ページへ戻る

− Links

 印刷 

遺伝性自己炎症疾患 :: 医療 Wiki

illness:遺伝性自己炎症疾患

ページ内コンテンツ
  • 概要
    • 症状
    • 原因
    • 診療科
    • 治療法

概要 anchor.png[1]

遺伝子の異常を原因として、体質的に発熱などの炎症症状が起こる自己炎症性疾患です。

現時点での対象は、NLRC4異常症、アデノシンデアミナーゼ-2(Adenosine deaminase-2:ADA2)欠損症、エカルディ・グティエール症候群(Aicardi-Goutières Syndrome:AGS】の3疾患です。

NLRC4異常症は、発熱、寒冷により誘発される蕁麻疹、関節痛、乳児期に発症する炎症性腸炎などの症状が現れます。また高度な全身炎症と多臓器障害が現れるマクロファージ[2]活性化症候群という致死的な合併症を起こす場合があります。

ADA2欠損症は、大動脈より細い直径1mm以上ある中動脈と呼ばれる動脈が主な炎症部位です。血管の炎症に伴った多彩な臓器障害が現れ、特に脳梗塞をはじめとした臓器梗塞を若年齢で発症します。

エカルディ・グティエール症候群は、重度心身障害の原因となり得る自己炎症性の脳症です。頭蓋内の石灰化病変と慢性的な脳脊髄炎が特徴です。

Page Top

症状 anchor.png[3]

  • NLRC4異常症
    長期にわたって継続する周期熱や、寒冷刺激により誘発される蕁麻疹、関節痛、乳児期に発症する腸炎、脾臓の腫大・血球の減少・血液凝固能の障害、などの症状が現れます。
  • ADA2欠損症
    繰り返す発熱や発疹や蔓状の皮斑、血管の炎症に伴う麻痺や痺れなどの神経症状、静脈閉塞や視神経萎縮、脳神経麻痺などによる眼症状、胃腸炎症状、筋肉痛、関節痛、高血圧[4]、腎障害 等が認められます。
  • エカルディ・グティエール症候群では、繰り返す発熱とてんかん[5]や発達退行を中心とした進行性の重症脳症の症状が現れます。
    また、神経学的異常や、肝脾腫、肝逸脱酵素の上昇、血小板減少、易刺激性、肝脾腫、肝逸脱酵素上昇、を伴うほか、手指・足趾・耳などに凍瘡様の皮膚病変や全身性エリテマトーデス[6]に類似した自己免疫疾患の合併も認められます。
Page Top

原因 anchor.png[7]

NLRC4異常症の原因は、NLRC4遺伝子の変異です。ほとんどの患者さんはこの遺伝子に変異を持っています。

ADA2欠損症の原因は、CECR1遺伝子の変異です。これにより、CECR1遺伝子により産生されるADA2分子の機能が低下し血管炎を起こします。

エカルディ・グティエール症候群の原因は、TREX1、RNASEH2A、RNASEH2B、RNASEH2C、SAMHD1、ADAR、IFIH1の7つ遺伝子の変異です。いずれも核酸の代謝や細胞の核酸認識に関与する遺伝子です。

Page Top

診療科 anchor.png[8]

小児科

Page Top

治療法 anchor.png[9]

いずれの疾患に対しても現時点で確立された治療法はありません。

  • NLRC4異常症
    抗IL-1製剤の有効性が報告されています。
  • ADA2欠損症
    抗TNF療法の有効性を示す報告が増えています。
    また、骨髄移植による根治が期待され、実際に有効であった症例も報告されています。
  • エカルディ・グティエール症候群
    有効な治療法の報告はありません。

Last-modified: 2019-04-04 (木) 17:08:48 (JST) (1851d) by kondo