(TNBC)は、これらの因子とは全く関係ない発がんメカニズムを持つ乳がんのため、ホルモン療法も、HER2を攻撃する分子標的薬も効かないので、一般的に予後が悪いと言われています。しかし、実際には個々の患者さんで発症の要因が異なり、化学療法の効果が高い病気です。
**症状 [#pd901060] **症状 [#pd901060]
-乳房のしこり 乳がんは5mmぐらいから1cmぐらいの大きさになると、自分で見つけることができるようになります。+***乳房のしこり [#kd7fd72d] 
 +乳がんは5mmぐらいから1cmぐらいの大きさになると、自分で見つけることができるようになります。 
 +痛みは、まずありません。
-乳房の皮膚の変化 -乳房の皮膚の変化
乳がんが乳房の皮膚の近くに生じると、皮膚が赤く腫れたり、えくぼが出来たりします。 乳がんが乳房の皮膚の近くに生じると、皮膚が赤く腫れたり、えくぼが出来たりします。
 +
 +***乳頭の分泌物 [#v806b7fc]
 +がん細胞が乳頭にまで達すると乳頭から血の混じった分泌物が出てきます。
 +非浸潤がんは、しこりなどの自覚症状がなく検診で発見される率が増えていますが、乳頭から血性の分泌物が出ることで異常に気づくこともあります。
 +
 +***乳頭の陥没や乳房のくぼみ [#a6ad6d2c]
 +がんが乳房の皮膚や乳頭に近いところに達することで現れることがあります。
 +
***炎症性乳がん [#h0878fea] ***炎症性乳がん [#h0878fea]
明らかなしこりは見つけられないが、乳房表面の皮膚がオレンジの皮のように赤くなり、痛みや熱感を起こします。これは、乳がん細胞が皮膚のリンパ管の中に詰まっているためです。 明らかなしこりは見つけられないが、乳房表面の皮膚がオレンジの皮のように赤くなり、痛みや熱感を起こします。これは、乳がん細胞が皮膚のリンパ管の中に詰まっているためです。
炎症性乳がんは全身的な転移をしやすい病態です。 乳房の近くのリンパ節の腫れ 乳がんは乳房の近くにある領域リンパ節に転移をしやすく、領域リンパ節が大きくなってくるとリンパ液の流れがせき止められて腕がむくんできたり、腕に向かう神経を圧迫して腕のしびれをきたしたりすることがあります。 炎症性乳がんは全身的な転移をしやすい病態です。 乳房の近くのリンパ節の腫れ 乳がんは乳房の近くにある領域リンパ節に転移をしやすく、領域リンパ節が大きくなってくるとリンパ液の流れがせき止められて腕がむくんできたり、腕に向かう神経を圧迫して腕のしびれをきたしたりすることがあります。
 +
 +***パジェット病 [#xc85e83f]
 +乳頭のただれや周囲の皮膚の湿疹がみられる。
 +
 +***乳房近くのリンパ節の腫れ [#i45e381e]
 +乳房近くのリンパ節に転移した場合、リンパ節が腫れたり、周囲の神経が圧迫されて腕がむくんだりしびれることがあります。
***遠隔転移の症状 [#zcb57137] ***遠隔転移の症状 [#zcb57137]
-転移した臓器によって症状は違います。領域リンパ節以外のリンパ節が腫れている場合は、遠隔りんぱ節転移といい、他臓器への転移と同様に扱われます。+転移した臓器によって症状は違います。領域リンパ節以外のリンパ節が腫れている場合は、遠隔リンパ節転移といい、他臓器への転移と同様に扱われます。
腰、背中、肩の痛みなどが持続する場合は骨転移が疑われ、荷重がかかる部位にできた場合には骨折をおこす危険もあります。 腰、背中、肩の痛みなどが持続する場合は骨転移が疑われ、荷重がかかる部位にできた場合には骨折をおこす危険もあります。
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**原因 [#a8a00ea7] **原因 [#a8a00ea7]
女性ホルモンであるエストロゲンとの関わりが有力視されていて、出産経験のない人や初産が35歳過ぎとうい人が比較的多くみられ、同じ家系に多発する例が少なくありません。 女性ホルモンであるエストロゲンとの関わりが有力視されていて、出産経験のない人や初産が35歳過ぎとうい人が比較的多くみられ、同じ家系に多発する例が少なくありません。
 +***乳がんの主なリスク要因 [#t6135185]
 +-初経年齢が若い
 +-初経から閉経までの期間が長い
 +-高齢初産(または出産歴・授乳歴がない)
 +-閉経後の肥満
 +-良性の乳腺疾患になったことがある
 +-家族(特に母姉妹)が乳がんになったことがある
 +-出生時の体重が重い
 +-ホルモン補充療法(プロゲステロン併用療法)の長期施行
 +-放射線の被曝
 +-喫煙
 +-夜間勤務
 +-アルコールの摂取量が多い
**診断 検査 [#me01d3d1] **診断 検査 [#me01d3d1]
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触診では見つからないような小さながんが見つかることがあります。 透明な板で乳房を挟み、平に拡げて撮影することで乳管と呼ばれる乳腺の実質を詳しくみていきます。 触診では見つからないような小さながんが見つかることがあります。 透明な板で乳房を挟み、平に拡げて撮影することで乳管と呼ばれる乳腺の実質を詳しくみていきます。
このとき癌が疑われる場合は周囲と異なる塊状のしこりや、乳管に沈着したカルシウムが砂をまいたようにみえる石灰化した状態が見られたりします。 このとき癌が疑われる場合は周囲と異なる塊状のしこりや、乳管に沈着したカルシウムが砂をまいたようにみえる石灰化した状態が見られたりします。
-こうした症状があっても、すべて悪性とは限りません。 乳腺の画像検査(超音波検査、MRI検査、CT検査) しこりが癌であるかどうかや病変の拡がりを診断するために、乳腺の検査を行います。+こうした症状があっても、すべて悪性とは限りません。
-撮影方法 -撮影方法
上半身裸で装置の前に立ち、乳房を装置の撮影台に載せます。 装置には圧迫板とよばれるプラスチックの板があり、これにより乳房を強く撮影台に押さえつけて厚さ4~5cm程度まで圧迫します。乳房が所定の厚みになった状態で撮影します。 通常、左右それぞれ撮影方向を縦と横と変えて2枚ずつ、合計4枚撮影します。 上半身裸で装置の前に立ち、乳房を装置の撮影台に載せます。 装置には圧迫板とよばれるプラスチックの板があり、これにより乳房を強く撮影台に押さえつけて厚さ4~5cm程度まで圧迫します。乳房が所定の厚みになった状態で撮影します。 通常、左右それぞれ撮影方向を縦と横と変えて2枚ずつ、合計4枚撮影します。
--乳房組織の脂肪が少なく腺が多い場合(乳房密度が高い場合)に感度が低下するといわれています。 --乳房組織の脂肪が少なく腺が多い場合(乳房密度が高い場合)に感度が低下するといわれています。
-***乳房MRI検査 [#dedd7670]+***3Dマンモグラフィー [#jc9904fc] 
 +マンモグラフィ(2D-MMG)は、乳房を圧迫してX線で写真を撮りますが、これでは乳腺組織の厚みのために撮りたい部位が重なって分かりにくい場合があります。 
 +閉経後の患者さんでは、乳腺が減って脂肪組織が増えるためわかりやすいのですが、若年者や乳腺の多い方ではどうしても判定が困難になってしまいます。 
 +3Dマンモグラフィ(3D-MMG)は、撮影角度を変えて複数の方向から撮影し、収集したデータを3次元的に再構成することにより、画像の重なりを排除し、病変の判定がマンモグラフィ(2D-MMG)よりも容易です。 
 +-下記の患者さんに有効です。 
 +--乳腺組織の厚い若年者の方 
 +--マンモグラフィで要精密検査とされた方 
 +--乳癌術後の局所再発の心配な方 
 + 
 +***乳房超音波検査(エコー) [#x06a9e9f] 
 +診察台の上に仰向けになり、皮膚にゼリーを塗って、プローブ(端子)をあて、乳房の内部を観察する検査です。痛みはなく、体への負担はほとんどありません。 
 +検査中は、画面を見やすくするために、診察室を暗くします。数mmの小さな腫瘤(しこり)を見つけたり、しこりの性状が詳しくわかる検査です。細かい石灰化は見えません。 
 +***自動乳腺超音波検査(Automated Breast Ultrasound System:AUBS) [#nd6c0fc3] 
 +乳房全体をコピーのようにスキャンし、様々な方向から乳房内を検査します。 
 +画像が立体的に構築できるためCTやMRIの様な画像を表現することが可能な装置です。 
 +検査データーを一時保存することができ、一時保存することにより検査の見直しが可能です。 
 + 
 +****デンスブレスト(dense breast) [#g2d424e4] 
 +デンスブレスト(dense breast)の場合には、乳腺の影響を受けず、がんが黒く描出される超音波検査(エコー)が適しています。 
 + 
 +乳房の乳腺密度が高い女性の場合、マンモグラフィでは乳房組織が白く映り、がん細胞も同じく白く映るためがんを見分けにくい。 
 + 
 +***乳房MRI検査(磁気共鳴装置) [#dedd7670]
乳腺MRI検査とは、強い磁力を発生するMRI装置を用いて、乳房の病巣を画像化し、診断する検査のことです。乳房にできた腫瘍と正常な乳腺組織とを鑑別できます。原則、ガドリニウム造影剤を使用して検査を行います。 乳腺MRI検査とは、強い磁力を発生するMRI装置を用いて、乳房の病巣を画像化し、診断する検査のことです。乳房にできた腫瘍と正常な乳腺組織とを鑑別できます。原則、ガドリニウム造影剤を使用して検査を行います。
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T1強調像(脂肪は白く、腫瘍は黒く写る)とT2強調像(脂肪は黒く、腫瘍は白く写る)を撮影した後、Gd-DTPAという造影剤を多く用いたダイナミック撮影を行ない、最後に造影後のT1強調像を撮影します。 T1強調像(脂肪は白く、腫瘍は黒く写る)とT2強調像(脂肪は黒く、腫瘍は白く写る)を撮影した後、Gd-DTPAという造影剤を多く用いたダイナミック撮影を行ない、最後に造影後のT1強調像を撮影します。
--最初から脂肪が強く写らないように調整(脂肪抑制)しながら、造影剤を用いてT1強調像を撮影します。 --最初から脂肪が強く写らないように調整(脂肪抑制)しながら、造影剤を用いてT1強調像を撮影します。
 +
 +***CT(コンピューター断層撮影) [#yb8797aa]
 +コンピューターを用いた特殊なX線断層装置で、からだの断面を映し出す方法です。撮影する範囲が広いので、肺や肝臓、脳など、他の臓器への遠隔転移をみつけるのに有効です。
 +
 +
 +***骨シンチグラフィ [#aab397e5]
 +乳がんの骨への転移を調べるための検査です。放射性物質(アイソトープ)を注射し、転移のある骨にアイソトープが集まる性質を利用して、転移の有無を確認します。
 +骨への転移の可能性が高いと判断された場合に行うことが多く、早期の乳がんには行わないことがあります。
***陽電子乳房撮影(PEM) [#w33fdecc] ***陽電子乳房撮影(PEM) [#w33fdecc]
陽電子放射断層撮影(PET)の原理を応用したもので、放射線検出器を乳房に当てて撮像します。マンモグラフィーのような痛みがなく高精度で撮影範囲も広い画像になります。 陽電子放射断層撮影(PET)の原理を応用したもので、放射線検出器を乳房に当てて撮像します。マンモグラフィーのような痛みがなく高精度で撮影範囲も広い画像になります。
---陽電子放射断層撮影(PET)検査+****陽電子放射断層撮影(PET)検査 [#j9f6052b]
がん細胞が正常細胞よりも多く取り込む放射性検査薬を体内に注入し、放射線発生部位を撮影します。PET検査は全身撮影で空間分解能が5ミリなので、乳がん細胞はぼんやりとしか撮像できません。 がん細胞が正常細胞よりも多く取り込む放射性検査薬を体内に注入し、放射線発生部位を撮影します。PET検査は全身撮影で空間分解能が5ミリなので、乳がん細胞はぼんやりとしか撮像できません。
 +
***穿刺吸引細胞診 [#g9c6bf00] ***穿刺吸引細胞診 [#g9c6bf00]
-乳房内のしこりに細い注射針を刺し、細胞を吸引して調べる検査です。痛みはほとんどなく、しこりに針がしっかりと命中していれば、多くの細胞を採取できます。この検査により80~90%の割合で癌かどうかの診断が確定します。 +&ruby(せんし){穿刺};吸引細胞診は、超音波ガイド下に、乳房内のしこりに細い注射針を刺し、細胞を吸引してガラスに吹きつけて染色し、細胞の性質を顕微鏡で検査する方法です。 
-***針生検 [#i283ccc1+ 
-太い針を刺してしこりの一部の組織を採取します。 +針を刺すので痛みは少しありますが、局所麻酔は必要とせず、注射の跡も残りません。反面、細い針を使うため、採取できる細胞の量がとても少なく、正確な診断が難しいことがあります。 
-***マンモトーム生検 [#s6f30122]+ 
 +細胞診は、良性か悪性かを推定するために行われることが多く、がんと確定するためには、より多くの組織を採取できる組織診が必要となります。 
 + 
 +***分泌液細疱疹 [#z1e0106c
 +乳頭(乳首)からでている分泌液をオブジェクトグラスまたは生理食塩水の中に取り、その中にある細胞の性質を顕微鏡で検査する方法です。 
 +***針生検(組織診) [#t69629ad] 
 + 
 +病変部に太めの針を刺して病変組織を採取し、症状の原因を調べる検査です。 
 +針生検は、組織を採取するときに用いられる機械の種類によって、コア針生検と吸引式乳房組織生検に分けられます。どちらも痛みを抑えるため、局所麻酔を用いて検査します。 
 + 
 + 
 +****コア針生検・太針穿刺吸引組織診 [#m352287e] 
 +細胞診に用いるより太めの針(通常14ゲージ)を超音波ガイド下に病変に刺入し、組織片を切離・採取して顕微鏡で病理診断する方法です。 
 + 
 +****吸引式乳房組織生検・マンモトーム生検 (ステレオマンモグラフィガイド下の陰圧吸引式針生検) [#fde20693] 
触診では明らかなしこりを見つけられず、画像検査だけで異常が指摘されるような場合には、マンモトーム生検と呼ばれる特殊な針生検を行うこともあります。 触診では明らかなしこりを見つけられず、画像検査だけで異常が指摘されるような場合には、マンモトーム生検と呼ばれる特殊な針生検を行うこともあります。
 +1回の採取で複数の大きな組織片を採取できます。
 +診断がつきにくい微細石灰化巣や微小病変の生検をより確実に行えます。
 +
***遠隔転移の検査 [#lc9ba413] ***遠隔転移の検査 [#lc9ba413]
乳がんが転移しやすい遠隔臓器として肺、肝臓、骨、リンパ節などがあります。 乳がんが転移しやすい遠隔臓器として肺、肝臓、骨、リンパ節などがあります。
遠隔転移があるかどうかの診断のためには、胸部レントゲン撮影、肝臓のCTや超音波検査、骨のアイソトープ検査(骨シンチグラフィ)などが行われます。 遠隔転移があるかどうかの診断のためには、胸部レントゲン撮影、肝臓のCTや超音波検査、骨のアイソトープ検査(骨シンチグラフィ)などが行われます。
 +****センチネルリンパ節生検 [#db053848]
 +センチネルリンパ節生検は、腋窩リンパ節転移の有無を負担が少なくて調べられる方法です。
 +
 +センチネルリンパ節(見張りリンパ節)とは、乳癌のリンパ節転移が最初に起こる可能性の高いリンパ節のことです。
 +つまりこのセンチネルリンパ節に転移がなければ、その他のリンパ節にも転移は起こっていないと考えられます。もし術前や術中にこのセンチネルリンパ節を見つけ、顕微鏡検査でそのリンパ節に転移が無いことを確認できれば、不必要なリンパ節郭清を省略することができます。その結果、術後の合併症を予防することができます。
**病期 ステージ [#qd90f6d9] **病期 ステージ [#qd90f6d9]
Line 130: Line 234:
****乳房再建術 [#i1f3a206] ****乳房再建術 [#i1f3a206]
癌を切除する手術で失われた乳房を自分の筋肉、または人工物を使用し形成する手術です。乳頭を形成することもできます。 癌を切除する手術で失われた乳房を自分の筋肉、または人工物を使用し形成する手術です。乳頭を形成することもできます。
 +
 +詳しくは、乳房再建術 のページに記載
***放射線療法 [#aa505fb9] ***放射線療法 [#aa505fb9]
Line 165: Line 271:
-アロマシン錠(一般名:エキセメスタン) -アロマシン錠(一般名:エキセメスタン)
--アリミデックス錠(一般名:アナストロゾール) --アリミデックス錠(一般名:アナストロゾール)
-抗HER2モノクローナル抗体製剤「ハーセプチン注射用」(一般名:トラスツズマブ)と併用投与が奏功する+抗[[HER2]]モノクローナル抗体製剤「ハーセプチン注射用」(一般名:トラスツズマブ)と併用投与が奏功する
--副作用 --副作用
骨量が減少するため、骨量を増やすビスフォスフォネート製剤をうまく利用する工夫が必要です。 骨量が減少するため、骨量を増やすビスフォスフォネート製剤をうまく利用する工夫が必要です。
Line 204: Line 310:
-アドリアシン注用(一般名:アドリアマイシン) アントラサイクリン系 -アドリアシン注用(一般名:アドリアマイシン) アントラサイクリン系
 +-ベージニオ錠(一般名:アベマシクリブ)CDK4及び6阻害剤
Line 223: Line 330:
-CEF療法 -CEF療法
シクロホスファミド、エピルビシン、フルオロウラシルの組み合わせです。 シクロホスファミド、エピルビシン、フルオロウラシルの組み合わせです。
 +
 +****抗HER2抗体トポイソメラーゼI阻害剤複合体 [#h59bd751]
 +-エンハーツ点滴静注用(一般名:トラスツズマブ デルクステカン)
****その他の抗がん剤 [#w9b34efe] ****その他の抗がん剤 [#w9b34efe]
Line 232: Line 342:
****ハーセプチン治療 [#wf526fb3] ****ハーセプチン治療 [#wf526fb3]
-乳がんのうち20%~30%は、乳がん細胞の表面に受容体HER2タンパクと呼ばれるタンパク質をたくさん持っており、このHER2タンパクは乳がんの増殖に関与していると考えられています。+乳がんのうち20%~30%は、乳がん細胞の表面に受容体[[HER2]]タンパクと呼ばれるタンパク質をたくさん持っており、このHER2タンパクは乳がんの増殖に関与していると考えられています。
ハーセプチン治療は、転移性乳がんで乳房以外に拡がった状態の癌、または、受容体HER2タンパクあるいはHER2遺伝子を過剰に持っている乳がんのみに適応されます。このHER2タンパクを狙って攻撃することにより治療します。 ハーセプチン治療は、転移性乳がんで乳房以外に拡がった状態の癌、または、受容体HER2タンパクあるいはHER2遺伝子を過剰に持っている乳がんのみに適応されます。このHER2タンパクを狙って攻撃することにより治療します。
-ハーセプチン注射用(一般名:トラスツズマブ 分子標的薬) -ハーセプチン注射用(一般名:トラスツズマブ 分子標的薬)
Line 240: Line 350:
--重大な副作用 --重大な副作用
間質性肺炎や骨髄抑制、肝障害、肝障害、腎障害、脳血管障害などの報告があります。 間質性肺炎や骨髄抑制、肝障害、肝障害、腎障害、脳血管障害などの報告があります。
 +
 +***骨転移治療 [#c5b983ae]
 +乳癌が骨に転移した場合には、痛みや骨折の合併が見られることがあります。骨転移には骨にある破骨細胞(骨を壊す細胞)が関与して、働きが亢進していることが解っています。
 +破骨細胞の働きを抑える薬がビスフォスフォネート製剤やデノスマブです。これらの投与で痛みや骨折の予防になります。
 +-プラリア皮下注シリンジ(一般名:デノスマブ)
 +
 +**罹患した著名人 [#v2b09599]
 +-麻木久仁子 女優、タレント
 +-小林麻央 元フリーアナウンサー、キャスター、十一代目市川海老蔵の妻
 +-田中 好子 アイドル歌手キャンディーズのメンバー、女優
 +-南 果歩 女優
 +-山田邦子 タレント
 +-平松愛理 シンガーソングライター、作詞家、作曲家
 +2001年、子宮内膜症が悪化し、子宮を摘出。その半年後の2002年には乳癌が見つかる。
 +-だいた ひかる 女性お笑い芸人
 +2016年1月6日、マンモグラフィーを受け、 乳がんが発覚する。
 +2016年2月25日、右乳房を全摘出手術をうける。4月11日から10月まで抗がん剤治療を受ける。
 +2019年3月20日、更新したブログで右胸の乳がんが再発したことを明かした。
 +-生稲晃子 歌手、女優 女性アイドルグループおニャン子クラブの元メンバー
 +2006年3月に第1子長女を出産する。
 +2011年4月に「浸潤性乳頭腺管がん」が早期で見つかり、がんのできた部分のみを切除する手術を受ける。その後、2012年夏に再発し同様の手術を受ける。
 +さらに2013年秋に再発した乳がんが乳房の表面ではなく、中で見つかったこともあり、2013年末に右乳房の全摘出手術を受ける。
 +2015年10月27日、乳房再建術を受ける。
 +
 +-太田裕美 歌手
 +2019年9月18日、自身のブログで乳がんを患っていることを明かした。
 +-谷山 浩子 シンガーソングライター
 +2020年9月、治療を開始する。

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