ライムボレリア症 (Lyme borreliosis) 概要
ライム病(Lyme disease)、は、ノネズミやシカ、野鳥などを保菌動物とし、マダニに媒介されるスピロヘータの一種、ボレリア (Borrelia) の感染によって引き起こされる人獣共通感染症の1つである。
感染症法における四類感染症である。野生動物では感染しても発症しないが、人、犬、馬、牛では臨床症状を示す。
名前の由来は、1975年、アメリカコネチカット州のライム及びオールドライムで最初に確認されたことに
症状
- 潜伏期
マダニの刺咬より数日~数週間。マダニは数日間吸血し続け、若虫では数ミリ、成虫では1センチ程度まで飽血する。
ボレリアのマダニからヒトへの伝播には、48時間以上の吸血が必要とされる。ダニが刺した部位で菌が増殖し、3~32日間かけて周囲の皮膚へ広がる。 - 第1期 感染初期 (stage I)
マダニの咬着より数日から数週間後に、刺咬部を中心とした特徴的な遊走性紅斑がみられる。
この症状は、狭義のボレリア・ブルグドルフェリ(B. burgdorferi)以外による非典型的なライム病でもすべてに共通して発症するが、無症状な人も約25%いる。
リンパ節の腫張や、筋肉痛、関節痛、頭痛、発熱、悪寒、倦怠感などのインフルエンザ似の症状を伴うこともある。体調の悪さと疲労感は数週間続くので、紅斑が出ない場合は特にインフルエンザやかぜと間違えられることがある。 - 第2期 播種期 (stage II)
体内循環によって病原体が全身に拡散することにより、皮膚症状、神経症状(髄膜炎や脊髄神経根炎、末梢性顔面神経麻痺)、心疾患、眼症状、関節炎、筋肉炎など多彩な症状が現れる。不整脈などの循環器症状、リンパ球腫などが現れることもある。 - 第3期 慢性期 (stage III)
感染から数か月から数年後に、慢性萎縮性肢端皮膚炎、慢性関節炎、慢性脳脊髄炎、角膜炎などを生ずる。
検査
- 血液検査、髄液検査
ライム病の病原体の有無を血清を用いて調べる - 組織診
変化のある皮膚の一部を切り取り、病原体を調べる
診断
病原体を培養するのは非常に難しいため、血液中の細菌に対する抗体価を測る方法が一般的である。ライム病の初期には抗体価が陰性のことが多く、感染していない人に陽性反応が出ることもあるので、典型的な症状の有無、発生地域に住んでいるか、あるいは発生地域を訪ねたことがあるか、などを考慮する。
- 確定診断
神経症状を発症した患者では、骨髄液をBSK2培地に接種し、34℃ で2~4週間培養し、病原体を分離する。
抗体の検出は、ELISA、ウエスタンブロット法、間接蛍光抗体法 (IFA) などが用いられる。
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初版日時: 2019-02-15 (金) 14:20:58
最終更新: 2019-02-15 (金) 14:58:17 (JST) (1869d) by kondo
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