#norelated #contents *WS 概要 [#fce64faf] ウェルナー症候群(Werner Syndrome )は、 早老症の代表的疾患で、さまざまな生理的老化に似た症状をあらわします。 1904年、ドイツ人内科医オットー・ウェルナー(Otto Werner)により、臨床症例が初めて報告された。 日本人100万人に対し30人のウェルナー症候群の患者がいると言われている。多くの場合、50歳前後で死亡します。 **原因 [#yf7e09ed] 常染色体劣性遺伝病であり、ヒト8番染色体上にあるRecQ型DNA/WRNと呼ばれる単一遺伝子の異常があります。 ***WRN [#m311ae41] WRNはすべての細胞で働くタンパク質で、DNAの二重らせんをほどく作用があり、DNAの複製、異常の修復、組み換え、転写などの生命の基本現象に関わります。そのため、異常によって細胞増殖の停止、染色体不安性、DNA複製速度の低下などを引き起こし、寿命が短縮します。 **症状 [#p982fcc1] 低身長、低体重、白髪、両側性白内障、皮膚の硬化、萎縮、嗄(さ)声((声帯の萎縮により、特有の高調な声になる などの外見上の特徴があります。))、その他、耐糖能低下、骨粗鬆症、性腺機能低下、尿中ヒアルロン酸量の増加がみられます。 **診療科 [#q1a22f7e] 皮膚科、内科 **検査 [#y0c8d03b] 染色体検査を行い、WRNヘリカーゼ遺伝子変異を見つけます。 **診断基準[#u6cfbb13] 1984年、厚生省ホルモン受容体機構調査研究班 (1)主要徴候(10歳以後~40歳までに出現) -早老正外貌 白髪、禿頭 -白内障 -皮膚の萎縮、硬化または潰瘍形成。 (2)その他の徴候と所見 -原発性性腺機能低下 -低身長及び低体重 -音声の異常 声帯の萎縮により、特有の高調な声となる。 -骨の変形 骨粗鬆症、骨の変形、特に扁平足が多い。 -糖同化障害 ブドウ糖負荷試験で耐糖能の低下と認め、インスリンの過剰反応を伴うことが多い。 -早期に現れる動脈硬化 -尿中ヒアルロン酸増加 -血族結婚 (3)皮膚線維芽細胞の分裂能の低下 -線維芽細胞の染色体に転座(モザイク)を、高頻度に認める。 **合併症 [#ce1cef92] -糖尿病 インスリン抵抗性を伴った糖尿病を高率に合併します。 -脂質異常症、高LDLコレステロール血症 -四肢末端の難治性皮膚潰 皮膚の潰瘍が発生しやすく、難治性です。 -悪性腫瘍 甲状腺がん、悪性線維性組織球腫、悪性黒色腫 **薬 [#o9aafba5] ***糖尿病 [#ld965361] -ピオグリタゾン錠(一般名:ピオグリタゾン塩酸塩) ***脂質異常症、高LDLコレステロール血症 [#re978988] -メバロチン錠(一般名:プラバスタチンナトリウム) -リポバス錠(一般名:シンバスタチン) -ローコール錠(一般名:フルバスタチンナトリウム) -リピトール錠(一般名:アトルバスタチンカルシウム水和物) -カデュエット配合錠(一般名:アムロジピンベシル酸塩、アトルバスタチンカルシウム水和物) -リバロ錠(一般名:ピタバスタチンカルシウム) -クレストール錠(一般名:ロスバスタチンカルシウム) **治療法 [#i4c67ae8] 根本的な治療法がないため、合併症への対症療法が中心になります。生活習慣病の予防、精神的ストレスなどをなるべくためないようにします。
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