ALS 概要
筋萎縮性側索硬化症(ALS:amyotrophic lateral sclerosis)とは、手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだん痩せて力がなくなっていく病気です。
しかし筋肉そのものの病気ではありません。筋肉を動かし、運動をつかさどる神経(運動ニューロン)だけが障害を生じて、脳から「手足を動かせ」という命令が伝わらなくなることにより、力が弱くなり、筋肉がやせていきます。その一方で、体の感覚や知能、視力や聴力、内臓機能などはすべて保たれることが普通です。
症状
多くの場合は、手指の使いにくさや肘から先の力が弱くなり、筋肉がやせることで始まります。話しにくい、食べ物がのみ込みにくいという症状で始まることもあります。いずれの場合でも、やがては呼吸の筋肉を含めて全身の筋肉がやせて力がはいらなくなり、歩けなくなります。
のどの筋肉の力が入らなくなると声が出しにくくなり(構音障害)、水や食べ物ののみこみもできなくなります(嚥下障害)。
また、よだれや痰が増えることがあります。呼吸筋が弱まると呼吸も十分にできなくなります。進行しても通常は感覚や知能は問題なく、眼球運動障害や失禁もみられにくい病気です。
原因
原因は不明ですが、神経の老化と関連があるといわれています。
- 原因遺伝子
発症の原因となる約20種類の遺伝子があるとされています。
家族性ALSの約2割ではスーパーオキシド・ジスムターゼ(SOD1)という酵素の遺伝子に異常が見つかっています。また、TDP-43、FUS、optineurin、ユビキリン2、C9ORF72と呼ばれる遺伝子にも異常が見つかっています。
TDP-43の変異あるいはその他の遺伝子変異に起因するすべてのALS患者の約9割では、脳の病巣部の神経細胞でTDP-43の蓄積が見られます。
診療科
検査
- 神経伝導検査
伝導の速度と活動電位を調べる。運動線維のみで活動電位が低下し、伝導速度は運動線維・感覚線維ともに正常である。ただし頸椎症を合併して非典型的所見を示すことも多い。
- 筋電図検査
神経の障害が疑わしい部位で、電位の振幅が大きくなり、多相性電位が現れる。
- 画像診断
脊髄MRIによって脊髄の疾患を除外する。
診断
鑑別診断として以下の疾患などを除外しなければならない。
- 変形性頚椎症
- HTLV-I関連脊髄症 (HTLV-1 associated myeloathy; HAM)
- 脳・脊髄の腫瘍
- 脊髄動静脈奇形
- ALS以外の運動ニューロン疾患
- 上位ニューロン障害と下位ニューロン障害両方をきたす疾患
- ライム病
- ガングリオシドーシスであるHexosamnidase欠損症
- 筋力低下や筋萎縮が左右非対称に緩徐に進行する疾患
- 多巣性運動ニューロパチー
- 封入体筋炎
- 脊髄進行性筋萎縮症
- post polio myelitis
病期 ステージ
薬
進展の抑制
痙性麻痺の改善
- アチネス錠(一般名:エペリゾン塩酸塩)
- サンバゾン錠(一般名:エペリゾン塩酸塩)
- ミオナベース錠(一般名:エペリゾン塩酸塩)
- ミオリラーク錠(一般名:エペリゾン塩酸塩)
- ギボンズ錠(一般名:エペリゾン塩酸塩)
- ダントリウムカプセル(一般名:ダントロレンナトリウム水和物)
- モトナリン錠(一般名:チザニジン塩酸塩)
- ギャバロン錠・ギャバロン錠(一般名:バクロフェン)
- リオレサール錠・リオレサール錠(一般名:バクロフェン)
その他
治療法
治癒のための有効な治療法は確立されていない。
対症療法として、呼吸筋麻痺が起こると人工呼吸器を装着する。嚥下障害があると、経鼻経管栄養法や胃に小さな孔をあける胃瘻造設法などによって、 栄養や水分を確保します。
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