概要
多汗症は、異常な量の汗をかく病態です。通常、汗は暑い時や運動した時にかくものですが、多汗症になると、生理的に汗をかく状況でなくとも大量の汗をかくようになります。
分類
全身性多汗症と局所性多汗症に分類されます。
- 全身性多汗症
全身性多汗症は、背中や足、腹部など全身に多量の汗をかくものです。全身性多汗症のなかでも何かしらの原因が特定できるものを続発性全身性多汗症と呼びます。
- 局所性多汗症
局所性多汗症は、主に手のひらや足の裏、腋下など、ある一部から多量の汗をかくものです。なかでも原因が特定できない「原発性局所性多汗症」が多くみられます。
症状
運動時や気温の高い状況で汗をかくのは生理的な反応ですが、多汗症になると、生理的反応の範囲を超えて多くの汗をかくようになります。
また、運動や気温的な要因がない状況においても手のひらや脇、なかには全身に大量の汗をかく方もいます。
手や足の汗は滑り止めとしての役割を持っていますが、汗が大量にでることから、ものを持つときなどに滑ってしまうことがあります。その結果、日常生活のちょっとした動作に支障がでるようになります。
また、多汗症は、精神的なストレスや緊張下において悪化することがあります。原発性局所性多汗症の場合は、幼少期や思春期に発症することが多いです。日中に大量の汗をかく一方、就寝中は汗が止まります。
原因
- 原発性局所性多汗症
自律神経の調整がうまくいかないことで大量の汗をかきます。症状は、精神的なストレスや緊張で悪化します。
診療科
皮膚科
検査
汗が多い部位を客観的にみるために、ヨード紙や発汗記録計を使用します。
診断
多汗症の診断は、患者さんの訴えが最も重要になります。
治療法
- イオントフォレーシス療法
水に浸した皮膚表面に電流を流して発汗を抑制します。
イオントフォレーシス療法で用いるのは微弱な電流なので痛みや副作用はありませんが、繰り返して治療する必要があります。
- ボトックス注射
手のひらにボトックス(ボツリヌス菌)を注射します。
- 皮弁法
皮膚を切開して皮膚の裏の汗腺を目で確認しながら切除します。
- 交感神経遮断術
発汗にいたるまでの神経刺激経路である「胸部交感神経」をブロックします。