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強直性脊椎炎 の変更点 :: 医療 Wiki

illness:強直性脊椎炎 の変更点

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2: 2013-07-01 (月) 10:20:42 cons[4] ソース[5] 現: 2015-08-21 (金) 18:25:34 kondo[4] ソース[6]
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*AS 概要 [#h1db448f] *AS 概要 [#h1db448f]
強直性脊椎炎(Ankylosing Spondylitis:AS)は、脊椎が強直する(固まってつながる)のがみられるのが特徴です。広義にはリウマチ反応陰性脊椎関節炎のグループに属し、脊椎、仙腸関節、股関節など靱帯付着部に炎症を生じ、その結果、脊椎、関節の強直を起こす病気です。 強直性脊椎炎(Ankylosing Spondylitis:AS)は、脊椎が強直する(固まってつながる)のがみられるのが特徴です。広義にはリウマチ反応陰性脊椎関節炎のグループに属し、脊椎、仙腸関節、股関節など靱帯付着部に炎症を生じ、その結果、脊椎、関節の強直を起こす病気です。
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この病気は、HLA-B27をもつ人に発症することが多いといわれ、海外では90%以上の患者さんがHLA-B27陽性とされています。 この病気は、HLA-B27をもつ人に発症することが多いといわれ、海外では90%以上の患者さんがHLA-B27陽性とされています。
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男女比は12:1と男性に多く、発症年齢は10歳~35歳の思春期、青年期に多くみられます。45歳以上で発病することは希です。 男女比は12:1と男性に多く、発症年齢は10歳~35歳の思春期、青年期に多くみられます。45歳以上で発病することは希です。
**症状 [#c9cc1dcb] **症状 [#c9cc1dcb]
強直性脊椎炎は、脊椎や四肢の関節、その中でも特に基となる部分である腰椎や仙腸関節に炎症が起こり侵されます。したがって腰痛や殿部の痛みで発病することが多いのですが、単なる腰痛症や坐骨神経痛と間違われることがあります。 強直性脊椎炎は、脊椎や四肢の関節、その中でも特に基となる部分である腰椎や仙腸関節に炎症が起こり侵されます。したがって腰痛や殿部の痛みで発病することが多いのですが、単なる腰痛症や坐骨神経痛と間違われることがあります。
-痛みは急でなく徐々に強くなります。適度な運動をすると痛みが楽になり、動かさないでいると悪化するのが特徴で、夜間や朝方に強い痛みが起こります。また、症状に大きな波があり、激痛が数日続きその後は痛みがほとんどなくなることもあります。 + 
--全身症状+痛みは、急でなく徐々に強くなります。適度な運動をすると痛みが楽になり、動かさないでいると悪化するのが特徴で、夜間や朝方に強い痛みが起こります。また、症状に大きな波があり、激痛が数日続きその後は痛みがほとんどなくなることもあります。 
 +***全身症状 [#p6711b66]
初期に体重減少、疲労感、発熱、貧血などが起こります。活動期では、血液検査で炎症反応がみられ、CRP値の上昇、赤沈の亢進などがみられます。 初期に体重減少、疲労感、発熱、貧血などが起こります。活動期では、血液検査で炎症反応がみられ、CRP値の上昇、赤沈の亢進などがみられます。
--脊椎の症状+***脊椎の症状 [#pf8f2701]
腰部、仙腸骨、臀部が痛み座骨神経痛に似た症状が起こります。強直が進行すると、脊柱全体の運動制限が現れ前屈などの動作が困難になります。 腰部、仙腸骨、臀部が痛み座骨神経痛に似た症状が起こります。強直が進行すると、脊柱全体の運動制限が現れ前屈などの動作が困難になります。
--関節症状+***関節症状 [#nd1d6600]
股関節、膝関節、肩関節などの関節が侵され、疼痛・運動制限が起こります。侵された関節は、最終的には強直状態となります。 股関節、膝関節、肩関節などの関節が侵され、疼痛・運動制限が起こります。侵された関節は、最終的には強直状態となります。
--目の症状+***目の症状 [#b5cb1b41]
3分の1程度の人に眼の急性の炎症(虹彩炎)が起こります。 3分の1程度の人に眼の急性の炎症(虹彩炎)が起こります。
--骨の症状+***骨の症状 [#dccf0a08]
脊椎が硬く動かなくなりますが、骨自体はむしろ炎症により弱くなり、骨粗鬆症が起こってきます。 脊椎が硬く動かなくなりますが、骨自体はむしろ炎症により弱くなり、骨粗鬆症が起こってきます。
進行すると骨の破壊が起こります。またアキレス腱が踵骨につくところなどに炎症(付着部炎)が起こります。 進行すると骨の破壊が起こります。またアキレス腱が踵骨につくところなどに炎症(付着部炎)が起こります。
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***薬物療法 [#mdec9ba8] ***薬物療法 [#mdec9ba8]
薬物療法は、痛み、炎症に対して行われます。消炎鎮痛剤である非ステロイド性抗炎症薬がよい効果を示します。痛みをとり、運動や体操ができるようにするのは重要です。 薬物療法は、痛み、炎症に対して行われます。消炎鎮痛剤である非ステロイド性抗炎症薬がよい効果を示します。痛みをとり、運動や体操ができるようにするのは重要です。
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最近は胃腸への影響が少ないCOX-2阻害薬と呼ばれる非ステロイド性抗炎症薬がよく使われるようになってきています。脊椎以外の関節炎に対しては、アザルフィジンEN錠という関節リウマチの治療薬が用いられます。 最近は胃腸への影響が少ないCOX-2阻害薬と呼ばれる非ステロイド性抗炎症薬がよく使われるようになってきています。脊椎以外の関節炎に対しては、アザルフィジンEN錠という関節リウマチの治療薬が用いられます。
-ステロイド薬は主に関節局所への注射薬として使用されます。副腎皮質ステロイド剤の長期間の内服は、関節リウマチのような効果はみられません。+ステロイド薬は、主に関節局所への注射薬として使用されます。副腎皮質ステロイド剤の長期間の内服は、関節リウマチのような効果はみられません。 
この病気は骨が脆くなる骨粗鬆症を伴いやすく、骨粗鬆症に対してはビスフォスフォネート製剤がよく使用されます。 この病気は骨が脆くなる骨粗鬆症を伴いやすく、骨粗鬆症に対してはビスフォスフォネート製剤がよく使用されます。
 +-リカルボン錠(一般名:ミノロドン酸水和物)
 +-ボノテオ錠(一般名:ミノロドン酸水和物)
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 +-ベネット錠(一般名:リセドロン酸ナトリウム水和物)
 +-アクトネル錠(一般名:リセドロン酸ナトリウム水和物)
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非ステロイド性抗炎症薬で効果が不十分な脊椎の症状に対しては、TNF阻害薬の適応があります。 非ステロイド性抗炎症薬で効果が不十分な脊椎の症状に対しては、TNF阻害薬の適応があります。
***運動・理学療法 [#gd2c69f4] ***運動・理学療法 [#gd2c69f4]
定期的な運動、体操は姿勢や背骨の動きを保ち、痛みを和らげて運動機能を維持し促進します。入浴やシャワーで体を温めたり、その後にストレッチを行うことにより関節の動きがよくなります。特に水泳(温水プール)が理想的な運動といわれています。背骨を伸ばす運動や深呼吸運動も大切です。それぞれの病状に適した強さの体操や運動を、無理をせず継続して行うことが重要です。 定期的な運動、体操は姿勢や背骨の動きを保ち、痛みを和らげて運動機能を維持し促進します。入浴やシャワーで体を温めたり、その後にストレッチを行うことにより関節の動きがよくなります。特に水泳(温水プール)が理想的な運動といわれています。背骨を伸ばす運動や深呼吸運動も大切です。それぞれの病状に適した強さの体操や運動を、無理をせず継続して行うことが重要です。
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