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腎臓がん :: 医療 Wiki

illness:腎臓がん

ページ内コンテンツ
  • 腎がん 概要
    • 腎臓
    • 種類
    • 症状
      • 腎盂尿管がん
    • 原因
    • 診療科
    • 検査
    • 診断
    • 病期 ステージ
      • 腎がんの進展度(TNM分類)
      • 腎がんの病期分類
    • 転移・合併症
      • 分子標的治療薬
    • 治療法
      • 手術
      • その他の治療法
        • 凍結療法
        • 経皮的ラジオ波熱凝固療法(RFA)
        • 動脈塞栓術
      • 転移巣に対する治療
        • 免疫療法
        • インターロイキン2(IL-2)
        • 分子標的治療

腎がん 概要 anchor.png[1]

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腎臓 anchor.png[2]

腎臓は腰の高さに背骨をはさんで左右ひとつずつあります。
血液によって運ばれる老廃物は腎臓でろ過され、尿として排泄されます。また、血球を増やす物質や血圧を調節する物質をつくったり、ビタミンを活性化したり、大切な役割をもっています。

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種類 anchor.png[3]

  • 良性腫瘍
    腎血管筋脂肪腫、オンコサイトーマ
  • 腎細胞癌
    淡明細胞癌、顆粒細胞癌、嫌色細胞癌、紡錘細胞癌、乳頭状腎細胞癌、嚢胞由来腎細胞癌、嚢胞性腎細胞癌
  • その他
    腎盂癌、集合管癌(Bellini管癌)
    • 腎盂尿管がん
      腎臓で作られた尿は腎盂、尿管をとおり膀胱に貯められます。腎盂、尿管、膀胱とも移行上皮という粘膜があり、煙草などの発癌誘発因子により移行上皮癌が発生することがあります。腎盂尿管の粘膜より発生する癌が腎盂尿管癌です。
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症状 anchor.png[4]

初期では症状が出ることは稀です。

  • 腎部疼痛、腎部腫瘤、血尿
  • 体重減少、発熱、貧血[5]、倦怠感
  • 血圧上昇、赤血球増多、高カルシウム血症
  • 末梢神経症状
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腎盂尿管がん anchor.png[6]

腎盂尿管がんの最も多い症状は無痛性の肉眼的血尿です。腫瘍により尿管が徐々に閉塞した際水腎症を呈し発見されることもあります。

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原因 anchor.png[7]

腎臓がんの原因は、そのほとんどが解明されていませんが、危険性があるものとして、喫煙、高脂肪食、肥満、一部の発がん物質や薬、などが考えられています。
また、腎臓がんは、遺伝子的な原因により発生しやすくなることがあるとされています。

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診療科 anchor.png[8]

  • 泌尿器科
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検査 anchor.png[9]

  • 尿検査
    血尿や尿中癌細胞の有無を調べます。
  • 腹部超音波検査(ECHO)
    癌により尿の通過経路が閉塞されると水腎症という状態になり、超音波により診断できます。
  • レントゲン検査
    • 排泄腎盂造影検査(IVP・DIP)
      腎臓・尿管・膀胱の形態を調べる検査で、腎盂癌との鑑別に有効です。
      静脈より造影剤を注射し、X線撮影をおこないます。
    • 逆行性腎盂造影検査
      膀胱鏡を行い尿管にカテーテルを挿入して、病変の広がりや癌細胞の有無を調べます。
  • 腹部CT検査(Computed Tomography)
    血尿、水腎症を生じる結石との区別に有用です。病期の進行度を調べることにも有用です。
  • 磁気共鳴断層撮影検査(MRI検査[10]
    CT検査だけでは診断が難しい症例に対して行う検査です。
    強力な磁気(磁場)を使って断層像をさまざまな方向から映し出します。
  • 尿管鏡
    尿道、膀胱を経由して尿管の中を直接カメラで見る方法です。肉眼的に腫瘍を確認することや組織検査を行うことができます。下半身の麻酔(腰椎麻酔)で検査を行うため入院が必要です。
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診断 anchor.png[11]

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病期 ステージ anchor.png[12]

病期は、がんの大きさや周辺の組織のどこまで広がっているか、リンパ節や別の臓器への転移があるかどうかで決まります。
腎がんではTNM分類に基づいて、病期を判定します。Tは原発腫瘍(primary Tumor)、Nは所属リンパ節(regional lymphNodes)、Mは遠隔転移(distant Metastasis)の頭文字です。

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腎がんの進展度(TNM分類) anchor.png[13]

  • T1a 腎がんの直径が4cm以下で腎臓にとどまっている
  • T1b 腎がんの直径が4 ~ 7cmで腎臓にとどまっている
  • T2a 腎がんの直径が7 ~ 10cmで腎臓にとどまっている
  • T2b 腎がんの直径が10cmを超えるが腎臓にとどまっている
  • T3a 腎がんが腎静脈または周囲の脂肪組織まで及んでいるが、ゲロタ筋膜※を越えない
  • T3b 腎がんが横隔膜より下の大静脈内に広がっている
  • T3c 腎がんが横隔膜の上の大静脈内に広がるまたは大静脈壁まで及んでいる
  • T4 腎がんがゲロタ筋膜*1を越えて広がるまたは同じ側の副腎まで及んでいる
  • N0 所属リンパ節への転移なし
  • N1 所属リンパ節に1個転移あり
  • N2 所属リンパ節に2 個以上転移あり
  • M0 別の臓器に転移なし
  • M1 別の臓器に転移あり
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腎がんの病期分類 anchor.png[14]

リンパ節・転移

大きさ・広がり(T因子)
リンパ節や別の臓器に転移を認めない別の臓器に転移は認めないが、所属リンパ節に1 個転移がある別の臓器に転移があるか、所属リンパ節に2 個以上転移がある
T1IIIIIV
T2IIIIIIV
T3IIIIIIIV
T4IVIVIV
日本泌尿器科学会・日本病理学会・日本医学放射線学会編「泌尿器科・病理・放射線科 腎癌取扱い規約 2011年4月(第4版)」(金原出版)より作成
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転移・合併症 anchor.png[15]

  • 膀胱癌[16]
    腎盂尿管癌が発生した方の20%に膀胱癌[16]が発生するといわれています。
  • 脳転移
  • 肺転移
  • 肝転移
  • 骨転移
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分子標的治療薬 anchor.png[18]

  • ネクサバール錠[19](一般名:ソラフェニブトシル酸塩)
    通常、成人にはソラフェニブとして1回400mgを1日2回経口投与します。
  • スーテントカプセル[20](一般名:スニチニブリンゴ酸塩)
    通常、成人にはスニチニブとして1日1回50mgを4週間連日経口投与し、その後2週間休薬します。これを1コースとして投与を繰り返します。
    • 副作用
      ネクサバールやスーテントといった分子標的治療薬の代表的な副作用には、手足症候群(hand-foot syndrome)、高血圧[21]、下痢、甲状腺機能低下症[22]などがあります。
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治療法 anchor.png[23]

抗癌剤や放射線治療は効果が少なく、手術が第一選択です。

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手術 anchor.png[24]

外科的治療が主体となり、膀胱の一部を含めて腎、尿管を摘出します。腹部を切開する方法(開放手術)と内視鏡を併用する方法があります。腎臓は内視鏡を用いて切除し、下腹部の小さな傷より腎臓、尿管、膀胱の一部を取り出す内視鏡手術は、術後の回復が早いという利点があります。術後1週間から10日間の入院が必要です。腎機能が正常な方で片方の腎を摘出することにより透析になりやすいということはありません。

  • 腎部分切除術
    癌の病巣と腎臓の一部を切除する方法です。
  • 根治的腎摘除術
    腎周囲脂肪組織・副腎も含め腎臓ごと腫瘍を取り除く方法です。
  • 腎部分切除術
    内視鏡下手術最近ではおなかに開けた小さな穴から腹腔鏡というカメラを入れ、モニタに映し出される映像を見ながら手術を行います。
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その他の治療法 anchor.png[25]

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凍結療法 anchor.png[26]

液体窒素で腫瘍を凍結し除去する治療です。

  • 岡山大病院 腎臓がん凍結療法
    腎臓がんに細い針(直径1.15ミリ)のを挿入して零下40度まで冷やし、がん細胞を破壊します。
    • がんの位置をIVR―CT(コンピューター断層撮影装置)リアルタイムに確認しながら、がんの固まりの両端、中央部に計5本を挿入します。
      特殊な医療機器(CryoHit[27])のスイッチを入れると、針の先からアルゴンガスの噴射が始まります。15分間の冷却後、患部に直径5センチの氷の玉が出来上がります。こうすることで、がん細胞を破壊します。
  • 治療メリット
    • 直径1.15ミリの針を背中から1~5本挿すだけで治療でき、患者の身体的な負担が少ない。
    • 臓器の温存により腎機能が残せるため、人工透析が必要となる腎不全のリスクが軽減される。
    • つの腎臓に複数のがんの固まりがあっても1度で治療することが可能である。
    • 遺伝的要素が強い腎臓がんは再発が多いが、早期発見なら何度でも治療できる。
  • CryoHit[27]
    GALIL MEDICAL社製のCryoHit[27]は、組織の凍結壊死を利用した冷凍手術器です。
    高圧アルゴンガスを使用し、ジュール[28]・トムソン効果によって、ニードルの先端部に凍結領域を作り出します。
    凍結中の痛みは少ないとされています。
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経皮的ラジオ波熱凝固療法(RFA) anchor.png[29]

ラジオ波を用いて癌を焼灼する(凝固させる)方法です。

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動脈塞栓術 anchor.png[30]

血尿などの症状が強い場合におこないます。金属コイルやゼリー状の物質を腫瘍血管につめて腫瘍を阻血、壊死させる方法です。

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転移巣に対する治療 anchor.png[31]

体の免疫力を増強させる治療が中心です。

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免疫療法 anchor.png[32]

インターフェロンα(INF-α)在宅で自己注射します。

  • 【方法】
    1日1回300~600万IUを筋肉注射します。体の免疫力を高め癌細胞の増殖を抑えます。化学療法と併用することもあります。
  • 【副作用】
    発熱・感冒様症状・倦怠感・抑うつ・汎血球減少
  • 【注意点】
    少柴胡湯と併用しない(間質性肺炎[33]が起こることがあります)。
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インターロイキン2(IL-2) anchor.png[34]
  • 【方法】
    1日1~2回70万~210万JRUを点滴投与します。生体内でT細胞(癌細胞を殺傷するリンパ球)を増加させます。
  • 【副作用】発熱悪寒・体液貯留・体重増加・低血圧・呼吸困難など。
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分子標的治療 anchor.png[35]

薬の項目を参照して下さい。


*1 ゲロタ筋膜とは、腎臓をおおっている一番外側の膜のことです。

Last-modified: 2013-08-24 (土) 13:50:00 (JST) (3899d) by seriza