アラジール症候群は、生まれつき肝臓や心臓などさまざまな臓器に合併症を有する先天性疾患です。5つの主な症候によって診断されます。肝臓、心臓・血管、眼、椎骨、特徴的な顔の5つですが、すべての症状が必ずしもそろうわけではありません。
アラジール症候群は、小葉間胆管減少症による慢性胆汁うっ滞に特徴的な肝外症状を伴う、遺伝性肝内胆汁うっ滞症です。
出生後、乳児期から黄疸が現れます。黄疸は胆汁の流れが滞る胆汁うっ滞で起こります。
黄疸がなく、先天性心疾患や腎障害が起こる場合もあります。
20番染色体に存在するJAG1という遺伝子の変異が知られています。また、少数では1番染色体に存在するNOTCH2という染色体の変異によるとされています。これらは臓器の発生過程において何らかの影響を及ぼすと考えられています。しかし、アラジール症候群の特徴を満たす方の全員にこれらの変異がみつかるわけではありません。
診断基準
1.主要な症候
(1)肝病理所見による小葉間胆管の減少
(2)臨床所見
I.胆汁うっ滞
II.心臓血管奇形(末梢性肺動脈狭窄が最も特徴的所見である。)
III.骨格の奇形(蝶形椎体が特徴的所見である。)
IV.眼球の異常(後部胎生環が特徴的所見である。)
V.特徴的な顔貌
2.その他の症候
I.腎病変:腎異形成、腎動脈狭窄、多発嚢胞腎、尿細管性アシドーシス[8]、膀胱、尿管逆流症、尿路閉塞、慢性腎不全など
II.神経血管:もやもや病[9]、脳動脈瘤[10]、内頚動脈瘤、大動脈瘤、大動脈縮窄など
III.膵:膵機能不全
3.参考事項
(1)常染色体優性遺伝形式の家族歴
血族内にアラジール症候群と診断された者がおり、その遺伝形式が常染色体優性遺伝に矛盾しない。
(2)遺伝子診断
JAG1遺伝子、又はNOTCH2遺伝子に変異を認める。
4.診断のカテゴリー
以下に挙げた2つの場合のいずれかを満たす場合を、アラジール症候群と診断する。
慢性の胆汁うっ滞や成長障害に対して、脂溶性ビタミンや中鎖脂肪酸(MCT)の補充などを長期に継続します。
痒みや高脂血症に対して陰イオン交換樹脂や脂質降下薬が用いられます。
胆汁うっ滞性肝硬変に進行したり、痒みなどにより著しくQOLが低下した場合には肝移植が行われます。
重篤な心疾患についてはカテーテル治療や外科手術が行われます。また、腎不全については透析や腎移植が行われます。
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