気胸(Pneumothorax)は、何らかの理由で肺の空気が胸腔内へ漏れ出し、その空気が肺を圧迫し、肺が外気を取り込めなくなった状態である。
多くは突然発症する。呼吸をしても大きく息が吸えない、激しい運動をすると呼吸ができなくなるなどの呼吸困難、酸素飽和度の低下、頻脈、動悸、咳などが見られる。
発症初期には肩や鎖骨辺りに違和感、胸痛や背中への鈍痛が見られることがあるが、肺の虚脱が完成すると胸痛はむしろ軽減する。痛みは人によって様々で、全く感じない人もいれば、軽微の気胸で激痛を感じる人もいる。
気胸の重症度分類
軽度気胸 | 胸部レントゲン検査で、 |
中等度気胸 | 胸部レントゲン検査で、肺尖が鎖骨より下にある。 |
高度気胸 | 胸部レントゲン検査で、肺の虚脱が著しい。 |
緊張性気胸 | 高度気胸で、さらに肺から空気がもれ続け、胸腔内が陽圧になっている状態。 |
ドレーン処置を行っても改善しない場合は、手術によって嚢胞の切除が行われる。
一般的に胸腔鏡下で行われる。穴の開いた部分を縫い合わせる手術もある。
=吸収性メッシュシートによる補強
空気漏れを起こす嚢胞を切除した後、その部分に吸収性メッシュシートを貼り付けて補強する治療法である。
化学熱傷をわざと起こし、肺が萎縮しなくなるための根本治療である。
癒着が不十分だと再発の可能性が残る。再発時は癒着しなかった部分のみ萎縮するため軽度・中程度の気胸に留まるものの、治療に際してドレーンを挿入できなくなる事がある。また手術を行う時は、癒着を剥がす必要があるために癒着のない場合より困難を来し、開胸を要する可能性が高くなる。