GOT(AST)・GPT(ALT)
GOT(AST)もGPT(ALT)もトランスアミナーゼと呼ばれる酵素の仲間で細胞の中にあり体が必要とするアミノ酸をつくる上で大切な働きをしています。肝細胞に多く含まれており、肝細胞が壊れると血液中に流れ出すため、これらを測定することで肝障害の程度を判定することができます。
- 基準値
GOT(AST) 10~40IU/ℓ
GPT(ALT) 5~40IU/ℓ
何がわかるのか
GOTとGPTは、肝臓の働きを調べる肝機能検査の中で最も一般的な検査です。肝臓病を見つけ出すスクーリング検査としても重要です。検査の値やGOTとGPTの比、さらには他の検査との比較などによって、肝臓病や胆道系の病気診断に欠かせません。
GOTは、心臓やその他の筋肉にも多く含まれています。心筋梗塞や筋ジストロフィーで筋肉が壊されると血液中に増えるため、それらの病気の診断にも応用されています。
どのような検査か
血液を採取して調べます。遠心分離器にかけて血清と血球に分け、血清部分を分析器で検出します。
検査を受ける時の注意
採取する前日と当日は、激しい運動は避けてください。GOTは筋肉に多く含まれているため、運動によって筋肉が壊れ、GOT値が高くなることがあるからです。
前日に深酒をしないようにしましょう。
検査結果の判定
- 基準の数値内でGOTの数値がGPTよりも若干高いのが正常です。GOT>GPT
- 急性肝炎では、GOT・GPTが500IUを超え、ときに3000IUに達します。また、初期段階ではGOTがGPTを上回りますが、経過とともにGPTが高くなり、回復するとGOTが高くなります。
- 劇症肝炎では、急性肝炎の極期と同じように1000IUを超える値を示しますが、あるときから急に低下します。
- 慢性肝炎、肝硬変、肝臓がん、閉塞性黄疸、胆道系の病気などでは、100~500IUくらいの軽度ないし中等度の上昇をみせます。
- 慢性の肝障害では、一般にGOTのほうが高くなりますが、慢性肝炎でも活動期に入るとGPTが高くなります。
- 肝硬変ではGOTが高くなってGPTの2倍の数値を示します。
- 大酒飲み、糖尿病、脂肪肝では100IU以内の軽度の上昇がみられます。
- 心筋梗塞の場合は、GOTだけが上昇してGPTと比が5を超えます。
異常な場合に疑われる病気
ウイルス肝炎、劇症肝炎、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝臓がん、アルコール性肝障害、薬剤性肝障害、脂肪肝、肝膿瘍、閉塞性黄疸、胆石、胆嚢炎、胆道系のがん、膵臓がん、心筋梗塞、筋ジストロフィーなど