1: 2013-05-29 (水) 11:02:32 cons | 現: 2019-01-19 (土) 19:19:51 kondo | ||
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*躁うつ病 概要 [#g229704e] | *躁うつ病 概要 [#g229704e] | ||
- | 双極性障害(bipolar disorder)は、躁状態とうつ状態を繰り返す精神疾患です。 国際分類は気分障害となります。 | + | 双極性障害(bipolar disorder)は、躁状態とうつ状態を繰り返す精神疾患です。 |
+ | 国際分類は気分障害となります。 | ||
+ | 双極性障害は、精神障害の中で最も自殺企図が多い疾患です。 | ||
+ | また、「躁」の症状がひどい時には、本人に自覚がないまま周囲に迷惑をかけることで、社会的・人間関係面での破綻が生じ、本人の失うものが大きすぎる非常にリスクが高い病気です。 | ||
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+ | **区分 [#b48c1ce4] | ||
双極性障害は、躁状態を伴う双極 I 型障害 (bipolar I disorder) と、軽躁状態を伴う双極 II 型障害 ( bipolar II disorder) に区分される。 | 双極性障害は、躁状態を伴う双極 I 型障害 (bipolar I disorder) と、軽躁状態を伴う双極 II 型障害 ( bipolar II disorder) に区分される。 | ||
- | -双極 I 型障害 | + | ***双極 I 型障害 [#t82b5571] |
- | 躁状態、または混合状態が1回認められれば、双極 I 型障害と診断される。うつ状態と躁状態が、症状のない寛解期をはさみながら繰り返していくことが多い。躁状態あるいはうつ状態から次のエピソードまでの間隔は平均して数年間である。また、うつ状態と躁状態の症状が混ざって出現する混合状態(混合性エピソード)が生じる場合もある。 | + | 躁状態、または混合状態が1回認められれば、双極 I 型障害と診断される。うつ状態と躁状態が、症状のない寛解期をはさみながら繰り返していくことが多い。 |
- | -双極 II 型障害 | + | |
+ | 躁状態あるいはうつ状態から次のエピソードまでの間隔は平均して数年間である。また、うつ状態と躁状態の症状が混ざって出現する混合状態(混合性エピソード)が生じる場合もある。 | ||
+ | |||
+ | ***双極 II 型障害 [#kb5bd55d] | ||
うつ状態と軽躁状態のみが認められる場合を、双極 II 型障害と呼びます。軽躁状態は、患者や家族には病気とは認識されにくいため、自覚的には反復性のうつ病であると考えている場合も多い。 | うつ状態と軽躁状態のみが認められる場合を、双極 II 型障害と呼びます。軽躁状態は、患者や家族には病気とは認識されにくいため、自覚的には反復性のうつ病であると考えている場合も多い。 | ||
- | -ラピッドサイクラー(急速交代型) | + | ***ラピッドサイクラー(急速交代型) [#hf4ab77b] |
症例によっては特定の季節に再発を繰り返すこともある。うつ状態から急に躁状態(躁転)になることは稀でなく、一晩のうちに躁転することもある。 | 症例によっては特定の季節に再発を繰り返すこともある。うつ状態から急に躁状態(躁転)になることは稀でなく、一晩のうちに躁転することもある。 | ||
1年のうちに4回以上うつ状態、躁状態を繰り返すものをラピッドサイクラー(Rapid Cycler)と呼ぶ。 | 1年のうちに4回以上うつ状態、躁状態を繰り返すものをラピッドサイクラー(Rapid Cycler)と呼ぶ。 | ||
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**原因 [#n2949eb9] | **原因 [#n2949eb9] | ||
病気になりやすい素因と環境がからみあって発病すると考えられています。素因には遺伝的な要因も関係しています。 | 病気になりやすい素因と環境がからみあって発病すると考えられています。素因には遺伝的な要因も関係しています。 | ||
- | 遺伝病ではありません。 | + | |
+ | 一つの遺伝子で起こる、いわゆる遺伝病ではなく、いくつかの遺伝子が組み合わさって発症すると考えられています。 | ||
脳の中の神経伝達機構に問題があると考えられており、セロトニンやノルアドレナリンなどものアミン系の神経伝達物質の働きの低下が考えられています。 | 脳の中の神経伝達機構に問題があると考えられており、セロトニンやノルアドレナリンなどものアミン系の神経伝達物質の働きの低下が考えられています。 | ||
- | 環境面では、病気になりやすい性格の人がストレスにあって発病すると考えられます。 性格 几帳面、責任感が強い、徹底性、良心的、善意的、執着気質などが特徴です。 | + | |
+ | 環境面では、病気になりやすい性格の人がストレスにあって発病すると考えられます。 | ||
+ | -性格 | ||
+ | 社交的、現実的な志向性が強い、几帳面、責任感が強い、徹底性、良心的、善意的、執着気質などが特徴です。 | ||
-ストレス | -ストレス | ||
男性の場合は、職場での昇進、転勤などがあり、女性の場合は家庭や家族に関すること、引っ越し、子供の受験、子供との別離などがあります。 | 男性の場合は、職場での昇進、転勤などがあり、女性の場合は家庭や家族に関すること、引っ越し、子供の受験、子供との別離などがあります。 | ||
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****セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI:Serotonin Noradrenaline Reuptake Inhibitor) [#n5a083a1] | ****セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI:Serotonin Noradrenaline Reuptake Inhibitor) [#n5a083a1] | ||
+ | SNRIは、セロトニン系ならびにノルアドレナリン系の神経の両方に作用して、シナプスにおけるセロトニンやノルアドレナリンを正常に近い状態に調整するといわれています。 | ||
-トレドミン錠(一般名:ミルナシプラン塩酸塩) | -トレドミン錠(一般名:ミルナシプラン塩酸塩) | ||
憂うつな気分を和らげ、意欲を高めます。 | 憂うつな気分を和らげ、意欲を高めます。 | ||
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--副作用 | --副作用 | ||
眠気、ふらつき、口や喉の渇き、便秘、立ちくらみ、不整脈様の症状、動悸 | 眠気、ふらつき、口や喉の渇き、便秘、立ちくらみ、不整脈様の症状、動悸 | ||
+ | |||
+ | -ビプレッソ徐放錠(一般名:クエチアピンフマル酸塩) | ||
***気分調整薬 [#ned58c4e] | ***気分調整薬 [#ned58c4e] | ||
Line 189: | Line 205: | ||
気分安定薬による再発予防を基本とする。うつ病状態では非定型抗精神病薬や気分安定薬の併用、躁状態では抗精神病薬の併用、不眠に対して睡眠導入剤の併用などが行われる。非定型抗精神病薬のうち、オランザピン、クエチアピン、アリピプラゾールに関しては、抗躁効果に加え、再発予防効果も報告されている。うつ状態における抗うつ薬の使用については賛否両論がある。 | 気分安定薬による再発予防を基本とする。うつ病状態では非定型抗精神病薬や気分安定薬の併用、躁状態では抗精神病薬の併用、不眠に対して睡眠導入剤の併用などが行われる。非定型抗精神病薬のうち、オランザピン、クエチアピン、アリピプラゾールに関しては、抗躁効果に加え、再発予防効果も報告されている。うつ状態における抗うつ薬の使用については賛否両論がある。 | ||
- | ***認知療法 [#o91020f8] | + | ***認知行動療法 [#o91020f8] |
+ | 患者さんが陥りやすい否定的なとらえ方に、自分自身で気づいてもらい、否定的なとらえ方になるきっかけを、患者さんの行動について治療者と患者さんが一緒に検討し、その行動への受け取り方を変えることで、患者さん自らが適応的なとらえ方を選択できるようにします。 | ||
+ | 日常生活の中での出来事をより適応的にとらえる考え方を学び、結果的に気分を調整していく治療法です。 | ||
***疾患教育(心理教育) [#kdd17687] | ***疾患教育(心理教育) [#kdd17687] | ||
再発予防のために、服薬の継続性を高め、ストレスを管理する際、以下のような内容を教育する。 | 再発予防のために、服薬の継続性を高め、ストレスを管理する際、以下のような内容を教育する。 | ||
Line 196: | Line 215: | ||
-再発の兆候を早期に発見する方法を考え、その際は医師と相談するよう教育する。 | -再発の兆候を早期に発見する方法を考え、その際は医師と相談するよう教育する。 | ||
-再発につながりやすいストレスを予測し、ストレスの乗り越え方を考える。 | -再発につながりやすいストレスを予測し、ストレスの乗り越え方を考える。 | ||
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+ | ***ECT(電気けいれん療法) [#e5c65db4] | ||
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+ | 電極を頭皮上につけて脳内に刺激電流を流すことで治療に結びつける方法です。現在は、手術室で全身麻酔をして意識をなくし、筋弛緩薬を使いけいれんを起こさない状態で実施しますので、従来の方法より、副作用が少なくなっています。 | ||
+ | なかなか改善の得られない「うつ」の症状に用いられる治療方法のひとつです。 | ||
+ | 有効率が高く、即効性であるなどメリットもある反面、麻酔が必要であったり、術後一時的に記憶が薄れるなどの副作用もあるため、十分な説明と同意のもと、心電図や血液検査を行い、患者さんの安全性に配慮して慎重に行う必要があります。 | ||
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+ | **家族や周囲の人の協力 [#o267f664] | ||
+ | 患者本人は、「うつ」の時は自分を情けなく思い気持ちが落ち込み、「躁」の時には饒舌で活動的になり好調ととらえ、自覚がありません。 | ||
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+ | 逆に家族や周囲の人は、「躁」の時は暴言をはいたり社会的信用を失う行動などがあり、たいへんな迷惑を被ることがあり、「うつ」の時は患者さんがおとなしく落ち着いている分、ありがたいとさえ感じる事があります。 | ||
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+ | 患者さんは、家族や周囲の人の協力によって、治療を続けることができます。ご家族は、「躁」や「うつ」の症状にふりまわされることなく、治療の協力者となることで患者さんの症状改善への大きな手助けとなります | ||
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+ | **罹患した著名人 [#s6195954] | ||
+ | -泰葉(本名:海老名 泰葉) 初代林家三平の娘 シンガーソングライター、タレント、プロデューサー |
- 双極性障害 のバックアップ一覧
- 双極性障害 のバックアップの現在との差分(No. All)
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