- EDS 概要
- 症状
- 古典型
- 関節可動性亢進型
- 血管型
- 後側彎型
- 多発性関節弛緩型
- 皮膚弛緩型
- 新型
- 原因
- 診療科
- 検査
- 診断
- 病期 ステージ
- 合併症
- 薬
- 治療法
EDS 概要 [1]
皮膚、関節、血管など結合組織の脆弱性に基づく遺伝性疾患である。その原因と症状から、6病型(古典型、関節可動性亢進型、血管型、後側彎型、多関節弛緩型、皮膚脆弱型)に分類されている。
- 皮膚
皮膚の感触はビロード状で、ぶつけたりこすれたり等の衝撃で簡単に裂けやすく、 また裂けた後の傷も治りにく い(脆弱性)。
治った後でも、シガレットペーパー様と呼ばれる瘢痕(細かい皺の集まった傷痕)を形成しやすい。
皮膚をつまむと数cmも伸び、離すと元に戻る(過伸展)。
- 関節
大・小関節の可動域が広い(過可動)。
- その他
出血しやすい(皮膚の下の青黒い出血斑や歯ぐきの出血など)。
胎盤の早期剥離、前期破水による早産になりやすい。
心臓 僧帽弁逸脱がみられることがある。
体が疲れやすい(易疲労性)。
関節可動性亢進型 [4]
- 関節
全身の関節(肩、膝蓋骨、顎など)が緩く(過可動)、脱臼しやすい。慢性的な関節・四肢痛を伴う。
- 皮膚
古典型と同様の症状だが、過伸展は軽度で、また裂傷や瘢痕も稀である。
- その他
僧帽弁逸脱、大動脈基部の拡張がみられることがある。
自律神経症状(立ちくらみなど)や消化器症状(過敏性大腸など)がみられることが多い。
EDSの全ての型の中で一番患者数が多いとされている。
- 動脈破裂
胸腹部、頭、足などの動脈がもろい。動脈瘤、動脈解離が先行することもある。
- 内臓破裂
消化管(S状結腸が多い)破裂を起こしやすい。妊娠中子宮破裂を起こすことがある。
- 皮膚
薄く、静脈が透けて見える。過伸展性はごく軽度である。皮下出血を反復しやすい。
- 関節
過可動性は軽度(指などの小さい関節が主)。先天性内反足が見られることもある。
- その他
気胸[6]を起こすこともある。
- 皮膚
皮膚の感触はビロード状で、ぶつけたりこすれたり等の衝撃で簡単に裂けやすく、また裂けた後の傷も治りにくい(脆弱性)。
治った後でも、シガレットペーパー様と呼ばれる瘢痕(細かい皺の集まった傷痕)を形成しやすい。
皮膚をつまむと数cmも伸び、離すと元に戻る(過伸展)。
- 関節
過可動が見られる。新生児期または生後一年以内に進行性脊椎後側彎がみられる。
- 眼症状
角膜異常、強度の近視、網膜はく離、まれに眼球破裂。眼球の強膜はもろい。
- 動脈
破裂することがある。
- その他
筋緊張低下。骨粗鬆症。
多発性関節弛緩型 [8]
- 皮膚
過伸展性があり皮下出血ができやすい。
- 関節
全身性の関節過可動性が強く、脱臼を繰り返す。先天性股関節脱臼。脊椎後側彎。軽度の骨粗鬆症。
- その他
筋緊張低下
- 皮膚
柔らかく緩い。余った皮膚がたるんだようになる。皮下出血しやすい。
- 関節
過可動性。骨粗鬆症。
- その他
胎児にこの病気[10]があると、胎盤の早期剥離、前期破水による早産になりやすい。
そけい・臍ヘルニアが見られることもある。
皮膚、関節、血管あらゆる臓器の脆弱性を伴う、幼少期には特徴的顔貌および全身関節拘縮が現れる。
コラーゲン分子またはコラーゲン成熟過程に関与する酵素の遺伝子変異に基づく。
- 古典型
皮膚・関節脆弱性、心臓弁の逸脱・逆流、上行大動脈拡張
- 関節可動性亢進型
反復性脱臼、若年発症変形性関節症などの関節症状、慢性難治性疼痛、機能性腸疾患、自律神経異常など
- 血管型
動脈解離・瘤・破裂、頸動脈海綿状静脈洞ろう、腸管破裂、子宮破裂、気胸[6]
- 新型
巨大皮下血腫、脊椎後側彎、足変形、心臓弁の逸脱・逆流、難治性便秘、大腸憩室、(血)気胸[6]、膀胱拡張、骨そしょう症、緑内障[18]など
- 古典型
皮膚、関節のトラブルに対しては、激しい運動を控えることやサポーターを装着するなどの予防。
皮膚裂傷に対しては、慎重な縫合を要する。
- 関節可動性亢進型
関節を保護するリハビリテーションや補装具の使用、また疼痛緩和のための鎮痛薬の投与を行う。
- 血管型
定期的な動脈病変のスクリーニングおよびトラブル発症時の慎重な評価と治療が必要。できる限り保存的に、進行性の場合には血管内治療をする。
β遮断薬(セリプロロール)の効果がある。
腸管破裂の発症時には、迅速な手術が必要である。
- 新型
定期的な骨格系(側彎、脱臼)の評価、心臓血管の評価、泌尿器系の評価、必要に応じた整腸剤・緩下剤内服、巨大皮下血腫に対する止血剤投与など