ページへ戻る

− Links

 印刷 

卵巣がん のバックアップソース(No.1) :: 医療 Wiki

illness:卵巣がん のバックアップソース(No.1)

  Next »[4]
#norelated
#contents
*概要 [#l82b487b]
卵巣は子宮の両わきに各ひとつずつある親指大の楕円形の臓器です。生殖細胞である卵子がそこで成熟し、放出されます。それとともに周期的に女性ホルモンを分泌しています。
卵巣の腫瘍はその発生する組織によって大別されます。最も多いのは、卵巣の表層をおおう細胞に由来する上皮性腫瘍です。
卵巣は、腫瘍ができてもはじめはほとんど自覚症状がなく、腹膜に転移(腹膜播種)して初めて気付く場合が多いです。

**症状 [#g7deb79f]
初期症状では下腹部にシコリを感じる程度で、進行するまで自覚症状がほとんどなく、おかしいと感じるのは、癌が大きくなってからです。
卵巣癌には、転移しにくい癌と転移しやすい癌があります。転移しにくい卵巣癌は、長期間卵巣内にとどまって発育しますから、腫瘍がまだ大きくないうちは、検診などで婦人科の診察を受けた時に偶然発見されることもあります。腫瘍が大きくなると下腹部にしこりをみつけたり、圧迫感があったり、あるいは膀胱が圧迫されて尿が近くなるなどの症状が起こります。転移しやすい癌の場合は、腫瘍が卵巣内であまり大きくならないうちに転移してしまうため、腹水のために腹部全体が大きくなるとか、胸水がたまって息切れがするなどの症状が起こります。

**診断 [#t8ac0ba4]
下腹部に圧迫感のある場合は、腫瘍があるかどうか、卵巣の腫瘍か子宮筋腫かはある程度は判ります。診察で腫瘍が疑われる場合は、超音波、X線によるCT、MRIなどの画像診断によって、子宮の腫瘍か、卵巣腫瘍か、腫瘍の内部の構造、転移の有無などを詳しく調べます。検査によって良性か悪性かを推定することができます。
血液中に微量に存在するCA125という糖タンパクを測定することは、良性、悪性の判定に役立ちます。
卵巣癌の中で最も多いタイプの漿液性(しょうえきせい)腺癌はCA125を産生しますので、血液中のCA125は卵巣癌に特異性の高い腫瘍マーカーです。
転移のある卵巣癌ではほとんどの人がCA125陽性で、多くは非常に高い値になりますから、血液検査だけで卵巣癌とわかることがあります。
しかし、早期癌では陽性率は低く、また、若い女性の中には癌がなくても軽度陽性の人もいるので、CA125は卵巣癌の早期発見にはあまり役立ちません。


**病期 ステージ [#u6ef2bc7]
腹膜播種のような転移を術前に画像診断で見つけることは難しいので、病期は手術所見によって決められます。
手術中、直接見ることができる転移の有無だけでなく、手術後摘出物を検査した結果によって、病期が決定されます。病期は次のように分類されています。
-I期
癌が片側、あるいは両側の卵巣にだけにとどまっている状態。
-II期
癌が卵巣の周囲、つまり卵管、子宮、直腸、膀胱などの腹膜に転移している状態。
-III期
癌が卵巣の周囲(骨盤内)の腹膜だけでなく上腹部にも転移しているか、あるいは後腹膜リンパ節に転移している状態。
--後腹膜とは、腹腔の背側にある腹膜と背骨や背筋との間の領域で、大動脈、下大静脈、腎臓、尿管などのある場所です。後腹膜リンパ節を便宜上、大動脈周囲の傍大動脈リンパ節と骨盤内の骨盤リンパ節に分けます。
-IV期
癌が腹腔外に転移しているか、あるいは肝臓に転移している状態。

I、II期は手術によって完全に切除できますが、III、IV期は手術だけで完全にとり除くことができないという意味で進行癌といわれることもあります。


**治療法 [#o0f9f9e1]
***外科療法 [#w6d455ba]
卵巣癌は手術によって診断が確実にできます。
また、がん細胞のタイプや拡がりの程度がわかり、その後の治療方針が決まります。 卵巣の切除 片側の卵巣、卵管だけを切除する場合と両側の卵巣、卵管、子宮を含めて切除する方法があります。 大網(たいもう)切除 大網とは胃から垂れ下がって、大小腸をおおっている大きな網のような脂肪組織です。
大網は卵巣癌の転移が最もよく起こる組織であり、切除しても実害はありません。
-後腹膜リンパ節郭清(かくせい)
後腹膜リンパ節は卵巣がんの転移が起こりやすい部位のひとつです。
転移が疑われるりんぱ節を採取して検査することをサンプリングといい、リンパ節とリンパ管を系統的にすべて切除することをリンパ節郭清といいます。
腸管などの合併切除 腹腔内の転移をできるだけ切除するために、大腸、小腸、脾臓などを癌と一緒に切除することもあります。
***放射線療法 [#g56bb773]
高エネルギーX線を身体の外から照射する外照射と、放射性リンの溶液を腹腔内に注入して内部から腹膜の表面を照射する方法があります。
***化学療法 [#ub341bcc]
抗癌剤を使う治療を化学療法といいます。抗癌剤は手術でとりきれなかった癌に対する治療として使われます。
卵巣癌は、成人の癌の中では抗癌剤が比較的よく効きます。抗癌剤は内服、あるいは静脈注射で投与されます。また、直接腹腔内に注入されることもあります。
いずれの場合でも、抗癌剤は血液中に入り全身に広がって作用します。抗癌剤は癌細胞を攻撃しますが、正常の細胞にも影響を与え、副作用をおこします。
抗癌剤を繰り返し使うことによって、癌細胞が完全に消滅することもありますから、効果がある限り、ある程度副作用が起こるまで使用します。
抗癌剤の副作用として、血液中の白血球と血小板の減少、貧血、吐き気や嘔吐、食欲の低下、脱毛、手足のしびれなどが起こります。

  Next »[4]