COPD(chronic obstructive pulmonary disease)とは、従来、慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称です。
タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入することで生じる肺の炎症性疾患です。
また、COPDは全身の炎症、骨格筋の機能障害、栄養障害、骨粗鬆症などの併存症をともなう全身性の疾患です。
最大の原因は喫煙であり、喫煙者の15~20%がCOPDを発症します。タバコの煙を吸入することで肺の中の気管支に炎症がおきて、せきやたんが出たり、気管支が細くなることによって空気の流れが低下します。また、気管支が枝分かれした奥にあるぶどうの房状の小さな袋である肺胞が破壊されて、肺気腫という状態になると、酸素の取り込みや二酸化炭素を排出する機能が低下します。
長期の喫煙歴があり慢性にせき、たん、労作時呼吸困難があればCOPDが疑われます。
気管支拡張薬を吸入したあとの1秒率が70%未満であり、閉塞性障害をきたすその他の疾患を除外できればCOPDと診断されます。
スピオルトレスピマット吸入(一般名:チオトロピウム臭化物水和物/オロダテロール塩酸塩製剤)
気流閉塞の重症度だけでなく、症状の程度や増悪の頻度を加味した重症度を総合的に判断したうえで治療法を段階的に増強していきます。
喫煙を続けると呼吸機能の悪化が加速してしまいますので、禁煙が治療の基本となります。
増悪をさけるためには、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種が勧められます。
薬物療法の中心は気管支拡張薬(抗コリン薬・β2刺激薬・テオフィリン薬)です。効果や副作用の面から吸入薬が推奨されており、主として長時間気管支を拡張する吸入抗コリン薬や吸入β2刺激薬が使用されています。
気流閉塞が重症で増悪を繰り返す場合は、吸入ステロイド薬を使用します。長時間作用性β2刺激薬と吸入用ステロイドの配合薬も有用です。