4: 2013-11-27 (水) 15:10:39 cons[6] [7] | 5: 2014-12-18 (木) 21:05:58 seria[8] [9] | ||
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***通常型間質性肺炎 (UIP:Usual Interstitial Pneumonia) [#o25a4515] | ***通常型間質性肺炎 (UIP:Usual Interstitial Pneumonia) [#o25a4515] | ||
多くの病理学者は、特発性肺線維症 (IPF:Ideopathic Pulmonary Fibrosis)とUIPとを同じ意味で使用しています。厳密にはIPFの方が広い意味をもっています。 慢性、風邪等により急性憎悪する場合がある。ステロイドへの反応は悪い。 経過、予後はきわめて悪い。 | 多くの病理学者は、特発性肺線維症 (IPF:Ideopathic Pulmonary Fibrosis)とUIPとを同じ意味で使用しています。厳密にはIPFの方が広い意味をもっています。 慢性、風邪等により急性憎悪する場合がある。ステロイドへの反応は悪い。 経過、予後はきわめて悪い。 | ||
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完全に回復することはなく、病状を悪化させないことに注意する。通常は、徐々に肺の線維化、肺の縮小が起きてゆき、呼吸が困難になっていく。 | 完全に回復することはなく、病状を悪化させないことに注意する。通常は、徐々に肺の線維化、肺の縮小が起きてゆき、呼吸が困難になっていく。 | ||
死亡原因は、呼吸不全(約40%)、心筋症(約30%)、肺がん(約10%)となっている。 5年後生存率 32% 平均余命5-6年 | 死亡原因は、呼吸不全(約40%)、心筋症(約30%)、肺がん(約10%)となっている。 5年後生存率 32% 平均余命5-6年 | ||
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***急性間質性肺炎 (AIP:Acute Interstitial Pneumonia) [#dc0a0f63] | ***急性間質性肺炎 (AIP:Acute Interstitial Pneumonia) [#dc0a0f63] | ||
急性、ステロイドへの反応は悪い。経過、予後は極めて悪い。 ただし、まれに完全回復する場合がある。始め高熱があり、風邪の症状が出て急速に呼吸困難が進む場合が多い。 | 急性、ステロイドへの反応は悪い。経過、予後は極めて悪い。 ただし、まれに完全回復する場合がある。始め高熱があり、風邪の症状が出て急速に呼吸困難が進む場合が多い。 | ||
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***呼吸細気管支の間質性肺炎 (RBILD:Respiratory Bronchiolitis-associated Interstitial Lung Disease) [#zf6c6f12] | ***呼吸細気管支の間質性肺炎 (RBILD:Respiratory Bronchiolitis-associated Interstitial Lung Disease) [#zf6c6f12] | ||
慢性、ステロイドへの反応は良い。経過、予後は良好。病状の改善、完全回復あり。 | 慢性、ステロイドへの反応は良い。経過、予後は良好。病状の改善、完全回復あり。 | ||
- | 5年後生存率 100% 病気の症状 咳が出たり、酸素がうまく取り込めなくなり息苦しくなります。一過性の場合もありますが、 | + | 5年後生存率 100% 病気の症状 咳が出たり、酸素がうまく取り込めなくなり息苦しくなります。一過性の場合もありますが、炎症が治った後も傷が残り肺が固くなる場合があります。 |
- | 炎症が治った後も傷が残り肺が固くなる場合があります。病気が進行すると、肺胞壁が厚くなり、肺胞の形も不規則になって肺全体が固くなり膨らみにくくなるため、呼吸を維持することが困難になる場合もあります。 また、肺線維症に進行すると咳などによって肺が破れて呼吸困難や呼吸不全に陥ることがあります。 | + | |
+ | 病気が進行すると、肺胞壁が厚くなり、肺胞の形も不規則になって肺全体が固くなり膨らみにくくなるため、呼吸を維持することが困難になる場合もあります。 また、肺線維症に進行すると咳などによって肺が破れて呼吸困難や呼吸不全に陥ることがあります。 | ||
**検査 [#y3237a76] | **検査 [#y3237a76] | ||
肺炎は、普通は細菌による感染であり、抗生物質などの治療で軽快します。しかし、抗生物質の効きにくい肺炎や胸のレントゲン検査で左右に影があるような場合は間質性肺炎を疑う必要があります。 | 肺炎は、普通は細菌による感染であり、抗生物質などの治療で軽快します。しかし、抗生物質の効きにくい肺炎や胸のレントゲン検査で左右に影があるような場合は間質性肺炎を疑う必要があります。 | ||
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患者の呼吸状況等から間質性肺炎の疑いがある場合、通常、病名を確定するため血液検査、胸部レントゲン、呼吸機能テスト(PFT、Pulmonary Function Tests)、気管支鏡検査、開胸肺生検または胸腔鏡下肺生検(VATS:Video-Assisted Thorascopic lung biopsies)が行われます。 | 患者の呼吸状況等から間質性肺炎の疑いがある場合、通常、病名を確定するため血液検査、胸部レントゲン、呼吸機能テスト(PFT、Pulmonary Function Tests)、気管支鏡検査、開胸肺生検または胸腔鏡下肺生検(VATS:Video-Assisted Thorascopic lung biopsies)が行われます。 | ||
また、その他の試験として運動検査、心電図等も実施される場合があります。 | また、その他の試験として運動検査、心電図等も実施される場合があります。 | ||
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間質性肺炎の症状が起こっている肺下部をより詳細にみるため通常HRCTによる撮影が行われます。 | 間質性肺炎の症状が起こっている肺下部をより詳細にみるため通常HRCTによる撮影が行われます。 | ||
HRCTは、その名前のとおり通常のCTと比べ写真自体も鮮明で、その分解能は約0.5mmです。CTにおいて、他の肺疾患と区別して間質性肺炎の診断を下すためにはこの程度の分解能が必要となります。 | HRCTは、その名前のとおり通常のCTと比べ写真自体も鮮明で、その分解能は約0.5mmです。CTにおいて、他の肺疾患と区別して間質性肺炎の診断を下すためにはこの程度の分解能が必要となります。 | ||
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間質性肺炎におけるCTまたはHRCTの所見は、胸部レントゲンと同じで網状の線です。これらの網状の線は、通常肺下部の外側に多く見られます。 | 間質性肺炎におけるCTまたはHRCTの所見は、胸部レントゲンと同じで網状の線です。これらの網状の線は、通常肺下部の外側に多く見られます。 | ||
これらの変化は、正常な肺の部位の中に入り混じるような形で異常な部位が発生している形で見られます。これらの異常部位は間質に炎症がおきていることを示します。また、蜂巣化が起こっているところは病気が進行しているところです。 | これらの変化は、正常な肺の部位の中に入り混じるような形で異常な部位が発生している形で見られます。これらの異常部位は間質に炎症がおきていることを示します。また、蜂巣化が起こっているところは病気が進行しているところです。 | ||
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***肺機能試験(PFTP:ulmonary Function Test) [#naa657a2] | ***肺機能試験(PFTP:ulmonary Function Test) [#naa657a2] | ||
肺機能試験は、肺がどの程度機能ているかを測定する試験です。肺活量(VCまたはスローVC)は、最大吸気努力後にゆっくりと呼出したときの最大呼気量です。簡単に検査でき、最も価値ある肺機能検査値の1つです。 | 肺機能試験は、肺がどの程度機能ているかを測定する試験です。肺活量(VCまたはスローVC)は、最大吸気努力後にゆっくりと呼出したときの最大呼気量です。簡単に検査でき、最も価値ある肺機能検査値の1つです。 | ||
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なお、18歳以上の成人の推測正常値は次の公式によって得られます(肺活量は身長、性別、年齢、姿勢などによって違います)。 | なお、18歳以上の成人の推測正常値は次の公式によって得られます(肺活量は身長、性別、年齢、姿勢などによって違います)。 | ||
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男性=27.63-(0.112×年齢)×身長 女性=21.78-(0.101×年齢)×身長 | 男性=27.63-(0.112×年齢)×身長 女性=21.78-(0.101×年齢)×身長 | ||
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肺一酸化炭素拡散能(LCO:Diffusing Capacity of Lung for Carbon Monoxide)は、1回の呼吸で判定します。 | 肺一酸化炭素拡散能(LCO:Diffusing Capacity of Lung for Carbon Monoxide)は、1回の呼吸で判定します。 | ||
患者は低濃度既知量の一酸化炭素(CO)を吸気し、10秒間息を止めた後にはきだします。これにより呼吸の間に吸収されたCO量は、肺胞がすの標本(終末呼気がす)に含まれるCOを分析することにより計算され、mL/分/mmHg単位で表されます。 | 患者は低濃度既知量の一酸化炭素(CO)を吸気し、10秒間息を止めた後にはきだします。これにより呼吸の間に吸収されたCO量は、肺胞がすの標本(終末呼気がす)に含まれるCOを分析することにより計算され、mL/分/mmHg単位で表されます。 | ||
間質に炎症および線維化がある場合は、一酸化炭素の血液中への拡散が妨げられます。 | 間質に炎症および線維化がある場合は、一酸化炭素の血液中への拡散が妨げられます。 | ||
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***気管支鏡検査および気管支肺胞洗浄(BAL : Bronchoalveolar Lavage ) [#o2546c69] | ***気管支鏡検査および気管支肺胞洗浄(BAL : Bronchoalveolar Lavage ) [#o2546c69] | ||
気管支鏡とよばれる柔軟な光ファイバーを患者の肺の中に入れることにより行われます。 | 気管支鏡とよばれる柔軟な光ファイバーを患者の肺の中に入れることにより行われます。 | ||
患者は意識がある状態で本検査を受けられます。 | 患者は意識がある状態で本検査を受けられます。 | ||
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まず、患者は咳と吐き気がなくなるまで口と喉に局部麻酔が掛けられた後、検査用の光ファイバーが口から肺の中に入れられます。 | まず、患者は咳と吐き気がなくなるまで口と喉に局部麻酔が掛けられた後、検査用の光ファイバーが口から肺の中に入れられます。 | ||
それから生検鉗子(a biopsy forceps)と呼ばれる小さな装置が光ファイバーに沿って肺の中に挿入され、バイオプシーが採取されます。 | それから生検鉗子(a biopsy forceps)と呼ばれる小さな装置が光ファイバーに沿って肺の中に挿入され、バイオプシーが採取されます。 | ||
これらのバイオプシーは処理され顕微鏡で検査されます。 | これらのバイオプシーは処理され顕微鏡で検査されます。 | ||
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***開胸肺生検および胸腔鏡下肺生検 [#x1d4ddf5] | ***開胸肺生検および胸腔鏡下肺生検 [#x1d4ddf5] | ||
気管支鏡検査で得たバイオプシーによる確定診断が困難な場合に入院して全身麻酔により行われます。開胸肺生検の場合は、2つの肋骨の間を10cm程度切開し2~3cm幅でバイオプシーを採取します。 | 気管支鏡検査で得たバイオプシーによる確定診断が困難な場合に入院して全身麻酔により行われます。開胸肺生検の場合は、2つの肋骨の間を10cm程度切開し2~3cm幅でバイオプシーを採取します。 | ||
また、胸腔鏡下肺生検の場合は、胸腔鏡を使用します。この方法では胸壁のごく小さな切開を通して内視鏡を胸の中に差し込み、それによって肺を肉眼で見ながら、別に2個所ていど小さく切開したところからバイオプシーを採取します。 | また、胸腔鏡下肺生検の場合は、胸腔鏡を使用します。この方法では胸壁のごく小さな切開を通して内視鏡を胸の中に差し込み、それによって肺を肉眼で見ながら、別に2個所ていど小さく切開したところからバイオプシーを採取します。 | ||
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+ | **薬 [#h35aa7be] | ||
+ | -プレドニゾロン錠(一般名:プレドニゾロン) | ||
+ | 初期的には、ステロイド薬を内服します。服用期間は、約1~3ヶ月です。服用量は、間質性肺炎(肺線維症)の病状の程度により異なりますが、通常1日10~60ミリグラムです。効果が認められれば、少しずつ減量していきます。 | ||
+ | なお、服薬によって、病状が安定しても、病気の進行を止めるために、少量のステロイド薬を継続して使用していきます。1~3ヶ月服用しても、効果が見られないときには、ステロイド薬を減量し、「免疫抑制薬」を併用します。 | ||
+ | -ピレスパ錠(一般名:ピルフェニドン)抗線維化剤 | ||
+ | 特発性肺線維症(IPF)の中等症までで徐々に悪化してきている場合、進行を抑える可能性があります。 | ||
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**治療法 [#m80a6a40] | **治療法 [#m80a6a40] | ||
特発性間質性肺炎においては、ステロイド剤の効果が見込めるもにについては、ステロイド剤により病状の進行を止める、または改善することが治療の目的です。現在治療効果が認められている薬剤は、ステロイド剤と免疫抑制剤の2種類です。 | 特発性間質性肺炎においては、ステロイド剤の効果が見込めるもにについては、ステロイド剤により病状の進行を止める、または改善することが治療の目的です。現在治療効果が認められている薬剤は、ステロイド剤と免疫抑制剤の2種類です。 |
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