- 概要
- 症状
- 原因
- 診療科
- 検査
- 診断
- 合併症
- 薬
- 治療法
- 罹患した著名人
特発性肺線維症(Idiopathic Pulmonary Fibrosis、IPF)は、原因が不明な肺疾患の一種で、肺組織が瘢痕化(線状の繊維組織が肺組織を置き換えること)する病気[2]です。この疾患は慢性かつ進行性であり、肺の線状の瘢痕が呼吸困難や酸素不足などの症状を引き起こすことが一般的です。
IPFでは、肺の組織が線状の瘢痕に取って代わられ、肺の弾力性が失われます。これにより、肺の拡張と収縮が制限され、呼吸が困難になります。
呼吸困難、乾いた咳、息切れなどが特発性肺線維症の一般的な症状です。これらの症状は日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。
特発性肺線維症は通常、進行的な疾患であり、時間の経過とともに症状が悪化します。病気[2]の進行に伴い、肺の損傷が増加し、患者の生活の質が低下することがあります。
原因不明で、一般的に環境要因や感染症とは関連していないと考えられています。
- 詳細な病歴と身体検査
医師は患者の病歴を収集し、症状、喫煙歴、職業暴露などの情報を詳しく尋ねます。身体検査では、呼吸音や心音、皮膚のシアノーゼ(青白く見えること)などが評価されます。
- 肺機能検査
肺活量、拡散能、最大呼気流速などの肺機能を評価するために肺機能検査が実施されます。これらの検査は呼吸能力の評価に役立ちます。
- 胸部X線
胸部X線は、肺の異常や瘢痕化の兆候を検出するために行われることがあります。しかし、X線ではIPFの細部が評価しきれないことがあるため、詳細な画像検査が必要です。
- 高解像度CTスキャン(HRCT)
HRCTはIPFの診断に非常に重要な画像検査です。肺の高解像度画像を提供し、特定の病理学的所見や肺線維症のパターンを評価するのに役立ちます。
- 肺生検
IPFの診断が明確でない場合、肺生検が行われることがあります。これは手術的なプロシージャで、肺組織のサンプルを取得して病理学的に評価します。
- 血液検査
血液検査は、他の肺疾患や合併症の有無を確認するために行われることがあります。
特発性肺線維症(IPF)の診断には、さまざまな検査が行われます。IPFの診断は他の肺疾患と区別するために特に慎重に行われます。
- 呼吸不全
IPFは肺の機能を損ない、酸素交換を難しくします。これにより、呼吸不全の症状が進行的に悪化することがあります。患者は呼吸が困難で、酸素療法が必要になることがあります。
- 肺高血圧[10]症(PH)
IPF患者の一部は、肺動脈内圧が高くなる肺高血圧[10]症を発症することがあります。これは心臓に負担をかけ、重篤な合併症につながる可能性があります。
- 感染症
IPF患者は、肺の免疫機能が低下し、感染症(肺炎[11]など)に対するリスクが増加することがあります。
- 肺癌[12]
IPF患者は、肺発がんのリスクが増加する可能性があります。肺の組織が損傷し、瘢痕化することが発がんのリスク因子となることが知られています。
- 精神的・心理的合併症
IPFの患者は慢性的な呼吸不全によるストレスや不安に直面し、精神的・心理的な問題(うつ病[13]、不安症状など)を経験することがあります。
- 骨粗鬆症
IPFの治療に使用されるステロイド薬物や他の薬物は、骨粗鬆症のリスクを増加させることがあります。
- 心臓合併症
IPFが進行すると、心臓に対する負担が増加し、心臓合併症(心不全など)が発生する可能性があります。
これらの合併症は、IPF患者のケアと管理において考慮されるべき重要な要因です。定期的な医療フォローアップと適切な治療は、これらの合併症のリスクを軽減し、患者の生活の質を向上させるのに役立ちます。
IPFの治療には、抗線維化[15]薬として知られる薬物が使用されます。
- ピレスパ錠[16](一般名:ピルフェニドン)
ピルフェニドンは線状の瘢痕形成を遅らせ、疾患の進行を抑制することが期待されます。
治療は症状の軽減と疾患の進行の遅延を目的として行われ、通常は抗線維化[15]薬や酸素療法が使用されます。一部の患者には肺移植が必要な場合もあります。