血液中には常に一定量のタンパク質が含まれていますが、腎臓で血液を濾過するときには、体にとって必要なタンパク質が再吸収されるため尿中にはほとんど出てきません。残りのわずかなタンパク質が漏れ出るだけで、尿に排泄されるのは一日に50~130mg程度にすぎません。
しかし、腎臓に障害があると再吸収されずにタンパク質が尿中に漏れ出てしまいます。また、尿管や膀胱などに異常があって出血したりすると、血液中のタンパク質が尿に混じってしまいます。この尿に出ているタンパク質を調べるのが尿タンパク検査です。
タンパク質が混じっているかどうかを調べる定性試験では、試験紙に尿をつけて色の変化で判断します。一方、尿に混じっているタンパク質の量を調べる定量試験では、一日の尿をすべて採取して、測定器で含まれているタンパク質を調べて、一日にどのくらいの量が出ているかを調べます。
検査の前夜は、不摂生や寝不足にならないようにします。当日は激しい運動は避けます。飲食に関する注意は特にありません。
採取するときは、出始めと終わりの尿は避けて、中間尿をとります。女性の場合は、外陰部の汚れや月経血が混じらないように注意して下さい。
定性検査で陽性(+)か疑陽性(±)と出たときには、日をおいて再検査して陽性か疑陽性であれば、定量検査や尿沈渣[7]、赤血球数[8]、白血球数[9]などの検査と腎臓や尿路を調べる精密検査を受けます。
定量検査で一日量150mg/dlを超えたら何か病気[3]があると考えます。
健康な人でも微量のタンパク質が尿に出ていますが、病気[3]以外の理由で尿タンパクが増える場合があります。例えば、激しい運動をしたとき、熱い湯に入浴したとき、寒い状況に置かれたとき、精神的に興奮したりショックを受けたとき、タンパク質の多い食事をとったときなどです。これを生理的タンパク尿といいます。
また、風邪を引いたり、高熱を出したときに尿タンパクが出ることがあります。
糸球体腎炎、ネフローゼ症候群[11]、腎結核、腎腫瘍、腎硬化症、尿路感染症、尿路結石、膀胱炎、妊娠中毒症など。
学校の健康診断などで、タンパク尿が見つかり、起立性タンパク尿と診断されることがあります。横になっているとタンパクは出ず、立ち上がると出るのですが、これは背骨が腎臓を圧迫されるためといわれます。成人になると自然に治りますから治療の必要はありません。
なお、この起立性タンパク尿は、寝ているときにはタンパク尿はなく、起き上がってすぐに尿をとるとタンパクが出ることで診断がつきます。
(This host) = https://www.joy-mix.com