HER2は、human epidermal growth factor receptor type2の略語で、細胞の生産にかかわるヒト上皮細胞[2]増殖因子受容体とよく似た構造をもつ遺伝子タンパクです。
HER2タンパクは、正常な細胞にもわずかに存在し、細胞の増殖調節機能を担っていると考えられていますが、過剰に発現したり活性化したりして細胞の増殖や悪性化に関わるとされています。
HER2タンパクの過剰な存在は、乳がん[3]の予後因子の1つで、特にリンパ節にがんが転移している場合でHER2が陽性だと、再発の危険性が高くなるといわれています。
陽性、陰性ついては、HER2タンパクの過剰発現を調べる免疫組織化学的方法(IHC法)やHER2遺伝子の増幅を調べるFISH法により、判断します。
HER2の最も重要な特徴は分子標的治療(トラスツズマブ療法)との関係です。トラスツズマブは遺伝子組み換えによるHER2の抗体で、HER2が過剰に発現している場合の抗体療法に用いられる薬剤です。
トラスツズマブには、HER2タンパクをねらって攻撃し、がん細胞の増殖を抑えたりするはたらきがあります。生検や手術で摘出した組織にHER2が過剰に発現しているのが認められれば、トラスツズマブ療法の効果が期待できます。
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