遺伝性血管性浮腫(HAE)は、顔面、口唇、手足、上気道、消化器など様々なな部位に、急性に浮腫が生じる常染色体顕性(優性)遺伝疾患である。
浮腫を引き起こす主要なメディエーターは、C1-INHの欠損または機能低下のために過剰濃度となったブラジキニンである。過剰のブラジキニンがブラジキニンB2受容体と結合し、血管拡張や血管透過性を亢進することで血管性浮腫が生じる。
HAEの急性症状は2~5日間程度で軽快する。ただし、慢性的に発症を繰り返すことで、身動きがとれなくなるほどの激しい腹痛や顔面浮腫を生じたり、上気道(咽頭)の激しい浮腫により致死的な呼吸困難や窒息を引き起こす危険性もある。
補体成分C1rおよびC1s、血液凝固・線溶系、カリクレイン系に対して広範な阻止作用を有するC1エステラーゼインヒビター(C1-INH)の欠損や機能低下が原因とされている。