血液中のタンパク質(血清タンパク)には、分っているだけでも80種類以上あり、不明のものも含めると100種類を超えるといわれています。血清タンパクは五つのグループに大別することができますが、それは常に一定の割合になっており、体のどこかに異変が生じてタンパク代謝(体内で起こる化学変化)に異常が生じると、そのバランスが崩れます。そのバランスの割合を調べることで体の異常を発見するのが、血清タンパク分画検査です。
血清タンパクの約3分の2はアルブミンが占め、残りの3分の1はグロブリンであり、グロブリンはさらにα1、α2、β、γの4グループに分けられます。それらのタンパク質は、ホルモンや酵素として働くものや血液凝固、ビタミンや脂質などの運搬、免疫などに重要な役割を果たしているほか、血液の浸透圧を一定に保つ働きもしています。
病気[3]の種類によって、このタンパク質のバランスに特徴的な変化が起こるため、その変化を見ることによって病気[3]の種類や重症度を判定することができます。
血液を採取して、血清を取り分けて、それを種類分け(分画)します。さまざまな方法がありますが、
電気泳動法が最もよく行われています。これは、血清に電気を通すと、含まれているタンパク質が分子量の同じもの同士で集まる性質を利用した方法です。
食事の影響を受けませんが、血液を採取して他の検査も行われますから、当日は飲食しないで採血します。
急性肝炎[7]では、アルブミンは変動しませんが、α1、α2、βグロブリンが増加します。
肝硬変では、アルブミンが減少して、γグロブリンが増加します。さらに重症化するとアルブミンがさらに低下してγグロブリンとの幅が広がりβグロブリンとの谷が消えてしまいます。
ネフローゼ症候群[8]では、アルブミンとγグロブリンが減少して、他のα1グロブリン、α2グロブリン、βグロブリンが増加します。
このように、病気[3]によりタンパク分画をあらわす曲線に特有の変化がみられます。
肝硬変、慢性肝炎、劇症肝炎、ネフローゼ症候群[8]、多発性骨髄腫[10]、急性感染症、心筋梗塞[11]、慢性感染症、自己免疫疾患、悪性腫瘍など。
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